スマホ育児の代償
人間の脳の大切な部分(主に前頭葉)が形成されるのは、生まれてから3歳、遅くとも5歳までなのだそうです。
『三つ子の魂百まで』とはよく言ったもので、3歳までに形成されたものが、その人のその後の人生すべてを決めてしまうようで・・・。
スマートフォンが世の中に浸透し始めたのが大体2008年ごろ。
つまり、今の中高生がもろにスマホの影響を受けた世代ということになります。
物心がつく前の子どもというのは、本当に色んなものに興味を示し、日々出会う全てのものを吸収しようとします。
私も我が子を見ていて驚くのですが、道端に転がっている石ころや草花にものすごく興味を示し、私たちにとっては取るに足らないものでも、全力で喜怒哀楽を表現します。
そして今、巷では『スマホ育児』という言葉が広まっています。
そのまま言葉通りなのですが、『子どもにスマホやiPadを見せながら育児をすること』を指します。
日々多忙なお母様のことですから、これは致し方ないことのようにも思われますが・・・、脳の重要な部分が形成されつくす、0歳~3歳の大切な時期にスマホを見続けた子どもはどうなるのでしょうか?
なんと脳の機能が破壊され、その後まったく機能しなくなるのだそうです。
私はここ数年、『漢字できちんと文章が書けない高校生』に出会うことが増えてきました。
それも西尾高校や西尾東高校などの進学校に通う高校生です。
おそらくそれは、『愛知県の公立高校入試がオールマークになったから』というのもあるのでしょうが、その初年度は現高校2年生。
もちろん、その悪影響はこれからさらに出てくるのでしょうが、少なくともここ数年で考えてみると、どうやら大きな影響因子はその他にあると考えるのが自然です。
この『スマホによる脳破壊』の恐ろしい所は、『一度破壊された脳の機能が戻ることはない』ということです。
つまり、幼児期にスマホを見続けて、思考する能力を奪われた子どもは、その後どれだけ勉強を頑張っても、『文章を読み、理解し、思考しながら、自分で表現することができなくなる』、ということです。
そのメカニズムはいたってシンプルで、スマホが発信する動画というのは、『音声と文字、光などを使って』膨大な量の情報を視聴者に垂れ流してきます。
幼児がスマホを見て大人しくなるのは集中しているからではありません。
ただただぼーっとしているだけ。
そうして何も考えることなく、目と耳に膨大な量の情報が送り込まれてくるのです。
その結果、視聴者の脳内はこのような状態になってしまいます。
人間の脳の大きさは『握りこぶし二つ分程度』。
これは私のような凡夫も、アインシュタインも変わりありません。
つまり、処理できる能力はみな同じなのです。
その貴重なメモリを、スマホというもので埋め尽くした結果、文章が読めない、書けない、思考することができない状態に追い込まれてしまいます。
残念ながら現時点では、この破壊された脳の機能を取り戻す術はないそうです。
しかしながら、もしもこのみなさんが、そして大切なお子様がこの危機的状況にあるのであれば、今すぐに対策を講じて損はありません。
かくいう私も、スマホを手にしてから10年強、随分と無駄な時間を過ごし、大切な脳の機能を低下させてしまったように感じています。
それでもここ数週間、たったの数週間スマホを触る時間を減らしただけで、劇的に集中力や記憶力が上がりました。
(※今週水曜日時点でのスクリーンタイムの平均時間)
そしてしつこいようですが、子どもをスマホから離れさせるには、(私も含めた)周囲の大人、特に親御さんの協力が絶対必要条件です。
親がスマホを触っていたら、当然子どももスマホを触ります。
せめてお子さんの受験が終わるまでの間だけでも、『お子さんの目の前では絶対にスマホを触らない!』、これだけでも徹底していただきたいです。
確かにスマホは便利なものですが、無くても困ることはありません。
私たちは、たったの15年ほど前までは、スマホなど持っていなかったのですから。