ネイティブスピーカーの指導を受けても英語が上達しない理由

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雑談

当塾に来てくれる中高生のみなさんは英語がニガテな受験生が多く、中には『ネイティブスピーカーの英会話レッスンを受けたけれども、英語の成績が全然伸びなかった。』とおっしゃられるお母様もいたりします。

厳しいようですが、『ネイティブスピーカーの指導を受けても、英語力はほとんど向上しません。』

一番簡単な理由付けはこう考えてみるといいと思います。

『今から何の知識もなしにモンゴルに行って、日本語を教えることが果たしてできるのでしょうか?』

残念ながら、今日本国内に来ている外国人英語指導者は、9割日本語が話せません。

日本語が話せないのに、どうやって言語の指導ができるのでしょうか?

そりゃあネイティブの生きた英語を聞いて、本物の発音を耳にすることはできるでしょう。

でもそれだけです。

ここ西尾市内にも、アメリカ人やオーストラリア人と結婚した奥様がいらっしゃったりしますが、彼女達が英語を話せるのかというと、残念ながらほとんど話せませんし、彼らのお子さんも日本語は話せても、英語はまったくだったりします。

もう一度念を押しておきます。

『日本語が不自由なネイティブスピーカーに英語の指導を受けても、英語が話せるようにならないどころか、受験英語ですらものになりません。』

むしろ、『ネイティブの指導を受けているからきっと受験英語も大丈夫!』などと心得違いをして、大切な受験英語の文法を軽んじるようなことがあれば、それはプラスどころかマイナスなのだと言えます。

例えばの話、ネイティブスピーカーは普通に

“He is taller than me.”なんて言ってしまうわけですが、これは受験英語ならアウト。

なぜなら、受験英語で”than”は接続詞、なので正しくは

“He is taller than I am.”です。

“wish”にしても、ネイティブスピーカーは普通に、

“I wish I have a elder brother.”なんて言ってしまいますが、”wish”は正しくは『絶対に叶わない夢、仮定法』なので、受験英語的には

“I wish I had a elder brother.”と答えなければ×です。

(意味は「兄がいたらいいのになぁ。」くらいですが、タイムマシンで時間をさかのぼらない限り、兄や姉ができる可能性はゼロですので、ここはしっかりと仮定法過去で答えなければなりません。)

受験英語では定番の”What if SV~?”も、受験英語では仮定法なので、間違いなく過去形で書く必要がありますが、英字新聞なんかでは普通に現在形で書かれていたりします。

“What if you win the lottery?”

子供がよく言う『宝くじで1億当たったらどうする??』みたいなやつですね。

厳密に言えば、宝くじに当たる可能性はゼロではありませんので、条件の文と考えるならば現在形でもよいのでしょうが、おそらく受験的には、”What if you won the lottery?”と仮定法過去にした方が良いのですが…。

実際のところ、ネイティブスピーカーは条件だろうが仮定法だろうが、ガンガン現在形で書いたり話したりしています。

でもネイティブスピーカーが使っている英語に対して、日本人の私たちが『それは文法的に間違っている!』なんていうのもおかしな話ですよね(苦笑)。

それはさておき、こんなの序の口も序の口の話ですが、受験英語において『いやいや、ネイティブはこういう使い方もしてるんです!』なんて言ったところで、『確かにそうですね、じゃあマルにします。』なんてことは絶対に起こりません。

『そんなのおかしいじゃん!』と声高に叫んだところで、それはまったくもって不毛な主張です。。

そもそも、受験英語って文法の基礎中の基礎なので、英語教育の第一人者たちが口をそろえて言うような、『諸悪の根源』みたいな存在ではありません。

基礎はやはりとても大切で、ネイティブスピーカーの活きた英語をマスターする以前に、やはり土台を固めることはとても大切です(同時進行がベストなのは言うまでもありません。ただ、現実的には現実的にはそれはかなり難しいと言えます。大学受験には数学も国語も…、地歴も理科も必要になりますので、英語にだけ時間やお金をかけるわけにはいきませんので。)

というわけで、今回は『日本語を話せないネイティブスピーカーに英語を学んでも、英語の成績はまったく上がらない』と言うお話でした。

まあ外語学院で働いていた私がこんなこと言うのも何ですが、英語圏からわざわざ日本に英語を教えに来ているネイティブスピーカーって、ほとんどは高い志は持っていません。

日本語もペラペラの英語講師は別ですよ?

彼らの意識の高さには本当に頭が下がる思いです。

ですがほとんどの場合は、本国で仕事が見つからず、(日本に来れば、ネイティブスピーカーだからと言う理由で有難がっている日本人を相手にお金が稼げる)くらいにしか考えていません。

いや…、あの、なんか(また山口が嫌なこと言ってる!)と思われるかもしれませんが、事実なんですって!

そうじゃなきゃ、わざわざ日本に来る理由なんてないですよね??

しつこいようですが、本当に言語教育に真摯に向き合い、日本語も一生懸命マスターしているネイティブスピーカーもいますし、そんな講師にあたったなら本当にラッキーだと思います。

でもほとんどの場合は、お遊戯レベルのイベントだらけだったり、本当に日常を何とかできるレベルの英会話に終始しているだけの場合がほとんどのはずです。

言語ってそんなに甘くないです。

しつこいようですが、それは立場を置き換えてみるとよく分かります。

ご自身がいきなり外国に行って、その国の言語も分からない状態で現地の方に日本語を教えなさいと言われたならば…、絶対に無理なはずなんです。

『活きた英語』が望ましいのはもちろんですが、こと受験英語となると話は別であるということをご理解いただけたら幸いです。

それでは本日はこの辺で!

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