精読に興味のある高校生だけがお読みください!
速読とはなんでしょうか?
もちろん英語の文章をできるだけ速く読むことです。
しかしながら、『雑に英文を速く目で追っていっても、何も読み取ることはできない』ということを、最初にはっきりとお伝えしておきます。
考えてみれば当たり前のことで、それは英語と言わず日本語でも分かることです。
手元にある中日新聞を適当に開いて、ものすごいスピードで読んでも、恐らくその内容は半分も理解できないのではないかと思います。
『速く読む=字をただ目で追っているだけ』になってしまってはいませんか??
日本語でできないことは、当然英語だともっとできません。
山口の高校時代の英語の先生は、『とにかく多読速読だ!』とか『日本語で考えるな!英英辞典で常に英語で考えるようにしなさい!』と言っていたのですが、残念ながら自分にはそのやり方は合っていませんでした。
もちろん、その先生の指導で旧帝大や早慶上智に合格している同級生が何人もいましたので、その先生の指導法は間違ってはいなかったのでしょうが、少なくとも『偏差値40くらいの英語力』しかなかった山口には合っていなかったのです。
ではどうすれば速読ができるようになるのか?
もしみなさんが速読にお悩みなら、どんなに遠回りに感じても『徹底した精読』にこだわってください。
それは言い換えると、とことん文法にこだわるということです。
誤解のないようにお伝えしておきますが、これは速読や精読に困っている人に向けてお話しています。
現時点で偏差値が65を超えていて、英検準1級くらいの長文がスラスラ読めるのであれば、実践する必要はありません。
それではよろしいでしょうか??
早速次の文章をさっと読んでみましょう。
The openness of the United States to the outside world has given American education a global reach unmatched by any other country.
当塾の高校生以上の塾生はみんなご存知ですね?
この文章が5秒以内に正確に訳が頭に浮かぶのであれば、この先は読む必要がありません。
なかなか訳出がうまくいかなかったそこのみなさん!
一緒に頑張りましょう!
この文章のように1文が長くなると、動詞っぽいものもたくさんあったり、名詞もたくさんあってどれが主語になるのか分かんなかったりで、悪戦苦闘してしまう高校生諸君もいるのではないでしょうか??
ただ先に言っておくと、この文章、めちゃくちゃ簡単です。
次の3つの文章がすっと訳せるなら、この文章もあっという間に訳せますよ!
①He has lived in Nishio for 15 years.
②My mother gave me a new watch.
③The glass broken by him is mine.
①は現在完了形(中3文法)、②はgiveを使った文章(中2文法)、③は分詞による後置修飾(中3文法)ということで、実は中学文法さえ完璧であれば、この文章は8割方は理解できます。
残りの2割が高校文法ですね。
まずは厄介な高校文法の方から処理していきましょう。
もう一度この文章を見てみましょう。
みなさんは主語を何にしましたか??
英単語1語で答えてみましょう。
The openness of the United States to the outside world has given American education a global reach unmatched by any other country.
これは即答で”openness ”を選ばなければなりません。
答えは簡単で、『最初に”the”がついた名詞が出てきたら98%主語(山口調べ)』だからです。
”the United States”を主語にしてしまう中高生が散見されますが、ここでは100%主語にはなりません。
なぜなら『前置詞ofがついているから』です。
前置詞がついた名詞は、みなさんの目にどう映ろうが絶対に主語や目的語にはなりません。
というわけで、主語は”The openness”に特定できました。
The openness of the United States to the outside world has given American education a global reach unmatched by any other country.
次は動詞。
その前にみなさん、次の日本語を読んでみてください。
『私は朝起きて、朝ごはんを食べたあと慌てて家を出て自転車に乗り、学校へ向かった。』
この文章の主となる動詞は何でしょうか??
これはすべての中高生が即答で『向かった』だと答えます。
『起きて』『食べた』『出て』『乗り』『向かった』と、5つの動詞があるにも関わらずです。
私たち日本人はその言語体系と普段使用している感覚から、主節動詞が文末に来ることを理解しています。
もうこれについてはあれこれ考えなくても、感覚で分かりますよね??
ところがどっこい英語ではそうはいかない。
ただし英語にも、主節動詞を発見する明確なルールがあります。
ここで先ほどの短い文章を例に説明しましょう。
③The glass broken by him is mine.
この文章には”broken” と ” is” という二つの動詞がありますが、みなさんはどちらを主節動詞に選びましたか??
これは ” is” と即答しなければなりません。
”broken”が主節動詞にならない理由は、この動詞が過去分詞であるにも関わらず、”be動詞”がないという不完全な動詞だからです。
これを文法的には『準動詞(不完全な形の動詞)』と呼んだりしているみたいですが、ここではそれは重要ではありません。
不完全な形の動詞は絶対に主節動詞にならない、そして不完全な形の動詞は必ず何かを修飾する、この2点だけ覚えておけば大丈夫です。
③The glass broken by him is mine.
『そのグラスは私のものです。』+(どんなグラスなのかというと)『彼によって壊された』
『彼によって壊されたグラスは私のものです。』
となりますね!
ここでもう一度本文に戻ってみましょう。
The openness of the United States to the outside world has given American education a global reach unmatched by any other country.
この文章には赤字部分の2つの動詞がありますが、もうこれでみなさんにはどちらが主節動詞なのか分かるのではないでしょうか??
最初のhas givenはしっかりとした現在完了形の動詞ですが、次のunmatchedは、過去分詞であるにも関わらず、be動詞がない不完全な形なので、こちらが準動詞ということになります。
ですので主節動詞はhas givenですね!
これで主語と動詞が特定することができましたー。
・・・長い!
いつも授業で口頭で話すとあっという間なんですが、文字にするととてつもなく長いですね!
そしてこういった精読に慣れていないみなさんは(え!こんな面倒くさいことやらないといけないの!?)と思っているかもしれませんが、大丈夫です。
しばらく練習すると慣れてしまって、こんなこと考える間もなく勝手に主語や動詞が浮かび上がって見えてきますから。
ただ練習もなしに、闇雲に高速で
The openness of the United States to the outside world has given American education a global reach unmatched by any other country.
を100回読んでも、みなさんの英語力向上には一切つながりません。
今は時間がかかってもよいので、しっかりと精読のルールを叩きこんで、その上で速読多読してください。
適当な速読なんて『百害あって一利なし』ですよ!
それでは続きはまたこの後で・・・。