“allow”は『許す』じゃおまへんで!!!
先日めちゃくちゃ嬉しいことに、とある西高3年生の男の子から、『この前に全統模試、塾で教えてもらった問題がそのまま出たので正解できました!』というご報告をいただきました。
いや~めっちゃくちゃ嬉しい!
最初に言っておきますがこちらの西高生、多分今回の記述模試も偏差値60を超えます。
うちの塾生は超えますよ。
もちろん、山口の授業をきちんと聞いてくれて、復習を怠らなかったからこそ正解できたわけで、山口の力などミジンコほどのものです。
その問題とは”allow”という英単語の問題なのですが・・・。
もしこの”allow”を『許す』という意味で覚えているのであれば、その認識はすぐに改めた方がいいです。
ちなみに『(何かを)許す』という単語は、”forgive” “permit” “tolerate” “overlook” ・・・多少のニュアンスの違いはあれどもこういった単語であって、”allow”そのものに『~を許す』という意味はありません。
でも単語帳を引いてみるとでかでかと『Aが~するのを許す』と書いているわけで、『どないやねん!』と高校生のみなさんは思うかもしれませんね。
【”allow”の大切な3つの意味】
まずひとつ目です。
“allow”という単語はほとんど”enable”と一緒です。
正しい語法は『allow 人 to do』で『(Sのおかげで)人が~できる』となります。ですので・・・。
① My English ability allows me to communicate with many people.
『英語の能力のおかげで、私はたくさんの人と意思疎通ができる。』
また、
①’ Nobody is allowed to use smartphones in this area.
『ここでは誰もスマートフォンを使用できません。』
というわけで、”allow”そのものには、その人が何かよくないことをやってしまって、それを”許す”という意味はないのです。
とはいえ、おそらくこれはちゃんと英単語の勉強をやっていれば誰でも知っていることで、もちろん今回の全統記述模試で問題になったのはこれではありません。
今回の全統記述の文法問題で取り上げられたのはこちらです。
② You should allow an hour for going to Nagoya by car.
『車で名古屋に行くなら1時間は見ておかないとね!』
『allow 時間など for 名詞/~ing』で、『~するのに〇時間を考慮に入れる』という語法があります。
ほとんどの受験生は”allow 人 to do”の用法は知っていたでしょうが、この②番目の用法を知らなかった受験生はおそらく全員アウト。
むしろ”allow”そのものを全く知らない受験生の方が、まぐれの指運で正解した可能性すらあります。
『生兵法は大怪我の基』といいますが、中途半端な知識ではまぐれ当たりの可能性すらなくなってしまうのです。
もちろん、今回この問題を間違えた高校3年生は、全員しっかりとテスト直しをやってください。
さらに偏差値65以上の超絶難関大を目指す受験生のみなさんは、③番目の語法も理解しておくひつようがあります(※なお、共通テストでは出題されません)
③ The old must place their wisdom and experience at the service of the young, yet allow the vitality, energy and enthusiasm of youth freedom of scope, while the young must respect and honor the achievements and practical sense of their elders and place their physical strength and vigor, while they still possess them, at the service of the continuing community.
おそろしい・・・。
れっきとした某超絶難関大の和訳問題です。
全体を通してまぁまぁ小難しい話をしているわけですが、受験生のみなさんが注目すべきは、当然文中にある”allow”の用法です。
今回に限っては見ての通り、①”allow 人 to do”でもなければ、②”allow 時間やお金 for 名詞/~ingのどちらでもありません。
それどころか、”allow”という動詞の直後に、
『the vitality, energy and enthusiasm of youth』
『freedom of scope』
という二つの名詞が連続していることに気付く必要があります。
そうなんです、”allow”は”give”と同じで、『allow A(人) B(物)』=『人に物を与える』という意味があるんですね。
多分ほとんどの高校生が知らないのではないかと思われます(※残念ながらLEAPにも載っておりません)。
そうなんです。
本気で難関大を目指すのであれば、『LEAP』に載っている英単語は全て覚えてあたりまえ(隅から隅まで)。
その上で、市販の単語帳には載っていないような意味や用法まで覚えなければならないのです。
だからこそ高校生のみなさんは、高校に入学した1年生の4月から全力で単語学習に取り組まなければなりません。
そうじゃないと、小学生の頃から大学受験対策をやっている中受組と互角に戦うことなんてできないんです。
・・・とまあいつも通り語気荒げに蘊蓄を語ってしまいましたので、もう一度先ほどの英文を見てみましょう。
③ The old must place their wisdom and experience at the service of the young, yet allow the vitality, energy and enthusiasm of youth freedom of scope, while the young must respect and honor the achievements and practical sense of their elders and place their physical strength and vigor, while they still possess them, at the service of the continuing community.
山口の試訳は、『老人は若者のために、その英知と経験を役立てなければならず、さらには若者が持つ活力やエネルギー、熱意といったものに対して、自由に活かすだけの余地を与えなければならない。その一方で、若者は年配者の業績や実践的な感覚感性を尊敬し称えて、さらには自身の身体的な強さや活力と言ったものを、自分たちが健在であるうちに持続的な社会に役立てなければならない。』
・・・といった感じになります。
【英単語たったひとつをとってもここまで突き詰めなければなりません。】
先述しました通り、今回の全統模試を受験した高校3年生の中で、『allow 人 to do』しか知らなかった受験生は、軒並み間違えたはずです。
そういう学習不足の受験生は、まさか②の『allow 時間やお金 for 名詞/~ing』などという用法があるなんて及びもしないわけですから、真っ先に選択肢から外してしまうわけです。
ちなみにですがこの②の『allow 時間やお金 for 名詞/~ing』、普通に大学入学共通テストの初年度、長文の中で登場しております。
つまり難しい用法でも何でもなく、いたって普通の単語ということになります。
高校生のみなさん、みなさんが1,000人にひとりいるかいないかの、超人的言語感覚が無い限り、みなさんはただひたすら、地道にこれらの英単語やイディオム、文法を長い時間をかけて学習していくしかありません。
はっきりと申し上げますが、高校1年生の4月から地道に取り組んで間に合うかどうか?
それくらいシビアです。
だからこそ刈高や岡高は、『高校1年生でLEAPを終わらせる』という一見とんでもない課題を課しているのです。
とはいえ、別にとんでもないわけでもなんでもなく、難関大を目指すのであれば普通です。
しつこいようですが、みなさんが通っているのが公立高校ならば、みなさんが学んでいるのは『超がつく基礎学習(※ただし英語に限ります)』、本当に難関大を目指すのであれば、その学習では遠く及びません。
そうして3年生になってから慌てて『難関大対策』に取り掛かっても、100%間に合いません。
しつこいようですが、42.195㎞を努力と根性で1時間で走ることはできません。
難関大を目指す受験生が、3年~10年かけて積み上げたものを、君がたったの1年で自分のものにできるわけがありません。
なお、これから1年生や2年生も、7月に受験した模試の結果が返って来ることと思います。
高校1年生はまだ何とか間に合います。
しかし2年生のみなさん、みなさんは相当に厳しい。
この模試でC判定未満なら、相当な覚悟を持って勉強に取り組む必要があります。
高校2年生のみなさんが、共通テストを受験するまでに残された時間は、
『たったの1年4か月ほどしかない』のですから。
・・・。
え!
もう9月やんけ!!
というわけで高校3年生のみなさん、みなさんは大学入学共通テスト本番まで、あとたったの4か月しかありません。
しっかりと時間をかけるのは言わずもがな、当然ですが質も追及してください。
塾生諸君、もうスマホを見る余裕はないからね。
さらに言えば、自習中は最低でも50~60分は集中し続けること。
みなさんは入試本番当日はおそらく6時前には起床。
9時くらいからテストを受けて、18時前までは集中し続けなければならない。
それが二日間続いて、しかも5教科7科目受験しなければならない。
二次試験なんて、大学によっては『1教科120分』なんてところも珍しくはないからね。
今集中力を欠いているようでは、受験本番で100%の力なんて発揮できるわけがない。
だからこの教室で、普段の学習から100%集中してほしい。
自習中に席を立つ頻度が高かったり、ぼーっと単語帳や参考書を黙読するなんてのは勉強には入らない。
泣いても笑ってもあとたったの4~5か月程度。
後悔のないように全力を出し尽くしてください!