高等英語はしっかりと段階を追って学習していく必要があります

似たようなお話はこれまでにもしてきましたが、大切なことですので改めてもう一度念押ししておきます。

いつものように文章が冗長になってしまう可能性がありますので、先に簡潔に箇条書きでまとめておきます。

①大学受験レベルの英語の対策は、文系なら1,500時間、理系でも1,000時間は欲しい(※高校3年間で)

②英単語と英文法は並行して進めていく

③ライティングは②が終わってから

④リスニングについては捨てでOK、ただしリスニングウェイトが『1:1』の大学なら、それなりの対策が必要

以上です。

①についてはこれまでにも散々ご説明してきましたが、改めてもう一度。

文系理系問わず、大学受験で最も時間と労力が必要となる教科が英語です。

しかも理系であっても、残念ながらほとんどの大学は二次試験まで英語があります。

というより、理系の大学ほどリスニングウェイトが高かったりするので、実のところ理系の大学ほど英語を重視しています。

これには理由があって、例えば名古屋大学の工学部などを例にとると、将来的に英語で書かれた文献を読むことが求められ、研究テーマの発表もすべて英語でプレゼンすることが要求されているからです。

話がそれましたが、いずれにしても『文系理系問わず、英語は必須』です。

②も簡潔に。

中学校の頃の英単語と異なり、単純に『英単語の意味だけを覚える』だけでは通用しなくなってしまいます。

一つだけ例を挙げるならば、例えば”attribute”という単語。

おそらく多くの高校生は”attribute”=『~に帰する』と覚えていると思いますが、『~に帰する』とはどういうことなのでしょうか?

日本語で構いません、例文が作れるでしょうか??

当然ですが日本語で例文が作れなければ、英作文などはできませんし、それどころか英文を訳すことさえ難しいでしょう。

ちなみに山口は”attribute”は次のように整理しています。

①”attribute A to B”で、『A(の原因)がBにあると考える』、attributeやattributionを発見したら、必ず”to”を探す!

②自分で考えた例文。”The government has attributed the causes of COVID-19 to China itself.”

『政府はコロナウィルス(の原因)が、中国そのものにあると考えている。』

余談ですがこの”attribute”は名大の二次試験で出題されています。

“…. and this attribution of the actions of animals to instinct seems to have disguised from most of those who used the word the need for further study or explanation of them.”

山口の考えた例文とは違い、はるかに難しいですね。

つまり、”attribute”=『~に帰する』だけを覚えていても、高度な大学受験ではほとんど使い物にならないということです。

そして③について。

よく大学二次試験の対策として、英作文に関するご相談を受けるのですが、結論から申し上げます。

②の『英単語や文法が終わっていないのに、英作文の対策などできません。』

先ほどの”attribute”などがいい例で、例えば日本語で、『地球温暖化の原因は、先進国の行き過ぎた技術競争に起因する。』と思いついても、少なくとも”attribute” “cause to” “lead to” “give rise to”などを知らなければ、書けるわけがないのです。

英単語学習が不十分な高校生に英作文の相談を受けても、『まずは単語をやり切ろうか』としかいいようがありません。

もちろん都築先生が言うように、『簡単な表現でできるだけ簡潔に書く』ことは大切なのですが、それははっきり申し上げておきます。

『英単語を覚えるよりもはるかに難しいこと』です。

英語力だけではなく、かなりの国語力が必要となります。

そして当然ですが、『書いたこともないものが、いきなり書けるようになることはない』ということです。

英単語と文法を暗記しながら、身につけた知識を使ってとにかく書いてみる、そのとにかく手間がかかる手順を踏んでいって、はじめて英語の文章が書けるようになります。

それすらやらずに、いきなり『国立二次の英作文対策をお願いします』と言われても、『楽をしようとしなさんな』と返すしかありません。

公立高校入試レベルの英作文ではなく、100~150単語を使って、しかも文法のミスも許されない、理路整然とした解答が求められているのですから、付け焼刃の対策でどうにかなるはずがありません。

ですので、とにかく何をおいても『まずは英単語やイディオムを完璧に覚えること』、これを最優先させてください。

そして最後の④ですが、これは以前にも申し上げましたが『一番しんどくて、一番コスパが悪い』です。

正直私立大学一本であるならば、一切やる必要はありません(早稲田の国際などの一部例外は除きます)。

改めて念押ししておきますが、4技能のを難しい順に並べると、

『リスニング >>>>>>>>>> スピーキング > ライティング > リーディング』という風になります。

時間で言えば、『リスニングには最低でも5,000時間かかる』と言われているので、はっきり言ってやる意味がありません。

さらに言えば、リーディングやライティング、スピーキングが出来ていない状態でリスニングに取り組んでも、まったく時間の無駄です。

ちなみにこれは大学入学共通テスト対策のリスニングのスクリプトですが、ざっと目を通してみてください。

これが音声で流れてくるのです。

当然ですが、目で読んでみて理解ができないのであれば、当然音声だけで流れてきても理解できるはずがありません。

そして当然音声は、みなさんのペースに合わせてくれるわけでもなく、ただただ一定のスピードで流れてきます。

リーディングのように、自分のペースで読めるわけではありません。

・・・というわけで、途中ではありますが授業が始まりますので続きはまた後日!