(続き)
山口としては、彼の地元が関西であったため、(関関同立かな~愛知なら南山、愛大、中京あたり、もちろん国公立もいいよな~)なんてあれやこれやと考えていたのですが、なんと2年生の夏前の面談で『就職しようと思っています。』とHくんから打ち明けられます。
えー!
・・・なぜ??
もちろん言うまでもありませんが、大学に行かないことが悪いわけではありません。
ただ、塾に通っていて、それでいてこれだけ成績もいいのだから、てっきり大学に行くものだと、山口が決めつけてしまっていたんですね。
夏前ということもあり、『とりあえず、夏休みの間にいろんな大学見てきなよ。』と声をかけておきました。
真面目なHくん、本当に南山大学や名城大学を見学してきてくれたのですが、『就職する』という決意は変わりませんでした。
でも授業態度も相変わらず真面目ですし、宿題も欠かさずにやってきます。
もちろん成績も上位をキープし続けています。
具体的な社名はここではお伝えできませんが、Hくんは聞けば誰でも知っている大手企業で働きたいという希望があるのでした。
そして自分が通っている高校で、優秀な成績を取っていれば、そこへ就職できるということも、自分で調べて知っていたのでした。
だから夏休みも、大学の見学に行くと同時に、その企業の見学にも行っていろいろな話を聞いてきたとのことでした。
もう本当に・・・本当に取返しのつかないことをするところでした。
彼は高校2年生にして、自分の5年後10年後のことを想像し、主体性と計画性を持って今勉強を頑張っているのでした。
今も変わらず塾に通っているのは、もちろんいい成績を維持し、少しでも就職を有利にするため、というのもありますが、その会社が人事考課でTOEICを重視しているということを知り、高校の英語の授業を頑張りながらTOEICの勉強をしているのです。
いや~もう・・・頭が下がるというか、浅い考えで大学進学を進めていたことを恥ずかしく思います。
もちろん、大学は行った方がいいんです。
就職活動をする上で有利であることは言うまでもありませんし、実際に働くようになってからも、大卒の方が給料が良い傾向にあることは間違いありませんから。
でも、何の主体性もなく、漫然と大学に通うくらいなら、行っても行かなくても変わりません。
大学は行ったけどだらだら過ごして、とりあえず適当にやりたくもない職種に就いた、なんてことになるくらいなら、行っても行かなくても変わりません。
まだ先のことなので分かりませんが、きっとHくんの目標は叶うだろうなと確信しています。
もちろん成績もそうなのですが、そこまでしっかりと自分の将来のことを考えられている高校生って、やっぱり雰囲気が違うんです。
なんていうんでしょうか・・・受け答えの誠実さや真面目さなどもそうなのですが、パッと会ったときの印象がとてもいいので、まず間違いなく面接官や人事の好印象を得られることが想像できてしまうのです。
とにもかくにも、そんなHくんに大学の話をするのはやめました。
期せずして山口、自分が大嫌いな『営業』を大切な塾生にしていたのです。
興味もないものを押し付けていたんですね。
そんなわけでHくんには、山口が所有しているTOEICのテキストや単語帳をプレゼントしようと思っています。
今は会話問題が修正されているので、実際に受ける時には新しいテキストが必要になるとは思いますが。
道は人それぞれです。
でもどの道を通るにしても、自分が『やりたい!』と決めたことに対しては、自分に責任を持って頑張ってほしいです。
医学部に行きたい!と思っているのであれば、そのために必要なことを君自身が頑張らなければなりません。
プロ野球選手になりたい!と思ったのであれば、プロ野球選手を多く輩出している高校に進む必要があるでしょう。
そのために必要なことを他人任せにしてはいけません。
努力を怠るのも論外です。
自習にも来ない、家でも勉強しない、だけど成績は上げたいし第一志望にも行きたいなんて、罷り通るわけがないでしょう??
君の目標としているところは、他のみんなも目標としていて、必死に毎日頑張っているわけですから。
・・・とこれから授業なので本日はこの辺で。
受験生はもちろんですが、非受験生も今日も一日頑張りましょう!