受験英語がダメだダメだなどと言われていますが・・・
果たして本当にそうなのでしょうか??
こんにちは!
巷では『受験英語はダメだー!』とか、『英語のシャワーを浴びて、聞き流すだけで英語をマスター』『センター試験の問題はネイティブもたまに間違えてしまう(これに関しては100%ありません。あるとすればただのマークミスです)』などという根拠がよく分からない煽り文句が跋扈しておりますが、みなさんはどう思いますか??
例えば次の文章を読んでみてください。
【Most of us recognize the Big Dipper . Some Native Americans saw the bowl of the dipper as a bear and the stars of the handle as hunters chasing it . In the fall , this constellation is low on the horizen in the evening , so they said that blood dripping from the injured bear was what turned the trees red in autumun!】
『大きなひしゃく、と呼ばれる北斗七星は、多くの人が知っています。あるネイティブ・アメリカンたちは、ひしゃくの椀の部分をクマだと考え、取っての部分をクマを追いかける猟師だと考えました。秋になると、日暮れの地平線上の空の低いところにこの星座が見えます。そのため、彼らは怪我をしたクマから流れ落ちる血が、秋の木々の葉を赤く染めるのだ、とかんがえたのです![英語で授業を受けてみる]The Japan Times出版、P122より抜粋』
これ・・・、どれくらいの難易度かというと、センター試験以上中堅私立未満くらいかなと思います。
そしてこの英文が一体何なのかというと、『アメリカの小学校1年生の理科の授業』なのです(しかもこれは先生の会話なので、元々文章は存在しません。)
当然のことながら、これくらいの内容であればネイティブの小学校1年生は苦も無く理解しているということです(しかも文章無しで)。
・・・ということは、実はセンター試験レベルの英語というのは、ネイティブスピーカーだと小学校低学年くらいのものだということになります。
誤解のないようにお伝えしておきたいのですが、『だから日本の英語教育がダメだ!』など言いたいわけではないのです。
むしろ逆で、やっていること自体は英語という言語を学ぶために、必要な基礎の部分をしっかりと学習できるようなカリキュラムが組まれています。
中学校の教科書なんて本当によくできていますしね。
まずいのは、英語という言語が日本語とは構造がまったく違うことを無視して、いわゆる『受験のテクニックを叩きこむ』ことに特化してしまっていることと、単純に『まったく時間が足りていない』ということです。
英語のスキルを『読む』『書く』『聞く』『話す』の4つに分類するならば、『読む』という工程は最も難易度が低く、受験英語は残念ながらここで終わってしまうのです。
日本人の多くが『英語でコミュニケーションが取れない』と言われているのは、単純に学習量が足りていないだけです。
受験英語に必要なのがおよそ『1,000~1,500時間程度』と言われていますが、英語で不自由なくコミュニケーションができるようになるためには、なんと10倍の『15,000時間』が必要だとされています。
15,000時間・・・。
なんと英語だけを毎日『8時間ずつ』学習したとしても1,875日、つまり5年以上かかるということになります。
もちろん、数学や社会、国語や理科なども学習しなければならないみなさんにとってこれは現実的な数字ではありません。
だからせめて、受験に必要な学習時間、最低でも『1,000時間』は高校3年間の間で担保しておく必要があります。
・・・で、悩める受験生を甘言で釣るかのように、『聞くだけで英語をマスター!』だの『1日5分でうんたらかんたら・・・』みたいなフレーズが世の中を飛び交っていますが、当然そんなものは実際には存在しません!
どうして英語だとそういう気持ちになってしまうのか不思議でなりませんが、『誰でもフランス語を聞き流すだけでマスター』とか『1日5分でアラビア語を完全マスター』なんて言われて信じられますか??
断言しますがそんなものは100%存在しません!
みなさんが自由自在に操っている日本語だって、小学生らしく話すためには12年という時間が、中学生らしく話すためには15年という時間が、高校生らしく・・・あるいは社会人らしく話すためにはそれ以上の膨大な時間がかかっているわけで、英語だけが『たったの数日間で』マスターなどできるわけがないのです。
そしてみなさんが取り組んでいる英語というのは、実際のところセンター試験レベルでもネイティブなら小学校1年生レベルです。
でも言い換えれば、ネイティブだって、これくらいの英語をマスターするのに、少なくとも6年かかっているということでもあります。
ここはひとつみなさんも、英語というものをマスターするために、しっかりと時間と労力をかける心構えを持ってほしいと願います。
そして最後に・・・。
ここ愛知でも名城大学や中京大学に外国語学部が創設され、英語に対する機運というものがますます高まっていると実感します。
そして英語という学問に興味を持ち、その道に進むことはもちろん素晴らしいことなのですが、その時は大学の4年間は全て英語に捧げるくらいのつもりでいてほしいです。
ちなみに当塾の都築先生は、高校の3年間はすべてアメリカの高校で過ごし、日本の単位認定も現地で取ってしまったそうなのですが、その道のりは大変なものだったようです。
『英語を学ぶ』のではなく、現地の高校生に交じって『英語で学ぶ』のですから。
それこそ24時間全てが英語、授業を受けるのも、提出する課題も全て英語、それでも学校の授業はたった一人の日本人のために手加減されるわけでもなく、数学も理科も、社会も国語も全て英語でこなしていかなければなりません。
高校受験を突破するための英語の学習ならいざ知らず、大学に進んでまで英語を学ぼうとするならば、ぜひそれくらいの覚悟を持って励んでほしいと願います。
(なんとなく英語が有利だと思って英語系の大学進んだけど・・・結局TOEICちょっと頑張ったくらいだったな~・・・)くらいになってしまうのなら、悪いことは言わないのでもう一度しっかりと考え直した方がいいです。
それでも英語で頑張るんだ!と決めたのなら、なりふり構わず頑張りましょう!
そして受験程度の英語なんて、あっさりクリアしてやろうじゃありませんか!