やっぱり”would”は仮定法だと思ってほしい

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雑談

去年の暮れに熱弁しました”would”について。

ま~この”would”が非常に厄介で、高校時代の山口を悩ませた”3大厄介な単元”に、この”would”や”could”が入っていました。

で、早速例文から。

①”It would be exciting to listen to backnumber’s song.”

もちろん、『バックナンバーの曲を聴く”ことは”楽しいだろう。』なんて仮主語っぽく訳してもいいとは思うのですが、この”to listen to”の部分はズバリ『仮定法の条件』。

さらに言えば、”remember to~”『~することを覚えている、忘れずにする』に代表されるように、”to~”には『これから何かをする』という未来のニュアンスが入ります。

したがって、①の例文のように仮定法の”would”と未来を表す”to ~”が連動した場合は、思い切って『もし~したら、○○だろう』と訳してほしいかなと思います。

なので①の文章は、『もしバックナンバーの曲を聴いたら、テンション上がると思うよ!』くらいの感じでいいかなと。

なお、これが入試レベルになると次のようになります。

②”We are none of us exactly like everyone else, and it would be unreasonable to suppose that the books that have meant a great deal to me should be precisely those that will mean a great deal to you.” (近畿大学)

(山口の作った例文と全然違うやんけ!)というツッコミが入りそうですが、①レベルの簡単な文章の理解なくして②を読解できることなどありえません。

②の文章の末節枝葉の文法はさておき、逐語訳で左から右に流すと以下のようになります。

『私たちはまったくいない、同じような人は、だから合理性に合わないということになるだろう、”もしもthat以下のように考えるならば”、私にとって大きな意味を持った本が、あなたにとってもまったく同様に、大きな意味を持つ本になるはずだと(考えるならば)』

模範解答の和訳ですと、『私たちは誰一人として自分以外の人と全く同じということはなく、私にとって非常に大きな意味を持った本が、同じようにあなたにも非常に大きな意味を持つことになるはずだと考える”ならば”、それは理屈に合わないことであろう。』だそうです。

やっぱり個人的には、”would”と”will”はまったく別物の単語と考えてほしいです。

もちろん文法的には、『”would”は”will”の過去形』なのでしょうが、そもそも『未来を表す”will”の過去形ってなんやねん!』という疑問が出てくるはず。

“would”には③『過去からの未来予想』や④『過去の習慣』などもあるにはありますが、その場合は露骨に過去を表す表現がくっついてきますので、その時に改めて対応すべきだと思います。

③”Little did I dream (that) I would be able to pass the entrance exam!”『入試に合格するなんて、夢にも思わなかった!』

ここでは”Little did I dream~”の部分がもろに過去形の動詞ですので、『過去からの未来予想』だと判断できます。

④”I would play baseball when I was a child.” 『子どもの頃は野球をしたものだった。』

これも”when I was a child.”のカタマリが過去を表しているので、『過去の習慣』だと判断できます。

まあとにかく、『とりあえず”would”を見かけたら仮定法』と思う習慣をつけてほしいです。

今年から中学3年生から本格的に『仮定法』を学ぶということですので、ぜひぜひ中学生の頃から”would”に慣れ親しんでおいてほしいです。

山口のように、『高校に入学してから2年間、”would”がまったく理解できなかった』などということがないように...。

あ、箸休めに愛猫の『ぽぽりーた』でもどうぞ。

【ついでに言えば、”could”も”can”の過去形ではない】

もう全然違う助動詞だと思った方がいいです。

例えば次の文章の何が間違いか分かるでしょうか?

⑤”I couldn’t catch the last train last night.” 『昨日は終電に乗り遅れた。』

これ、もちろん普通にネイティブさんにも伝わりますが、厳密に言えば×、受験ならば100%×になってしまいます。

“could”は『過去における特定の機会に、できたのか、できなかったのか』の場合には使えないというルールがあります。

何ですと?

よく分からない??

それならこんな感じでどうでしょうか?

×『一日以内で”できる””できない”の話なら、”could”は使えない』

〇『一年くらいの長期間にわたって”できる””できない”の話なら”could”は使える』

くらいの感じで(山口調べ)。

例えば⑤の文章、もちろん時間の長さで言えば数分くらいの話なので、当然”could”は使えません。

じゃあ何を使えばいいの?という疑問が出てくると思いますが、

〇”I wasn’t able to catch the last train last night.”

〇”I failed to catch the last train last night.”

なら全然OKですね!

なお、一応山口昔は野球をやっておりまして、それなりにそこそこできていたと自分では思っているのですが、当然長さ的には年単位のレベルの話なので、

“I could play baseball.”『昔は野球ができた。』

もちろん、年齢的に今は厳しいわけですが…。

【『やろうと思えばできるわ!』の”could”】

“I’m so hungry that I could eat a horse.”(関西外国語大学)

めちゃくちゃ簡単な文章やんけ!と思うなかれ、れっきとした『外国語大学』の問題です。

ちなみに問題では、”could”の部分が選択肢になっているのですが・・・・。

そもそもこの文章、主節の”be動詞”が現在形なので、この”could”も過去形ではありません。

意味的には、『私はお腹が空いているので、その気になれば馬一頭丸ごと食べられるだろう。』という意味になるわけですが、現実には『馬を一頭丸ごと食べる』なんてことはあり得ないので、これも『仮定法』ということになります。

ほらあれですよ、『死ぬと思ったわー!』とか『嬉しすぎてもう死んでもいいわ!』みたいな感じです。

実際には『死ぬほど』のことではなかったり、『実際には死ねない』ですよね?

というよりも、誤解を恐れずに言わせていただくならば、”could”も8割方『仮定法』(※山口調べ、実際の数字は分かりません)。

『できた!』『できなかった・・・。』の話で”could”や”couldn’t”を使うことはあまりありません。

もちろん先ほど申し上げた通り、年単位レベルの話であれば全然使えますが。

【”I could not have pass the entrance exam.”は『私は試験に合格できなかった。』ではない】

高校生のみなさんならご存知かもしれませんが、『助動詞+have+過去分詞』は『300%仮定法』です。

“If”がなくても。

“I could not have pass the entrance exam.”は感覚的に取るならば、『私は試験に合格できなかった”だろう”。』

つまり、『実際に試験には合格できた』ということになります。

例えば、”Without your advice, I could not have pass the entrance exam.”ならば、『あなたのアドバイスがなければ、試験には合格できなかった。』となります。

しつこいようですが、『実際には合格している』んですね。

というわけで、まあ何やら文章にすると分かりにくいかもしれませんが、とにもかくにも『”would”や”could”は”will”や”can”とは違うもの!』と思っていただけるだけでも嬉しいです。

そうじゃないと、”It could not have been better!”『最高だったよ!』なんかも理解できないですからね...。

ちなみに直訳は、『これ以上良くなる可能性はなかった』くらいに『最高だった!』となります。

というわけで、簡単そうだからこそ逆におろそかにしがちな助動詞”would””could”、もちろん普通に中学校の授業で登場するわけですが、もう本当に念押しさせてください!

おそらくですが、中学校の授業では『”could”は”can”の過去形で、”would”は”will”の過去形だぞ~。』と指導しています。

厄介なのは、それは文法的には間違いではないということ。

また、今回取りあげたような内容は、中学生全員が理解するにはハードルが高すぎるのです。

公立の中学校の授業は、『勉強に意欲のある生徒も、まったくやる気のない生徒も、おしなべて全員が理解できるような授業』をしなければならないのですから、そもそも今回取りあげたような内容も、学校の先生方が触れることはありません。

というよりできないと言った方が正しいでしょうか?

今回は飽くまでも局所的な例を挙げさせていただきましたが、英語も数学も中学の頃の素地が非常に重要。

その土台なくして、高等英語や高等数学の理解はあり得ないということをご理解いただけると幸いです。

というわけで、完全な自己責任ではありますが、誤って身につけた知識のせいで高校時代に大いに苦しんでしまった山口の体験談でした。

英語を頑張る高校生のみなさんの助けになれば嬉しいです。

しつこいようですが、英語も日本語も言語という点では一致していますが、正直その文法や思考においてはまったく別のモノですので、『何となくの理解』ではなかなか点数には反映されません。

・英単語やイディオム

・完璧な文法の理解

・構造を理解しながらの緻密な精読

・これらを踏まえた上での感覚的な速読多読

すべてが必要な要素であり、数か月や1年そこらの努力では結果に現れることはないです。

『英語のシャワーを浴びて英語を自由自在に理解する!』、そんな甘言に惑わされないでください。

中高生のみなさんが果たして、『アラビア語のシャワーを浴びまくって、アラビア語を自由に話せる』ようになるのでしょうか?

断言します、なりません。

英語や数学などのように、質・量ともに重たい教科は、一刻も早く正しい対策を取ってください。

※中学生のお子さまの保護者様へ。

今回取りあげた”would”や”could”に関しては、完璧に理解できていなくても、公立高校入試では大きな影響を及ぼすことはありませんのでご安心ください。

ただ、高校に入学してからは100%の理解が求められますので、そのことだけ胸の片隅にとどめていただけたら嬉しいです。

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