現代文は時間帯効果は低いですが、こちらも必ず成績が上がります
ありがたいことに最近は現代文の指導が増えてきました。
ちなみに一塾講師目線で・・・現代文は最も授業準備に時間がかかる大変な教科です。
それだけにものすごいやりがいを感じますね。
その他の教科の場合、ある程度過去の指導経験から引用することができるのですが、現代文の場合は何しろ一度解いて、なおかつそれを指導するために全ての問題の選択肢の正否を完璧に説明できる状態までもっていかないといけないため、一つの授業に対して最低でも3時間はかかります。
集団授業のように問題を使い回せるならいいんですが、いかんせんみな志望校が違うので、授業一つ一つにものすごいエネルギーがかかります。
金沢大二次試験の記述対策
現代文の指導の最も大変なところは、なまじ日本語であり答えも釈然としないもの(特に記述式)が多いため、指導する側が100%理解していたとしても、それが受け手の側の生徒のみなさんには100%で伝わらないことも多々あるということです。
だからこそ、指導する側は150%の準備をしておかなければなりません。
その問題文の隅から隅まで目を通し、どこを聞かれても即答できることが絶対条件です(そうでないと、生徒側は腑に落ちず、なんだか丸め込まれたような印象を受けてしまうのです)。
ただ、ここまで入念に授業準備をすると、授業そのものはいつも30分くらいで終わってしまうので、いつも残った時間で英語の指導をさせていただいています(笑)。
このまとめ上げたレジュメも全て塾生のみなさんにお渡ししますし、だらだら授業を続けても意味がないですからね。
そしてこれだけ時間をかけて準備をして、塾生のみなさんに理解してもらえた瞬間の感動といったら・・・もうそれまでかかった苦労全てが吹っ飛んでしまいます。
もちろん、一生懸命課題に取り組み、何とか理解しようと頑張る塾生諸君の真摯な姿勢が絶対条件ではありますが・・・。
塾生のみなさん、いつもいつもありがとうございます。
【現代文は必ず伸びる教科】
山口が中学生の頃、国語の先生がよくこういっていました。
『国語という教科は読解力が必要で、その読解力はある程度生まれ持ったものだから、伸びない人は伸びない。』
もしかしたら今でもそうおっしゃる先生はいるのかもしれません。
ただしこれははっきり”No”と言わせていただきます。
自分の例を出すのも恐縮ですが、今こうしてほぼ毎日2,000~3,000字の文章(内容とクオリティはさておき)を書いている山口も、中学生の頃は国語のテストは毎回1桁台の点数でしたし、書いている作文なんかも小学生レベルの文章でした。
『今日は学校の授業を受けて、休み時間に先輩とサッカーをして、部活に行ったけれども雨が降ったけれども廊下で筋トレをして、うちに帰って宿題をやろうとしたけど眠くなって、テレビ見ながら寝てたら夜になって・・・(※実話です)』
このままではまずい!
そう思ったのが中学3年生の春だったのですが、真っ先に取り組んだのは英語と現代文でした。
ここだけの話、英語はなんかできたらかっこよさそうと思ったのと、現代文は(まあ日本語だから何とかなるでしょう)と勘違いをしたことが理由でした。
もちろん、現代文で1桁の点数を取るような当時の山口に、読解力なんてあろうはずもありません。
何を読んでもおそらくその文章の5%も理解していませんでしたし、書く文章と言えば思いついたことをただひたすら書きなぐっているだけで、そこには説得力も整合性も何もなかったと記憶しております。
ただし必ず上がります。
それもやることはいたってシンプル。
毎日何かを読み、それを400字程度で良いのでこちらも毎日何かしら『書く』ことを継続することです。
よく『毎日欠かさず新聞の社説を読みなさい』的な話を耳にするかもしれませんが、これだけでは不充分です。
こちらは昨日の授業で取り上げた金沢大学の二次試験の問題ですが、第1段落目にこのように書かれています。
『人間は自然の中で多くのものに囲まれ、多くのことに出会う。そうしてそれらは人間に大きな影響を与える。また逆に人間はその行為によって、ものを変え、ことの成り行きを変えることができる。人間は自然のものとことの間に一定の秩序があることを見い出し、したがってまた一定の行為が決まった結果を生み出すことも経験する。人間はものとことの間に秩序が存在するという意味での必然性を信じているのであり、それがなくては生きていくことは不可能である。・・・。』
・・・とまあこのような書き出しでスタートし、恐らく3,000字ほどこういった文章が続いていくのですが、この文章を『ただ読む』だけでは読解は難しいでしょう。
厳しいことを言えば『ただ文字を目に入れているだけ』の状態です。
『あいうえお かきくけこ さしすせそ・・・』を目で追っているだけと変わらないということになります。
だからもう一つ踏み込んで、『書いてまとめる』をゴールにしてほしいのです。
最終ゴールに『書く』という(面倒くさい)ゴールがあれば、必死に理解しようとして文章に向き合うことができます。
そしてそれは最初の内は大変な苦痛を伴うかもしれません。
しかし精度を欠いた適当な取り組みをどれだけ重ねても、みなさんの読解力が上がることは決してありません。
『あいうえお かきくけこ さしすせそ』を100万回読み上げたところで、みなさんの読解力、当然国語の成績が上がるはずがありません。
だから本気で現代文の成績を上げたいと思うのであれば、量は当然言わずもがな、質にも徹底的にこだわってください。
ちなみに今回の金沢大学の問題ですが、参考までに山口が500文字程度でまとめたものをご紹介します。
【①~④(イントロ)
人間は因果関係がはっきりとした、必然性が高い秩序がなければ生きていけない。しかしながらその秩序だけでは理解・説明がつかない偶然の存在も経験する。文明が未発達の段階では、自然に翻弄されるしかなかったので、その必然と偶然を明確に区別する術を持っておらず、その段階においては必然よりもむしろ偶然に支配されていた。しかし文明が発生することで、人々の抽象的思考能力も高まって、様々な現象の背後に共通の秩序だったものの存在を認識するようになった。
⑤~⑯(ボディ)
文明が発達してから、人間をとりまく秩序の理解の一助となったのは宗教であった。人間にとって理解ができないようなことも、神のはからいであると考えれば解決できるからだ。神はロゴスという論理に従い宇宙を創り、そのロゴスに従って生じるものを必然と定義づけ、その枠を超えた人間の理解を超えたものを奇蹟、つまり偶然であり、神によって引き起こされるものであるとした。
⑰~⑳(コンクルージョン)
人類は宇宙に秩序が存在することを発見し、必然性がものごとを支配することを認めたが、それでもなお必然性を超えた偶然というものは存在しており、それを受け入れることが難しかったので、そういった偶然を『神意』『因縁』『運命』として解釈することで解決した(512文字)。】
割と大変でした(笑)。
でも現代文はなまじ日本語なだけに、一番できそうでその実一番つかみどころのない教科であります。
ですから現代文がニガテだという諸君こそ、面倒で時間のかかることに取り組んでいく必要があります。
英語や数学は答えがはっきりしているから、やるべきことも明瞭で取り組みやすいのです。
そんなわけで、もし国語のお悩みなどございましたら、こちらもいつでもお気軽にご相談ください。
【受験のことだけを考えるなら、古文と漢文に特化した方がよい】
・・・というわけで、今日もここまで3,000字に渡って暑苦しく語ってきましたが、最後の最後にこれをお伝えさせていただきます。
入試のことだけを考えるなら、現代文よりも古文漢文に力を入れた方がいいです。
古文と漢文は答えがはっきりしていますし、時間もそれほどかかりません。
古文なら200時間程度、漢文はその半分の100時間ほどでほとんどの大学の対策が間に合うはずです。
センター試験くらいならおそらく余裕を持って8割を超えるくらいの得点力がつくはずです(※早稲田などの超難関校はその倍くらい必要になります)。
現代文はというと、マーク式はさておき、国立二次の記述問題などは、一定の基準の文章が書ければ、実のところそこまでライバルと差はつきません。
それくなら答えが明確ではっきりと差がつく古文や漢文、もちろん英語などで得点を稼いだ方がはるかにコストパフォーマンスは高いでしょう。
ただし、それでもなおみなさんは現代文に取り組むべきです。
現代文は主観で読解するものではなく、目の前の情報を論理的思考に従ってただしく解釈し、整理する学問です。
生きていく上で、具体的には社会に出てからこれほど重宝する能力はありません。
もちろん、現代文で読解する能力を身につけることは、他教科にも大きな波及効果があることをお約束いたします。
さて、センター試験までいよいよあと一か月を切りました。
公立高校入試も3ヵ月ほどですね。
な~にたかだか数か月、1日10時間以上勉強したって命を落とすことなんてありません。
それにこれは断言できます。
どれだけ勉強した受験生でも、東大に合格したような生徒でも、『いや~勉強し過ぎました。もっと少なくても良かったかなと思いました。』なんてことを言った者はただの一人もいません。
勉強にゴールはないので、やりすぎるなんてことは絶対にないのです。
もちろん、みなさんの優先順位の頂点に『第一志望合格』がないのであれば、勉強なんて頑張る必要はまったくありません。
ただ、『自分は絶対にこの大学に行きたい!』『Fランクの大学(個人的にこの言葉は好きではありませんが・・・)には行きたくない!』なんて思っているのであれば、他でもない君自身がそれに見合う努力をしてください!