長文読解がニガテなみなさんへ

先日西尾市内の中学生の実力テストが終了しました。

生徒全員にヒアリングしたのですが、3年生のほとんどから『長文が読めなくてかなり手こずってしまった・・・。』との声が上がりました。

当然です。

なぜなら中学生のみなさんは、これまでに学校で長文らしい長文対策はやっていないのですから

ですので、現時点で『読めない』ことに対して、そこまで気にする必要はありません。

しかしこれから本格的に受験生になるわけですから、そこに対する対策は当然取っていく必要があります。

 

では具体的にどんな対策を取っていけばよいのでしょうか?

まず中高生問わずほとんどの諸君が学校や塾で聞いている『英語は慣れだ!』、この幻想を捨て去ることから始めなければなりません。

確かに慣れは必要なのですが、それは『ひたすら長文を読んで、リスニング練習を何回も重ねて英語のシャワーを浴びればよい』などという乱暴な話ではありません。

次の長文を見てください。

 

 

パソコンの画面なので見にくいかもしれませんが、みなさんはこれを読めるでしょうか?

よく見るとこれ・・・フランス語なんですね。

果たしてこれをひたすら何回も何百回も読んで、みなさんは読解できるようになるのでしょうか?

よくよく見ると、英語に似た単語もあるのでふわっと理解することはできるかもしれませんが、読解というレベルには程遠いのではないでしょうか?

当たり前の話ですが、フランス語を学ぶにはフランス語の文法を、ドイツ語ならドイツ語の文法を学ばなければなりません

これは英語も同じです。

『英語のシャワーを浴びてマスターしよう。』が通じるのは、本当に幼いころから英語に触れているお子さん、または日本人がいないような英語圏の国で生活している人だけです。

ですのでまずは英語の構造や正しい読み方を知る必要があります。

 

例えばですが、多くの中学校や高校では『英語の文章を後ろから訳しなさい』という謎の指導をします(これは学校が悪いという話ではなく、国全体の英語教育の方針によるものです)。

そのため、公立高校のリスニングテスト、センター試験のリスニングテスト、いずれもなぜか『2回』音声が流れます。

これは『あなたたちは返り読みの習慣が染みついてしまっているから、1回では聞き取れませんよね?』というメッセージです。

TOEFLにしてもTOEICにしても、世界で音声が2回流れるリスニングテストはありません。

 

 

次の文章は愛知県の公立高校入試問題の長文の一文です。

 

They welcomed people with tea in a special room called a chasitsu.

 

この文章を訳しなさい、と言われたらみなさんはどうするでしょうか?

恐らくですが後ろから訳して、『彼らは茶室と呼ばれる特別な部屋に、お茶と共に人々を招いた。』みたいな感じになるのではないでしょうか?

しかしこの訳にする時、みなさんはこの1つの文章を2回読んでいることになります。

まず頭から1回、次に後ろから1回。

これが『返り読み』です。

当たり前の話ですが長文読解において、この読み方をしている人は正しい読み方をしている人の2倍の時間を割いていることになります

中高生問わず、『長文に時間がかかりすぎる・・・』と悩んでいる生徒のほとんどがこれです(もしくは単なる語彙不足)。

 

この文章は英語の文構造に従って正しく、

『彼らは招待した (誰を?)人々をお茶とともに (どこへ?)特別な部屋へ (どんな?)それは茶室と呼ばれる』

文法的に言えば第3文型なわけですがこの際それはどうでもよく、『英語を読むときは英語の構造にしたがって前から読む』ことを徹底しなければなりません。

強いて『英語は慣れだ』というのならば、これです。

この読み方に慣れてスピードアップを図らなくてはなりません。

 

ついでに高校生の英文も1つチョイスしてみます。

これはセンター試験レベルの文章だと思ってください。

 

So the best advertisement in the world means nothing if the product is not right for the market.

 

どんなに日本語としておかしく感じてたとしても、この文章も頭から、

そのため、世界で一番の広告でもまったく意味がない もしもその製品がふさわしくないのであれば 市場にとって

と訳さなければなりません。日本語としてスマートに訳すならば、

『そのため、もしもその製品が市場にとってふさわしくなければ、その広告が世界で最もよいものだったとしてもまったく意味がないのである。』

日本語としては美しいかもしれませんが、入試本番でこんな訳を作っていたら時間がどれだけあっても足りません

この一文は、長い長い長文のほんの1つの文章なのですから。

英語は『継ぎ足し継ぎ足し』の言語です。

冒頭で重要な情報を読み取り、その後に『どんな?』『いつ?』『どこで?』が足されていくのです。

後ろからではなくしっかりと『前から必要な情報を読み取る!』習慣をつけてくださいね。

 

残念ながら、みなさんに染みついてしまった『返り読み』を矯正するにはそれなりの時間と、それなりのトレーニングが必要となります。

中高生問わず、夏以降にこの練習をやる暇はないと思ってください(理系の高校生諸君は特にです)。

でも恐れることはありません。

今から正しいことを正しく積み上げていくだけです。

英語がニガテな生徒のほとんどが『間違った勉強法で頑張っている』だけです。

最初は大変に感じるかもしれませんが、頑張って英語を克服しましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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