『英語は慣れだ!』とか『単語は予測しなさい!』という幻想
当塾には『英語がニガテなんです・・・』という中高生がたくさん相談に来てくれます。
そのたびに毎回思うのですが、『英語は慣れだ』とか『』と、本気で信じてしまっている生徒さんが後を絶たないということに、驚きを隠せません。
でもまあ正直なところ、子供たちは悪くないんですよね。
理由もなくそんな思考に至るわけがなく、そういう風な風潮が罷り通ってしまっていることと、そう思わせてしまう指導をした教師がいたということに問題があるわけです。
でも『英語は慣れだ!』とか『単語は予測しなさい!』というフレーズは、英語嫌いのお子さんにとっては非常に耳障りがいいですよね。
『英語は慣れだ!』=(煩わしい文法は勉強しなくてもいい)
『分からない単語は予測しなさい!』=(面倒くさい単語の暗記はやらなくてもいい)
・・・と信じたくなるのも無理はありません(高校時代の山口がそうだったので)
でもそんなみなさんに、『じゃあこれが慣れで読めたり、分からない単語を予測できるかな??』と言ってこの長文を渡すと・・・
みな口々に『いや、そりゃ無理ですよ!これ、英語じゃないじゃないですか!!』と返ってきます。
ちなみにこれ、イタリア語ですね。
もちろん山口も何が書いてあるのか、1%も理解できません(変な文章だったらごめんなさい)。
でも断言しますが、これが『慣れで読む』だの『分からない単語を類推する』などできないのであれば、英語の長文だって読めるわけがありません。
ちなみに次の英文ですが、某中堅国立大学の二次試験の文章です。
【If you indecisive and plan to do something about it , you can take immediate comfort in the fact that indecision is not necessarily due to ignorance and slow thinking . On the contrary it is often thinking of so many things and considrerathion of so many doubts that result in the difficulty to reach and act on a simple decision .】
どうでしょうか??
かなり苦労するというか、まったく分からないよ~・・・なんて高校生もたくさんいると思います。
心配しなくても、この文章は相当難しいのです(訳はまた後ほど・・・)。
手も足も出なくても問題ありません(そもそもこれが今スラスラ読めてしまうなら、英語を勉強する必要はありませんから)。
手も足も出なくてもよいのですが、こういった長くて複雑な文章を理解しようとするならば、英語と日本語がそもそもまったく構造が異なることを理解し、それを一から学ぼうとする姿勢が必要となります。
接続詞、同格のthat、関係代名詞、形容詞や副詞、自動詞と他動詞の違い、完全文と不完全文・・・こういった用語を自分で他人に説明できるくらい理解しなければなりません(ただしこれ自体の理解については、30分もあれば終わります。)
ここではこの英文の文構造の説明は割愛させていただきますが、(多分5,000字くらい費やすことになりますので・・・)、和訳だけ載せておきます。
【もしあなたが決断力に乏しく、それについてなんとかしたいと思っているのであったら、決断力が乏しいのは必ずしも無知や思考ののろさのせいではないという事実を知ればすぐに慰めがつくだろう。それどころか、単純な決定に達しそれに基づいて行動することが困難になるのは、多くのことを考え過ぎ、あまりに多くの疑問点を考慮する結果であることが多い。】
・・・だそうです。
これ、日本語のレベルも非常に高いですね(笑)。
心配しなくても、ここまで洗練された日本語訳を作れる必要はありません。
これくらいライトで、かつ無理して日本語の語順に合わせず、英語の語順のままに理解すればOKです。
【もしあなたが決断力がなくて、それについてどうにかしようとしているのであれば、あなたはすぐにでもほっとできるだろう、この事実に。(どんな事実かというと)決断力のなさというのは、必ずしも無知や思考力の遅さのせいではない。反対に、多くのことを考えすぎたり、多くの疑問点を思考するときなのだ、単純な決定に達して、それに基づいて行動することが困難になるのは。】
長文を読んでいるときに、無理して日本語の語順に戻そうとすると、時間がいくらあっても足りません。
だからといって、よく言われているような、『英語を英語で思考する』なんてこともできなくてもいいです(もちろんそれができるに越したことはないのでしょうが・・・)
ただ大切なのは、きちんと英語の語順に従って読解する、それだけです。
さて、今日も長くなってしまいましたが、もし本当に英語がニガテで、授業にもさっぱりついていけないというのであれば、思い切って自分が思っているよりも、はるか前まで遡って復習してみてください。
いきなり160kmの球は打てません。
しっかりとフォームを確認しながら、100kmくらいの球を完璧に打てるようになってから、110km、120km、125kmと難易度を上げていってくださいね!