とある塾生との英作文の試み

カテゴリー :

教室長ブログ

先日、とある塾生のとある難関大冠模試の結果が返ってきたのですが・・・。


なんと英語は冠模試で偏差値67.5!


9,000人を超える受験生(※しかもその超難関大の受験生限定)の中で『250位!』


もちろん、刈谷高校内でも学年1位でした。



いや、もう常々言ってましたけど、彼の場合『もう教えることなんて何もない』んですよね。


もちろんあるんですよ!


あるんですけど、このレベルに達してしまうと、『すべて自分で解決できてしまう』ので、特に山口の指導なんて必要ないです。



とはいうものの、やはり普段指導させていただく中で、(本当にこれで正しいのだろうか?)と思うところはあるんです。



『何を無責任なことを!』、と思われるかもしれませんが、難関大の試験は『ほぼ100%記述』なので。



マークを塗りつぶすだけの問題なら、『正解か不正解か?』しかないわけですが、記述は人間が書いて、人間が採点するものなので、少なからず齟齬は生じます。



その齟齬をいかに埋めていくか?が難関大の記述対策になるわけですが、結果が返ってくるまではいつも肝を冷やしております(こう見えてものすごいチキンハートですので)。



そして今回素晴らしい結果が返って、やっと本当の意味で胸をなでおろすことができました。



特に英作文については『25点満点中22点』と最高の結果を出してくれました。




ここで何度か触れておりますが、英作文の最短の必勝法をお伝えさせていただきます。







【自分で達意の英文を生み出そう、などとは思わないこと】

これもしつこいほどに申し上げておりますが、『英作文は100%丸暗記』です。

とはいえ、もちろん『語彙力を増やす』『英文法の理解度を上げる』などの土台の上での丸暗記なのですが。



ですので塾生のみなさん、毎週渡している『5文程度の英作文』をひたすら丸暗記してください。


しかしながら、1週間で覚える英文は5文程度かもしれませんが、当然それが蓄積していくとみなさんの頭の中からは覚えた英文は消えてしまいますので、常に復習を継続すること。


それでも日々多忙なみなさんですので、ある程度量的に厳しくなってきたら、『自分がニガテな英文だけ抜いておいて、暇な時に目を通す』などの工夫をしてください。



スマホを削ればそれくらいはできるはずです。





【彼との英作文の取り組み】

しかし言うまでもありませんが、彼が受験するような難関大となると、もちろん丸暗記だけでは乗り切れません。

そんなこんなでこの8か月ほどはこんなことをやってました。





【35】顕微鏡で花の構造を子細に点検すれば花の美しさが消滅するという考えは途方もない偏見である。花の美しさはかえってそのために深められるばかりである。

(〇〇君の英文)

 The idea that (1)beauty of flower will vanish if you (2) investigate flower structure in detail (3)with a microscope is perfectly(4) dais. Contrary to this idea, this investigation will make beauty of flower more deep.

(1) まず、”beauty”には冠詞”the”が必要です。また”flower”についても、”a flower” “flowers”のどちらかが望ましいです。⇒”the beauty of flowers”

(2) 動詞”investigate A”は何とも悩ましいのですが、”investigate A”のコアイメージは『(室内で)情報などを調査する』です。ちなみに”explore A”は『(現地に赴いて)探索する』という意味になります。

今回の場合だと、目の前にある花を観察する、という意味合いなので、”observe A”が無難だったと思います。なお、佐々木先生はobserve すら使っていませんので確認してみてください。

(3)これは自分も”with a microscope”と書いているので人のことは言えないのですが、佐々木先生のように、”through a microscope”『顕微鏡を通して』の方がより適切だったのかもしれません(とはいえ、with Aが✖になるのかというと、そんなことはないと思います)。

(4)これはただのスペルミスですね。ちなみに”bias”ですが、なんと冠詞を付けなければなりません。さらに”bias”という単語は、名詞か動詞しかありませんので、正しくは、”is a perfect bias.”となります。

★今回はちょっとしたケアレスミスが目立ってしまいました。山口が尊敬している、マーク・ピーターセンという先生は、『ネイティブスピーカーは、名詞を言葉に出す前に常に冠詞のことを考えている。ある意味では、名詞以上に冠詞の方が重要だと考えている』、と言っていました。今後も英作文を書くときは、『名詞を書くときは強く冠詞を意識する!』ように心がけるとよいかもしれません。

(山口の試訳)

 The idea that the exact observation of flowers with a microscope will give rise to extinguishment of its beauty is an enormous prejudice we make. On the contrary, the more deeply we observe them, the more profound their beauty become.

★ちなみにですが、自分が京大英作文に取り組む時は、意識的に『名詞構文』を使うように心がけています。〇大は無生物主語、名詞構文が大好きなので。とは言っても、入試の英作文は『いかに失点を防ぐか?』が肝になりますので、よほど自信が無い限りは、人を主語にした分かりやすい文章を心がけた方がよいと思います。





・・・とまあこんなことをやっていたわけですが、高校1年生や2年生のみなさんにはまだまだ必要ありません。



ひたすら模範となる英文を自分の中にため込んで、いつでもアウトプットできるようにしてください。


その準備無くして、いきなりネイティブが書くような名文が生まれるわけがないのです。




山口が尊敬している佐々木高政先生も、著書でこのように述べております。



『私はあちこちで様々な人の書く英文を添削する仕事に従事してきた。年々歳々人変われど誤り変わらずで、一体何の因果で、こんなくたびれる仕事にぶつかったものかと溜息をつくことしばしばである。それというのも、英文の構成に関する基礎概念を持たぬ人、平たく言えば”無我夢中デタラメに横文字を並べて何とかヤッツケタつもりでいる人”が非常に多いからである。』




君がどんなに必死になって書いた英文でも、英語らしからぬ無茶苦茶な文章を採点者は評価してくれません。


しかも、そんな解答を何千人分も目を通さなければならない。



採点者はみなさんの悪戦苦闘の痕跡など見たくはないのです。


あ、山口は全然いいんですよ!暇人なんで!!



そんなわけで、きちんとネイティブが書いた文章を一度は丸暗記して、その上で英作文に臨んでください。



そしてしつこいようですが、塾生諸君は山口が渡している英文を『1週間に5文覚えるだけ』で充分です。



その単純明快な努力も無しに、『達意の英文を生み出そう!』などと烏滸がましいことを考える事勿れ。


地道な努力こそ最短で最高の結果を得る唯一の手段なのですから。

※あと、読書は必ず継続してください!





【追記…難関大の採点基準はめちゃくちゃ細かくて厳しいです】

一通り、その冠模試の英語と国語の解答に目を通したのですが・・・。

英語については国語以上に、日本語の採点が厳しかったです。



参考例)

『accidentialをwas seenを修飾する副詞のように訳したもの、・・・(減点)』

『文の構造をきちんと把握できていない答案や、できていても細かい部分での誤りや訳出する際の粗さが目立つ答案が多かった。』


え!それだけで!?と思わないように。


山口が普段の授業で、『この単語の品詞は何??』としつこいほどに塾生に問いかけるのはこのためです。


そしてこれまたしつこいようですが、『日本語を大切にすること』



日本語が疎かなのに、英文和訳や英作文ができるわけがない。


だからせめて、スマホの代りに毎日何かしらの本を読んでください。












Monthly Archives

月別記事