英語についての雑談(※本当にただの雑談です)
よく英語に悩む中高生のみなさんから、『リスニング対策はどうすればいいですか?』という質問を頂戴しますが、塾生のみなさんはご存知の通り、山口は『やらなくていいよ。』と返しています。
ただ誤解のないように、いくつか箇条書きで所感をまとめておきます。
①リスニングは4技能の中で一番難しく、コスパが悪すぎる
②学校で取ってくれるリスニング対策はしっかりと受けてほしい
③国公立二次でリスニングを課している大学は実は少なく、共通テストのリーディング比率が『1:1』の大学も実はそんなに多くない
こういったところでしょうか?
ただ山口個人は、一日に英語に割く学習時間が5時間あるとして、その内4時間はリスニングに充てています。
逆に言えば。
それだけ勉強して『かろうじて現状維持』なんです。
リスニングはスピーキングなどよりもはるかに難しいです。
もうその難易度はダントツですね。
リスニングの条件として、
・一通りの英単語やコロケーションを知っていて、聞いた瞬間に脳内変換できる状態でないといけない
・慣用表現についても一通り知っておかなければならない
・話者は聞き手を待ってくれるわけではないので、次から次へと耳に入ってくる情報を処理しなければならない
例えばですが、今リスニングのテキストを適当に開いて、目についた文章を書いてみます。
女性:Hi, Greg, did you end up investing in that company?
この時点で、『end up ~ing⇒結局~する』、『invest in ~ ⇒~に投資する』を知らなければアウト。
もう次の瞬間には、
男性:Yes, I bought some shares, but the price has already gone down!
これも『shares=株』『go down=~が下がる』を知らなければアウト。
これらの情報が文字ではなく、音で流れて来て同時に処理をしなければならない。
なお、女性:『ねぇ、グレッグ。結局あの会社に投資したの?』
男性:『うん、株をいくらか買ったよ。でも株価はもう下がっちゃったけどね!』
もちろんこの後も延々と会話は続いていきます。
日本に住みながら、日本語だけで暮らしている私たちに、これを苦も無く聞き取ることは至難の業です。
『はっきり言って、時間がない高校生がこれをやるのは時間のムダ』とはっきり言わせていただきます。
これまた誤解のないように言わせていただきますが、『英会話を何とかしたい』程度なら頑張る価値はあります。
しかしながら、大学受験レベルのリスニングを何とかしようとするのであれば、これはもうとんでもない時間が必要となります。
③で述べましたが、だからこそほとんどの国立大学が『リーディングとリスニングの比率を1:1にしていない』のです。
そんなの無理ですから。
『リーディングとリスニングの比率を1:1にしましょう!』と言っているのは文部科学省だけ。
ほとんどの冷静な大学は冷ややかな反応です。
なぜだか理系学部の方が忠実に『1:1』を守っているところが多いようですが、理系はそもそも二次試験の英語ウェイトが低めなので、やっぱりリスニングを頑張る必要はそれほどないと思われます。
【英会話教室では英語力はほとんど上がらない】
体感ですが、『中学校1年生の英語まで』くらいならまあやる意味はあるのかな?と思います。
これまでに、『英会話教室に通っているのに、英語の成績が上がらないんです』という中高生に、数えきれないほど会ってきました。
先ほども申し上げた通り、『他愛のない日常会話をできるようになりたい』のであれば、英会話は非常に有効です。
しかしながら、私たちが取り組むのは、飽くまでも高度な受験英語の話。
『久しぶりですね。今日はいい天気ですね。どういったご予定ですか??』
『今日はベルサウォークで欲しかった本を買おうと思っています。』
これくらいの内容なら、英会話でも充分対応できるでしょう。
しかし受験で私たちが取り組まなければならない英語は、
“This may very well be my way of avoiding that embarrassing student query, “Why do we have to know this?” All the same, it remains a good question, whether posed by the teacher or the student. In this age, no sensible person ought to do without asking what is indispensable to learn.”
おそろしいことに、これが大学受験の文章なのです。
『英語』と一口に言っても、『英会話』と『受験英語』はまったく別物です。
そしてさらに恐ろしいことに、『英会話教室に通っているから、まあ何となく大丈夫なんでしょ??』と思っていたら大変な大事故になってしまいます。
誤解を恐れずに言わせていただくならば、この英文が解説できる英会話講師は、ネイティブも含めてほとんどいません。
もちろん、ネイティブはこの英文を苦も無く理解していますよ?
ここで山口が言いたいのは、『これを日本人の学習者に、きちんと説明できる英会話講師はそうはいない。』ということが言いたいのです。
なお、ここではその詳細な解説は避けさせていただきますが、和訳は以下の通りです。
『これはおそらく、「なぜこんなことを知らなければならないのか?」という、学生がよくするいつもの厄介な質問を回避する私なりのやり方なのだろう。にも関わらず、その質問をするのが教師であれ学生であれ、この質問が良い質問であることに変わりはない。現代では、賢明な人間なら学習に不可欠なものは何かと問うべきだからだ。』
これを本気で解説しようとするならば、指導する側が英単語や英文法を完璧に理解していることはもちろんのこと、高い日本語力を有していることが絶対条件、だから『ネイティブスピーカーはこの英文を理解していても、日本人に指導することは極めて難しい』と言わざるを得ません。
そこでもう一度申し上げます。
『英会話教室に通っているだけでは、受験英語に対応する力は身につきません』
【『日本の空港に着いた瞬間に英語力の劣化が始まっている』】
これは当塾オーナーの都築先生の言葉です。
都築先生は北アメリカとオーストラリアで、計4年間生活しており、受験英語も活きた英語もバリバリなのですが、それでも日本に住み続けている限り、英語力は劣化し続けると言っています。
それもそのはず、私たちは普段日本に住みながら、英語とはまったく音声も文法も、思想も土台も異なる日本語を聞いて、話して、考えながら生活しているからです。
ここで冒頭の話に戻るのですが、この環境下で『英語のリスニング力を向上させ、なおかつ維持する』となると、これはもう並大抵の努力では難しいです。
リーディングは満点を取って当たり前、プラスアルファで英語学習だけで『毎日8時間くらい費やす』くらいの覚悟と行動力が必要となり、ただでさえ忙しい中高生のみなさんにとっては、極めて非現実的な話です。
このことは主役である中高生のみなさんが知っておくことはもちろんですが、同時に保護者様も周知しておかなければなりません。
中高生のみなさんは、『部活も頑張りながら』『スマホや漫画などの誘惑にも耐えながら』『時には友人と楽しい時間を過ごしながら』、英語の学習をしなければなりません。
そして中学生ならば5教科、高校生ならば最終的には5教科7科目の学習をしなければならないのです。
正直に申し上げて、これは相当厳しいのです。
何となくで中学3年間を過ごして、まあ何となく公立の進学校に合格して『平日2時間、土日祝に4時間勉強』くらいでは、本当のところ何とかできるような質と量ではありません。
だからこそ、『効率のよい、正しい学習が必要』になります。
そんなわけでもうすぐ4月。
これから中学3年生のみなさんは、思い思いの高校に進んで行くことになると思いますが、『一番大切なのは高校1年生』。
3年生ではありません。
3年生が大切であることは言うまでもなく、そんなのほっといてもみんながむしゃらに頑張ります。
高校3年生は追い上げる時ではなく、『何とかして現状を維持する1年間』になります。
高校1年生の間に素地を作り、2年生3年生に備える必要があります。
特に英語と数学という重たい教科は。
先の話をすると鬼に笑われるかもしれませんが、高校に合格した後の4月5月こそ頑張ってください。
というわけで、結局のところ暑苦しい話になってしまいました(笑)。
【最後に一言!】
『英語が好きなんで、将来英語で食べていきたいんです!』という中高生諸君は、なりふり構わずリスニングも頑張ってください!
上記の話は『飽くまでも大学受験にフォーカスした話』であって、本気で英語で食べていくつもりなら、言わずもがなリスニングなんて余裕でこなす必要があります。
『英語が話せる帰国子女やバイリンガル』なんて、そこら中にいます。
その中で、本当に世の中のニーズに応えて、それでお金をいただこうとするのであれば、『英語でコミュニケーションができます』なんてのは当然の話。
『英語も日本語も話せて、その上で君の武器を持っていなければならない』と心得てほしいです。
よく、『英検準1級の単語は大学受験では出ませんよね??』と聞かれますが、確かに出ません。
そんな難しい単語は出題されませんからね。
だからと言って、『これから英語で食っていこう』としている学習者が、受験で使わないからという理由で英語学習を怠るのは、姿勢として正しくありません。
なお余談ですが、弊ブログによく登場する、昨年難関国立大学に合格した卒塾生は、高校2年生の冬に英検準1級に合格しました。
もちろん、高校2年生で英検準1級に合格したということも素晴らしいのですが、その後も山口の指導を受け続けてくれたこと、この学習姿勢にこそ彼女の強さがあったのだと確信しております。
英検準1級取っちゃえば、結構な大学が『満点扱い』にしてくれますからね。
受験一点でだけ考えるならば、彼女は高校2年生の冬に英検準1級に合格した時点で、英語に充てる学習時間をすべて他教科に回すこともできたはずなのに、最後の最後まで英語を頑張っていました。
大学が求める...、ひいては社会が求める人材はそういう主体的な人間です。
というか、それが受験で出ようが出まいが、『同じ英語』ですからね。
英語で食っていきたいのであれば、4技能は頑張って当たり前。
今回の『リスニング』に限定してお話するならば、『英語を聞き取れない人』と、英語を使って仕事をしたいと思うでしょうか?
(あ、この人はリスニングがニガテだから、こっちも合わせてゆっくり話さなきゃ...)、そう思わされる相手を仕事のパートナーに選びたいと思うでしょうか?
『大学受験には英語をそこまで頑張る必要がなかったので、リスニングは捨てて他教科を頑張りました』と平然と言ってのける人材に、英語を必要とする責任ある仕事を任せたいと思うでしょうか?
ちなみにうちのような場末の塾でも、そんな人材に英語の指導を任せようとは思いません。
常に自己の英語力の研鑽を怠らず、献身的な姿勢で中高生の指導に全力を注いでくれる講師にだけ、当塾の塾生の指導をお願いしております。
そしてこれまた山口個人の話になってしまいますが、山口の高校時代に『英語を使った職業に就きたい!』と言っていた同級生は、ほとんどがまったく英語が関係ない職場で働いています。
世の中そんなに甘くないです。
『何かでお金をいただく』ということは、そこに大きな責任が伴いますし、払う側が『その価値がない』と判断すれば、当然収入にはつながりません。
本気で英語を頑張るのであれば、打算的な思考は一切捨てて、すべてを英語に捧げるくらいのつもりで取り組んでほしいです。
以上、最後は山口の独り言でした!