昔昔のお話

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雑談

これはもう6年くらい前の、前塾でのお話になります。

あ、先に言っておきますが雑談です(いつも雑談みたいなものですが・・・)。

4月の終わりくらいにとある小学6年生の男の子が体験授業を受けに来ました。

志望校は東海中学(※愛知が誇る中高一貫校で、医学部の合格率は全国トップの超難関校です)。

正直これは厳しいとすぐに思いました。

中学受験は、小4小5から取り組むのは当たり前で、早ければ小学校低学年から対策していても珍しくなく、専門の塾に行って家庭教師もつけて、受験直前の11月からは学校は休んで缶詰で勉強する・・・そんな厳しい世界なのです(これには賛否あるでしょうが、個人的にはそんなストイックな学びの場があってもよいとは思います。山口が小学生だったらできませんが・・・)。

理由を聞いてみると、小学校の先生に『医者になるにはどうしたらいいですか?』と聞いたら、『東海中に行くといいよ。』と返ってきたとのこと。

そこで中学受験専門の塾、日能研や名進研に行ったところ、『受かる可能性がない』とのことで門前払いだったそうです(非常に良心的だと思います。悪どい塾なら入会はしてもらって、お金はたくさんはらってもらおうと考えてもおかしくないからです)。

当然のことながら、山口も悩みました。

正直現実的にはかなり厳しい・・・なので中学受験のスペシャリストのプロ講師T先生を呼んで体験授業をやってもらい、面談にも参加してもらいました。

体験授業を終えて面談の席でT先生ははっきりとこう言いました。

『今までにもねぇ、君みたいに4月からスタートして東海目指した子はいるけど、40人近くいて1人合格してるよ。だから目指す価値はあるんじゃない?ゼロじゃないんだから。』

山口はもう衝撃を受けました。

そりゃあゼロじゃないけど・・・多分5%未満じゃん!

そしてここからは山口の仕事で提案です。

中学受験のプロ講師T先生に週2で来てもらい、夏期講習と冬期講習は合わせて40コマずつ(※普段はそんな提案しません。ただしたったの9か月でゼロから東海に受かるとなると、実際それでも足りないくらいなのです)、具体的には言いませんが、年間を通すと新車の車が買えてしまうくらいのお月謝になっていました。

ただしここで冷静に考えたいのは、他の中学受験の準備をしているご家庭は、少なくとも2年に渡ってそれに近しいことを続けてきたわけで、他のライバルが2年3年かけてやってきたことと同じ効果を、たったの9か月で得ようとするならば、それなりの対価がかかることは仕方がありません(※あまりにもお月謝が高額になるのが嫌で、当塾では中学受験は一切取り扱っておりません)。

新車の車が買えてしまうくらいのお金がかかって、なおかつ合格の確率が5%未満・・・。

ただ、選ぶのはご家庭と、何よりも本人です。

これは悩むだろうな…と思っていたら、その場で即決でした。

『もう時間がないのは分かったので早速スタートしてください!』

かくしてT先生のスケジュールをおさえて(西尾市在住ではなかったので)、東海中合格に向けて受験勉強がスタートしました。

T先生の指導は基本的に優しく丁寧で、親身になって指導するスタイルだったですが、とある日にこんな厳しい声が聞こえてきました。

『これは東海を目指す受験生がやっていいミスじゃないだろう!』

『別にいいんだよ僕は、君がやってもやらなくても、君のお父さんお母さんが高いお月謝を払ってくれるのには変わりないから。』

きっつ・・・。

相手は小学生なのに容赦ないですね。

でもそれはT先生が彼のことを対等に見ていたからだと思うんですね。

それこそ同じお月謝がもらえるなら小言も何も言わず、当たり障りなく授業した方が楽ですもんね。

かくして彼の受験勉強は続いていったのですが・・・。

当たり前と言えば当たり前なのですが、7月になっても9月になっても、東海中の模試の判定は合格率20%未満で変わることはありませんでした。

もう本当にものすごい勉強量だったんです。

正直そこらの高校3年生よりも勉強してましたね。

だけど結果が出ない。

これは本当に辛いことだったと思います。

あまりに不憫で山口はつい、『挑戦することが大切なんだから、結果は恐れなくていい。』と言ったのですが、T先生はなんと真逆のことを言ったのです。

『東海中目指して今まで頑張ってきたんだろう?君のお父さんお母さんもたくさんお金払って応援してきたんだ。だったら何が何でも東海合格にこだわれ!』

正直これはどちらも正解とも間違っているとも言えないと思います。

人それぞれですよね。

でもこのT先生の激励がミラクルを起こします。

なんと最後の最後に奇跡の全勝。

そして最後に合格の報告に来てくれたときに聞いたのですがT先生、彼1人のためだけに東海中受験の日の朝(豪雪でした)、東海中の門の前に立ってて激励のエールを送ってくれたのだそうです。

塾や予備校の講師やチューターが同じようなことをやってますが、それは受験する生徒さんが何人もいるからで、T先生は彼1人のためだけに早朝から東海中の門の前で彼が来るのを待っていたのです。

後で聞いたところ、T先生の『やるからには東海にこだわれ!』が一番彼の背中を押してくれたのだそうです。

かくして当初は無謀にも思えた彼の東海中受験は見事大勝利に終わったのでした。

それにしても…お月謝すごかったなぁ・・・。

もちろん冒頭でも申し上げましたが、中学受験や高額のお月謝には賛否があると思います。

どちらかと言えば、山口は中学も高校も公立でしたし、塾にも行ったことがなかったので、中高生当時の山口なら理解できなかったと思います。

でも知りもせずに批判するのも良くないんですよね。

本人が嫌がっているならまだしも、彼は時には泣きながら勉強して、それでも合格したときは本当にめちゃくちゃ嬉しそうでしたし、高額のお月謝を払い続けたお父さんお母さんも、何度も何度もT先生にお礼を言っていました。

もちろん東海中に行ったから医者になれるとは限りませんが、順調に中学高校を過ごして医学部に合格、見事医者になったら・・・少なくとも金銭的には余裕で取り戻せちゃうんですよね。

話がそれましたがちょっと変わった受験のお話でした。

『何も小学生の頃からそんなにまでしなくても・・・』と思われるかもしれませんが、人の命を扱うお医者様という職業を目指すなら、常に努力の人であってほしいです。

不勉強不案内な医者に大切な親族を診てもらって、もしも命を落として『当院としても全力を尽くしたのですが・・・』なんてことがあっては悔やんでも悔やみきれません。

お医者様たる者、受験勉強や国家試験などはしっかりとクリアして、それよりももっともっと大切で大変な目の前の患者さんの命に向き合う人であってほしいと心から願います。

少なくとも山口が知るお医者様は、幸いなことにみなそのような方々ばかりです。

というわけで、今日は本当に雑談でした。

ちなみに当塾では中学受験を取り扱っておりませんので、三河地区なら日能研さん、名進研さん、個別教室のトライさんあたりをあたられるとよいかと思います。

当塾とはまったく畑違いのジャンルですので、正直山口も大して調べてもいないのですが、もし興味がございましたらしっかりと調べていただけたらと存じます。

中学受験はとにかく特殊で、一部悪徳な塾は小学校の授業の延長くらいに考えているところも散見されます。

中学受験はいわゆる公立の小学校の授業では絶対に対応できませんので、外部の塾や予備校が必須となりますことを心にとどめていただけたらと存じます。

それにしても今日は一転・・・全然自習に来ないな~。

気付いたら6月ももう終わり、特に高3生諸君、受験まであと7か月切ってますよ!

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