高校生にはぜひ理解してほしい英語の文型の重要さ

本来であれば、たまりにたまった『合格体験記!』や『成績優秀者発表』をご報告させていただきたいところなのですが、最近非受験生の体験授業をやらせていただいて気付いたことを書かせていただきます。

ちなみに今回の内容、対象は高校生です。

発信は高校生に向けてさせていただきますので、いささかフランクな口調になるかもしれませんが、ぜひぜひ保護者様にもご参加いただきたいです

さて、早速ですがこれ、自分で言うのもなんですが私山口が編み出しました。

いや、編み出したもくそもないのですが、結構的を得ていると自負しております。

高校生諸君のみなさん、次の文章はどう訳すでしょうか?

(1)My father made the desk.

『バカにするな!』という声が聞こえてきそうですが、いや、もう真面目も真面目、大真面目に言っています。

もちろん、『私の父が机を作った。』です。

しかし次の文章になるとどうでしょうか??

(2)My father made the desk study.

“study”という単語が足されただけなのですが、ここ数か月で山口が体験授業をさせていただいた高校生のほとんどが間違えています(割と英語が得意という子も間違えました)。

一番多かった誤答例は『私の父は勉強用の机を作った。』でした。

My father made the desk to study.だったらその答えでよいです。

中2でやる不定詞の形容詞的用法で、”I want something to drink.”で、これなら『飲むためのものが欲しい』みたいに訳してましたもんね。

でも(2)の文章には不定詞の”to”など存在しません。

(2)の文章は高校生ならご存知の第5文型『SVOC』なので、しっかりと使役で訳さなければなりません。

どんなに日本語が変だとしても、きちんと『私の父は机に勉強をさせた。』と訳さなければアウトです(余談ですが、みなさん”My father made me study.”だと100%『私の父は私に勉強をさせた。』と完璧に答えてくれます)。

なぜこんな間違いが起こるのかと言うと、まず『机に勉強させる』なんてあり得ないという先入観があります。

二つ目は、日本語という言語があまりにも自由である点にあります。

第一の理由から解消していきましょう。

例えばこんな日本語だったらどうでしょうか?

『私の父は、その高名な魔術師によって命を吹き込まれた机に学習をさせた。』

実際の世界ではありえないかもしれませんが、ハリーポッターの世界ならありえるかもしれませんね(私ハリーポッターを観たことはありませんが…)。

これならこの文章は次のようになります。

 (3)My father made the desk which was animated by the celebrated wizard study.

ちょっとSVOCのO(the desk which is animated by the celebrated wizard)の部分が長いので、OとCと入れ替えて、ついでに英語では頻繁に省略される関係代名詞とbe動詞も消してしまいましょう。

(4)My father made study the desk animated by the celebrated wizard.

これで英語の語順通りに左から右に訳すと、『私の父は勉強をさせた(誰に??)その高名な魔術師に命を吹き込まれた机に。』となります(made study…ってなんやねん!と思う感覚も大切です)。

『机に勉強をさせるなんてあり得ない!』なんていくら君が主張しても、英語の文章は語順が全てですので、君の主観など百害あって一利なしなのです。

そして、これが決定的なのですが、日本語と英語はあまりにも構造が違い過ぎるのです。

例えば日本語で、『私の父さんが作ったんだ~、勉強用の机を。』なんて言っても通じてしまいますよね?

もうめちゃくちゃな語順でもいいし、『勉強用の机』というフレーズも、『勉強の机』なんて言ってもおそらく100人中100人に通じてしまうでしょう。

でも英語ではそうはいきません。

(2)の文章、My father made the desk study.という文章を聞いて、(あ、お父さんが勉強用の机を作ってくれたのか~)などと受け取るネイティブスピーカーは1人もいません。

ちなみにですが早稲田大学の商学部の長文でこのような文章があります。

“The course focused on teaching people to make fewer back-and-force eye movements across the page , taking in more information with each glance.”

偏差値60以上の大学を受験する予定の高校生諸君は、この文章を見た瞬間に、”make”が使役であることを疑わないといけませんし、”make”の直後に名詞ではない”fewer”が来ていることから、先に述べた倒置であることまであたりをつける必要があります。

ちなみに和訳は、『この方法は人々に、一目見るごとに取り入れられる情報を増やして、ページ上を視線が行ったり来たりするのを減らすことを教えることに焦点をあてていた。』となります。

ですがこれは、早稲田大学の長い長い・・・それはもう気が遠くなるほどに長く難解な長文の中のほんの一節ですので(ぜひチラ見でよいので赤本を見てください)、赤本の中にもやれ『makeがSVOC』だの、やれ『倒置が起きている』などの解説はなされていません。

厳しいことを言えば、これは高校1年生の4月で学ぶ最も基本的な内容なのです。

しかしながら、基本でありながらこれがしっかりできている高校生は意外と少ないですし、そのまま3年生になってしまうと大変なことになります。

何せもう一度高校生の最初からやり直さなければならないのですから。

断っておきますが、もちろん『SVOC』など意識していなくても、スラスラと訳が出てくる英語センスの塊みたいな高校生もいますし、ネットなどでは『日本人はSVOCにこだわり過ぎだ!』という識者もいらっしゃいます。

もちろん、本当に英語センスの塊みたいな高校生で、今回の(2)の文章も見た瞬間に、『私の父はその机に勉強をさせた。』がスパッと出てきたのであれば何の問題もありません。

でも残念ながら、間違えて訳したのであれば、みなさんは生粋の日本人であることをしっかりと受け止めて、真摯に基本からやり直す必要があります。

いくら単語を覚えても、適当に単語だけをつなげてしまったなら、まともな読解なんてできるわけがない。

確かに英語は言語ですので、小さい頃から英語のシャワーとやらを浴び続けて、英語オンリーの環境で育ってきたのであれば、みなさんが事細かに文法の学習をする必要などないかもしれませんが、ほとんどのみなさんは日本で生まれ、日本で育ち、生活のほとんどは日本語を使って生きてきたはずです。

構造が全く違う英語を学ぶ上で、文法を無視していいわけがありません。

それを矯正するのはもちろん早い方がいいに決まっているんです。

前塾(某ハ〇ジのCMで有名な塾です)で勤務させていただいていた頃から毎年毎年、高校3年生になってから慌てて駆け込んできて、体験授業を受けて絶望する受験生をたくさん見てきました。

受験科目の中で最も時間がかかると言われる英語を、高校3年生になって、また一から文法をやり直し、並行しながら英単語やイディオムも覚えて、志望校対策もやりながら国語や数学、理科社会までフォローする・・・、そんなことできるわけがないんです。

もう一度いいます。

みなさんが英語の文章を見て、スラスラと苦も無く訳が出てくるのであれば、山口が今回話した内容など無視していいです。

しかしながら少しでも引っかかるものがあるのであれば、しっかりと基礎からやり直してください。

最も効率が良いのは完全1対1のマンツーマン指導だけです。

集団授業では君の細かな弱点までフォローすることはできません。

なぜなら集団授業では、君の理解度など関係なく、授業がどんどん先に進んでしまうからです。

今回取り上げた『文型』や分詞や時制などの基本なくして、『分詞構文』や『仮定法』『無生物主語』『倒置』などの指導を集団授業で受けても絶対に理解できません。

集団授業というのは、それまでの授業をしっかりと理解し、分からない単元をその都度その都度理解してきた中高生にのみ有効な指導なのです。

・・・というわけで、結局のところ長くなってしまいましたが、要点はシンプルです。

(2)の文章を、『私の父は勉強用の机を作った。』と訳してしまった高校生のみなさんは、ぜひぜひ体験授業を受けに来てください。

高校3年生のみ受け付けを終了しましたが、体験授業と学習相談だけは全力でご対応させていただきます。

あと最後に、コロナウィルスで何を勉強したらよいか迷っている中高生諸君、暗記を頑張ってください!

マンツーマン授業で理解してもらえなかったなら、それは私たち講師の責任ですが、暗記をやれていないのは100%諸君の責任です。

サボってるだけです。

暗記だけは平等に、いつでもだれでもできる学習です。

書いて声に出して、何度も反復してしっかりと暗記しましょう!

※追記:ちなみに山口ですが、高校2年生時点での英語の偏差値は30ほどでした。

英語の先生に相談したところ、『とりあえず単語を全部覚えなさい』とご指導いただき、死に物狂いで高校3年生までに『ターゲット1900』を全て覚えましたが・・・結果は変わらず30のまま。

最終的に高校3年生の冬には70を超えましたが、それは単語の暗記に加えて英語の精読をきちんとやったからです。

『学問に王道なし』『急がば回れ』

短期間の少ない努力で劇的な効果を生む学習法など存在しません(あれば世の中にこんなに塾や予備校は存在しませんし、精文館書店にもあれだけの参考書は並んでいないでしょう)。

みなさんはどんなにしんどくても、愚直なまでに地道な努力を積み重ねてください。

単語やイディオムを覚えるなんてのは初歩も初歩、やって当たり前です。