主格の係助詞『は』と『が』の違いについて(※英語の話です)

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教室長ブログ

今日高校1年生に次の英文を訳してもらいました。


How long you have studied English is important.



こちらの塾生は、

『今までにどれくらい英語を勉強したのか”は”重要です。』


と訳してくれました。


これは間違いではありませんが・・・。


個人的には、


『今までにどれくらい英語を勉強したのか”が”重要です。』


と訳した方がいいかと思います。




(そんなもんどっちでもええやんけ!)と思うなかれ。



例えばみなさんがよく知っている次の文章だとどうでしょうか?



★①昔昔あるところに、おじいさんとおばあさん『は』いました。



★②おじいさん『が』山へ芝刈りに、おばあさん『が』川へ洗濯に行きました。




これ、もちろん何か変ですよね?

★①の係助詞『は』は『が』に変えるべきですし、

★②の係助詞『が』は逆に『は』に変えるべきでしょう。



もちろんこれはどちらであったとしても間違いではありませんが、受験においてはより正解に近い方を書いた受験生の方が有利になることは間違いありません。



一応現代文を専門とする山口が解説させていただきますと、



★より優先度が高い、または最初に出てくる情報の場合⇒『が』

★より優先度が低い、または二度目の情報の場合⇒『は』


となります。



もちろん例外もあって、たとえ最初に出てくる情報であったとしても、


『私”が”学校へ行きました。』という表現はおかしいです。


言語は生き物ですので、土台となる解釈が9割、1割は例外もある、くらいの柔軟な姿勢で学ぶことが重要だと考えます。


え?


そんなのどっちでもええやんけ?



いや、もちろんどっちでもいいですね。


しかし重ねて申し上げますが、より正解に近い解答者が存在した場合、こういった細かいニュアンスを蔑ろにする受験生は確実に減点されます。



そして難関大とされる大学ほど、記述のウェイトは上がっていきますし、求められる基準も高くなります。




【次の文章も同じではありません】


これも山口の授業を受けてくれている塾生なら全員理解してくれている内容です(※ただし高校2年生以上です)。



△Our cram school is in front of Nishio station.

『私たちの塾は西尾駅の前にあります。』

〇In front of Nishio station is our cram school.

『西尾駅の前には私たちの塾があります。』


え!

どっちも同じじゃん!と思うことなかれ。

もちろん私たち日本人にとってはどっちでもいいです。




確かにこの二つの文章は使っている単語は全く同じで、主語と前置詞のカタマリの位置が入れ替わっただけです。


ですが英語圏の方々にとって、上の文章は若干不自然に感じられるはずです。



ここで使われている名詞、『私たちの塾』と『西尾駅』、どちらの知名度の方が高いでしょうか?



・・・。


悲しいかな、まぁまず間違いなく、『西尾駅』の方が有名なはずです。



私たち日本人にとってはどうでもいい些末な違いなのですが、英語圏の方々の思考は


①『旧情報』(誰もが知っている情報)を先に出してほしい

②『新情報』(その次に自分が知らなかった、新しい情報を出してほしい


となっております。




したがって、いきなり『私たちの塾!』などという突飛な情報よりも、まずはみんなが知っている『西尾駅』という情報を先に出してほしいのです。



(西尾駅の前・・・?あぁ~なんかそういえば2階にそれっぽいのあったな~)


となりたいわけなんですね。



もちろん、『ほら!あの塾だよ!』を先に出したければ、


That our cram school is in front of Nishio station.


何て言ってしまってもいいかと思います。


(※ただし、原則冠詞と所有格は重ねられませんので、”That”と”our”は重ねられません。

ですが、ネイティブが書く小説などでは、このような表現はガンガン出てきます。)



もちろん、こんなの全部覚える必要はありません。



しかしより深く学ぶ受験生がいる以上は、受験生のみなさんと、仮初にも指導者である山口はそれに備える必要があります。


知らずに適当に解答するのと、知った上で取捨選択して解答するのでは意味合いが全然違いますし、当然試験官はそういった解答の機微を察っするものと思っておいた方がいいです。



もちろん、英語や現代文は共通テストのみ、二次試験では一切必要ないという受験生がここまで突き詰める必要はありません。


しかしこれも残念なことに、難関とされる大学ほど、なぜか文系理系を問わずに英語も現代文も試験科目に入っています。



そう考えると、小さい頃から本を読み続け、読み書きに膨大な時間をかけることがどれほど大切なのかが分かっていただけると思います。



だからこそ、愛知県の公立高校入試のオールマーク化はあり得ないのです。


もはや中高生のみなさんの学力を下げようとしているとしか思えません。



日本語も英語も、もちろん文法で説明することはできますが、例外がある以上はそれだけで対応することはできません。



みなさんはとにかく地道に読み書きを繰り返し、自分の引き出しをできるだけ増やして、自分の言葉で文章を書く修練を重ねる必要があります。


だから『高校1年生の頃から英単語を覚えましょう』、なんてことは当たり前の話です。


言葉を知らずして文章が読めるわけがありませんし、ましてや英語で文章を書けるはずがない。


いや、これだけオールマークに特化してしまった今の中高生のことを考えると、日本語の文章ですら怪しい・・・自分はそう思わずにはいられません。


『公立高校入試では9割取ったけど、高校に入ってからまったくついていけなくなった』


ここ愛知県ではこれからそういう高校生が確実にどんどん増えていきます。



というわけで、『どっちでもええやんけ!』というお話でしたが、この新情報と旧情報の話、明日もう少しだけさせていただきます。









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