前回のブログの続き
さて、それでは前回のブログの続きです。
今回のお話は、お子様ご本人とお母様の許可をいただいてご紹介させていただきます。
ただ前塾でのお話なのですが・・・。
このブログでも何度か登場している、『鶴中で330番から東京理科大学に合格した生徒T君』のお話です。
このT君・・・とにかく勉強が嫌いでした!
まあとにかく勉強しない・・・。
ちなみに初めて会ったのは彼が中学1年生の頃でしたが、1年と半年の間はまったく何も進みませんでした。
鶴中で330番ということは、ほとんどの教科が30点未満。
英語と数学なんかは0点こそないものの、毎回1桁台でした。
宿題をやってこないのはまだしも、授業中もまったく落ち着きがなく、ゲームとガンダムの話しかしませんでした。
ただし結論から言います。
その原因はすべてご自宅の環境にありました。
お母様の話を聞いていると、ゲームにしてもガンダムにしてもお父様が元々大好きで、お部屋をゲームだけの部屋にしたり、ガンダムのDVDを全部集めたり(多分軽く100本は超えています)、とてもじゃないですが生活のほとんどを過ごすご自宅が勉強する環境にはなかったのです。
正直に言うと、ご家庭がそれで満足されているのならそれでいいんです。
他人が口を挟む問題ではありません。
ただしお母様はそれじゃいけないと思われたのでしょう、T君を塾に預けて勉強させようとなったのです。
でももうお分かりかと思います。
そんなその場しのぎの対策でT君がやる気を出すほど甘くはありません。
山口がそうだったから分かります。
自身が中学2年生の頃、とにかく勉強が嫌いで嫌いでゲームばかりやっていて、毎日のように母親から『勉強しなさい』と言われていましたから。
親の心子知らずとはよく言ったもので、(なんで大人は楽してるのに、自分だけが苦しい勉強をしないといけないんだ?)と思っていました。
そんな心理状態のお子様にどれだけ口を酸っぱくして『勉強しなさい!』『このままだと行ける高校ないよ!』なんて言っても何の効果もありません。
さて話を戻しまして。
このT君、とある漫画がきっかけに突然理科に興味を持ったのです。
理科というか鉱物限定ですが。
とにもかくにも世界にはいろんな種類の鉱物があり、T君の知的好奇心にその漫画が火をつけたわけです。
その勢いでついでに理科の元素記号にも興味を持ったらしく、あの理科の教科書の表紙の裏に載っている元素記号を全部丸暗記してしまったのでした。
たまたまその当時の中間テストの範囲と、T君が丸暗記した範囲が重なり、何と本人もびっくりの92点を取ったのです。
山口が担当していた英語と数学は変わらず1桁台のままでしたが。
『すっげー!すげーじゃんT君!!やったね!』
もうとにかく私自身も大喜びでした。
そしてその後、たまたま塾の三者面談があったので、ご来塾したお母様に『本当にT君頑張りましたね!』とお声がけしたところ、お母様からはびっくりの答えが返ってきました(※何度も申し上げますが、お母様の許可をいただいてご紹介させていただいております)。
『でも先生・・・ここで教えてもらってる英語と数学は相変わらずひどいんですけど・・・。それに理科だけが上がっても仕方ないですよね・・・。』
とT君の目の前で言ってしまったのです。
もしかしたらこれを読まれている保護者様の中には、(信じられない)と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、もしT君のお母様の立場だったらどうでしょうか??
大切な我が子だからこそ、客観的に接するのは難しいのだと思います。
とにもかくにも、そのお母様の言葉を聞いたT君の表情はみるみる曇ってしまいました。
『もういい。褒めたりもしなくていい。』
本当に余計なお世話なのですが、その後小一時間ほどお母様にお説教をしてしまい、なおかつご自宅のゲーム部屋は撤去してもらうことを約束してもらいました。
お父様が一日中ゲームをやっている環境で、お子様だけが『勉強しなさい!』なんて言っても何の説得力もないですよね??
お子さまが勉強をやりたがらないのにはいろんな要因が絡んでいるとは思いますが、あえて歯に衣を着せずに言わせていただくならば、お子様が置かれている環境が一番の原因です。
こんなことを塾側の人間が言ってしまうのは良くないのですが、一番まずいのは『とりあえず塾には預けたから、あとはあんたが何とかしなさい』みたいなスタンスは非常にまずいです。
お子さまが一番気持ちを共有したいのは、他でもないご両親なのです。
学校の先生や友人、塾の講師が与える影響ももちろん大きいでしょうが、一番信頼を置いているのはご両親です。
とは言っても、なかなか学習意欲をご両親とお子様が共有するのは難しいかもしれません。
でも簡単なことでいいんです。
てっとり早いのは英語です。
例えば一日30分程度、お父様やお母様が英会話のCDを聴きながら、ノートに何か書き留めたりしているだけでも全然違うと思います。
数学などと違い、それくらいの英語学習ならハードルも下がりますし、勉強から長いこと遠ざかっていても取り組みやすいです。
正直勉強なら、資格などでもいいと思います。
大切なのは、勉強をするということがお子さんに取って当たり前だと思ってもらえる環境を作ること。
お子さんの難しい質問に答える必要はありません。
それこそそれは塾に丸投げすればいいんです。
でもこれは大人の世界でも同じだと思いませんか??
本人は全然仕事せずに定時きっかりに帰る上司に、きついノルマを課されたり、残業を強要されたら(なんで自分だけ・・・)と思いますよね??
でも献身的にフォローしてくれたり、きつい仕事を一緒に頑張ってくれる上司であれば、自然に自分も頑張れるはずです。
大人がそうなら子どもはなおのことです。
さて、ちなみにそのT君ですが、そこからまた立ち直るのに1年近くかかりましたが、最終的に鶴中で50番には入るようになりましたし、念願の西尾高校にも合格しました。
そこからまたお調子に乗ってしまって、西尾高校でビリの方まで下がったのですが、最終的には見事東京理科大学に合格しました(残念ながら第一志望の名古屋工業大学には合格できませんでしたが)。
お子さんは無限の可能性とエネルギーを持っています。
でも、ほとんどの場合、本人はそのことには気づいていません。
また周りの環境に影響を受けることも多いのです。
そりゃあゲームだらけでお父さんがゲームやりまくってたら、お子さんだってその影響を受けるのが自然の摂理というものでしょう。
私たちは個々人のそれぞれの環境によって成長していくのです。
狼に育てられたら狼と同じように育つのです。
お子さんに一方的に押し付けるのではなく、どうしたらお子さんが学習におもしろさを見出し、それが普通のことなのだと思ってもらえるような環境を作っていきたいですね。
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございました。