とても素晴らしい質問をいただきましたので共有させていただきます!
なんとこのブログを読んでくれていた元塾生からご質問をいただきました!
いや~本当にびっくり。
何がびっくりって、このブログを読んでいてくれたということを初めて知りました。
たま~に現生徒からも、『ブログを読んで思ったんですけど~…』と声をかけられることがありますので、自分が思っているよりも、結構たくさんの方が読んでくださっているんだな~…とありがたい気持ちでいっぱいですね。
そして何よりも、大学受験はもう終わったのに、こうして勉強して疑問を抱くことが本当に素晴らしいですね。
大学受験まではただの特急券を得るための勉強です。
大学に入ってからが本当の勝負、大学に合格した時点では乗車券と特急券を手にしているだけの状態ですので、大学での勉強が人生を生きていく上で必要な知識となります。
さて、質問者が誰なのかお伝えしたいところですが、それはやめておきます。
本当にいい質問でしたし、中学生くらいの基礎英語にも絡んでくる話ですので、ぜひぜひ頑張ってお読みいただけると嬉しいです。
【不定詞句とSVの間にカンマは必要ないのか??】
これ、結論から言いますと、『あった方が親切だけどなくても全然OK!』ということになります。
何の話かと言いますと、少し前のブログで、
①Yoko smiled in order not to make everyone sad.
②In order not to make everyone sad Yoko smiled.
①と②はどちらでもOKというお話をさせていただきましたが、②の場合にコンマは必要ないのか?という質問でした。
こんな感じですね。
②In order not to make everyone sad , Yoko smiled.
『みんなを悲しませないように、ようこは笑った。』
という文章ですね。
確かに見やすい!
絶対にこちらの方がいいですね!
でも文法的に絶対にコンマが必要なのかというと、実は全然なくてもOKです。
理由は5つほどありますが、可能な限り掘り下げて説明させていただきますので、ぜひぜひお暇でしたらご拝読ください。
なお、後半に行くほど文法的な説明になっていきますので…。
理由その1…『コンマ(,)、ハイフン(‐)、セミコロン(;)などの特殊記号に、それほどのパワーはない。』
英語圏の小説や英字新聞などでは、(え!絶対にここにコンマがあった方が読みやすいのに!)というところでもガンガン省略されています。
それどころか、冠詞であったり、受動態の文章のbe動詞が省略されていたり、明らかに過去の話でも現在形で書かれていたりします。
…、と最初はこんな説明を元塾生にさせていただいたのですが、これは一番やっちゃいけない説明ですね。
『ネイティブがそうしているから!』という解説は一番身も蓋もない説明だと思います。
ですので、ここからはさらに文法的に掘り下げた説明をさせていただきます。
『理由その2…To 不定詞のカタマリを聞いて、果たして主語を連想するのか??』
ちょっと分かりにくいですね。
具体的にお話させていただきます。
例えば①の文章、
①In order not to make everyone sad…,
と目にした時点で(または耳に入ってきた時点で)、みなさんはどう感じるでしょうか??
おそらくは、(あれ?まだ主語も動詞も出てこないぞ??)と感じるはずです。
ですので、この時点では読み手や聞き手は、この先で(主語や動詞が来るはず!)と期待していますし、書いている方(または話し手)もそれを読み取ってくれるものと期待しています。
だから特にコンマがなくても、”Yoko smiled.”を目にしたところで『ようこは笑った。』と認識できますね。
日本語でも『みんなを悲しませないためにようこは笑った。』
『みんなを悲しませないために、ようこは笑った。』
おそらくは大きな違いを感じないはずです。
これが理由の二つ目ですね。
『理由その3…不定詞のカタマリは原則主語にならない』
これ、めちゃくちゃ大事です!
中学校英語でも間違った指導をされていることが多いので、ぜひぜひ中学生の保護者様にもお読みいただいて、お子さまに伝えて欲しいくらいです。
結論から申し上げますと、中学校で指導される、『不定詞でも動名詞でも主語になる!』という内容です。
おそらくはほとんどの中学校で、
①To play baseball is fun.
②Playing baseball is fun.
どちらでもいいよ~と教わっているのではないでしょうか??
これ、中学生の段階から『①は好ましくない。』としっかりと認識しておいた方がいいです。
論より証拠、こちらをご覧ください。
下から4行目にはっきりと『seeig the sightsは不定詞でも表せるが、一般論の場合は動名詞とするのが普通。』と書いてあります。
この点から考えても、”In order not to~…”という書き出しの文章で、これが主語であるとは考えにくいはずです。
この点からも、不定詞や動名詞が登場する中学1年生や中学2年生の段階で正しい知識を学んでおいた方がいいです。
…。
でも、(いや、それは別に一般論の話であって、厳密には①To play baseball is fun.”でも間違ってはいないんだよね??)と思われるかもしれません。
事実間違いではないのですが、はっきりとそれは否定させていただきます。
『To 不定詞を主語にすると、相手は仮定法を連想してしまう。』
次の文章、どう訳すでしょうか?
③To play baseball is to love it.
もしも『野球をすることは、それを愛することだ。』と訳してしまったのであれば、それははっきりと誤訳であるということをお伝えしておきます。
というよりも、この日本語、よく分かりませんよね(苦笑い)。
高校英語でははっきりと『toは未来のこと、~ingは終わったこと』と学びます。
つまり③の文章、まだ始まっていない話になりますので、『もしも野球をやったら、(きっと君も)楽しいですよ!』という意味になります。
仮定法ではありませんが、『条件のIf』みたいな意味になるんですね。
したがって、英語圏の方々の感覚からすると、文章が不定詞で始まったとき、ほとんどの場合は『それが主語だ』とは認識しないはずです。
話が長くなってしまいましたが、これが『不定詞のカタマリで始まった文章でも、特にコンマが必要ない』の3つ目の理由になります。
さて4つ目と5つ目ですが、とんでもなくめんどくさ・・・、いやいや複雑なので文章での説明はここまでとさせていただきます。
【中学校で正しい知識を学んでほしい】
今回の『To playもPlayingも同じ!』の他にも、『willとbe going to~はほぼ同じ』⇐(実は全然違います)、『be interested in~は興味がある』などなど、実はきちんと正確に理解した方がいいのに、中学校では誤った知識を植え付けられることがあります。
しかしこれは中学校の先生が悪いわけではありません。
これまでも何度も申し上げておりますように、『2割の優秀な生徒、6割の普通の生徒、2割の勉強が嫌いな生徒、または素行の悪い生徒』が集まる公立中学校の授業では、これが限界なのです。
『interestは「興味を”持たせる”」という意味の他動詞だから、興味を持っているという意味にするためには受動態にしなければならない・・・。』なんて説明をしたところで、ほとんどの中学生は(…?????)となってしまいますからね。
歯に衣を着せずに言わせていただくならば、公立中学校の授業は、『2割の勉強が嫌いな生徒、または素行の悪い生徒』も理解できるところまで、指導の内容を落とさなければならないのです。
だからどんなに間違った指導であったとしても、中学校の先生には何の責任もありません。
そしてこれこそが大きな問題なのですが、『それでも公立高校の受験は何とかなってしまう』のです。
そうして『進学校と呼ばれる高校』に進んだ結果、それまでとは異なる『大学受験のための高等英語』にぶつかって、一気に成績が下がってしまうのです。
一つの指標にしていただきたいのですが、高校1年生なら偏差値60、高校2年生で偏差値が55を切っていたら、相当な対策を取らないと偏差値が60を超える大学の合格はまず厳しいです。
スポーツや楽器などもそうなのですが、『新しいことを学ぶことよりも、間違ったクセを矯正することの方がはるかに難しい』のです。
高校3年生まで学習を放置するのは、学習量が足りないという意味でも怖いのですが、それと同じくらい恐ろしいのが、まったく誤った知識を身につけてしまっているということです。
勉強量を確保することは言わずもがな、正しいことを正しく学んでほしいです。
『to不定詞は一般論では主語にはならない。』これは高等英語では常識です。
(念のためにもう一度…)
もちろん、それは数学などにもまったく同じことが言えます。
中学生の頃や高校1,2年生くらいまでは、あまねくすべての中高生が大きな可能性を持っていますが、それに気づかずに貴重なゴールデンタイムを無為にしてしまったならば、受かるものも受からなくなってしまいます。
そして大げさでもなんでもなく、中学・高校の頃に、お子さまの将来が決まるといっても過言ではありません。
バブル崩壊後30年超、経済は良くなるどころか、デフレからスタグフレーションに進み、おそらく向う30年は日本経済は回復しないでしょう。
学習と学歴の積み上げなくして、豊かな未来は待っていません。
お子さまの将来を守るためにも、ぜひぜひ正しい学習環境を作っていただけたらと願います。
※PS.素晴らしい質問を本当にありがとうございました!
そして…、こういう質問いつでもwelcomeです!