過去分詞に過去形の意味など存在しない
この時期に入塾してくる受験生で、英語がニガテだという高校生に『何からやれば良いですか??』という質問をいただきますが、まあ何はともあれ『単語』です。
もしみなさんの周りに、『英文読解は慣れだ』だの『分からない単語は予測するんだ』だの言う先生がいらっしゃるのであれば、その幻想は一旦捨ててください。
もちろん単語の予測はできます。
ただ、長文の中で他の文章は全て読めていて、たまたま分からない単語に出くわしたときに、前後の流れから『ある程度の意味』を予測できているというだけの話です。
そんな危険なことはお勧めできません。
単語帳は市販のものであれば何でもよいと思います。
山口はずっとターゲットを愛用しておりますが、データベースでもキクタンでもシスタンでも何でもいいです(Duoは上級者向けなので、初学者にはお勧めしません)。
正直・・・センター試験や中堅私立大学であれば、これらの単語帳に載っていない単語はまず出ません。
だからブーブー言わずに、単語帳の一冊くらいは覚えてしまいましょう!
あと『長文読解は慣れだから数をこなしなさい』。
これもこんな無茶ぶりはないと思ってください。
次の文章を読んでみましょう。
It is hard to appreciate the extent to which , even in the seventeenth century , many philosophers would speculate about the nature of the physical world in an abstract way , without ever getting hands dirty in experiments.
この文章にはそんなに難しい単語は含まれていませんが、この文章・・・さっぱり分からん!という受験生は、100回読んでも分からないはずです。
『慣れで読めるようになる!』なんてことは絶対にありません!
きちんと精読のルールを時間をかけてマスターしないことには、難しい文章はいくら読んでも読めないのです。
単語の情報がぶつ切りで入ってくるのが関の山ですね。
どういうわけだか英語だとできるように感じてしまう受験生が散見されますが、考えてみてください。
日本語が不自由な外国人に『辞書使っていいから日経新聞読んで。大丈夫、慣れれば読めるようになるから。』と言っているようなものです。
そんなことができるなら、世の中に塾も予備校も、学校さえも必要ありません。
そんなお説教はいいから、とりあえず何からやるべきか教えてくれ!・・・というのであれば、ぜひ『分詞』を学習することをお勧めします。
『分詞』は時制の問題から仮定法、もちろん分詞構文の理解には必須の単元ですし、何よりも長文読解で必須です。
・・・で、分詞と言われたらもちろん『現在分詞』と『過去分詞』の2種類があるわけですが、きちんと理解できていない受験生が非常に多いです。
ここで詳細を説明すると1万字を超えてしまいそうなので割愛しますが、そもそも現在分詞に現在のニュアンスなんてありませんし、過去分詞にも過去形の意味なんて込められていません。
それにも関わらず、謎のネーミングで現在だの過去だの、必要のない冠をつけてしまっているため、誤解したまま理解してしまっているのです。
現在分詞には『~している』の意味しかありませんし、過去分詞にも『~されている』という意味しかありません。
現在だの過去だのはbe動詞を含む主節動詞が決定するわけですから、分詞そのものには時制をコントロールする決定権などそもそもないのです。
おぉっとこれ以上は文字で表現すると混乱するのでこの辺で!
塾生諸君は周知の通りですが、『してるの』か『されてるの』かしかありません。
そしてこの二つの意味はまったく異なるため、正しく理解する必要があるのです。
文法はもちろんのこと、長文読解でも真逆の意味で読んでしまう可能性がありますからね。
そんなわけで、とりあえず何から手をつけたらいいのか分からなければ、ぜひぜひ『分詞』を勉強してみてくださいね!