こんな中学生もいました
昨日は久しぶりに蒲郡へジョギングに行って来ました!
台風の影響か、魔都のような雰囲気の竹島・・・。
なぜだか分からないのですが、蒲郡大好きです!
いつもは海陽学園周りをジョギングするのですが、気分転換で蒲郡市内を走ってきました
さて、蒲郡と言えば、山口は必ず思い出す中学生がいます。
もう今は大学2年生ですので、中学生と言っては失礼ですかね。
初めて出会ったのは彼が中学3年生の頃でした。
典型的な元気の有り余った中学生といった感じでした。
英語の点数が0点であることを除けば・・・。
自分以来初めて0点取る子を見たなと思ったのが第一印象で、お父様お母様のご希望では、『何としても西尾高校に行ってほしい!』でした。
普通に考えたら、『0点を取るような成績で、西尾高校に合格するわけがない。』と思われるかもしれませんが、彼は実は特別な力を持っていました。
それは理数系科目が飛びぬけてよかったということ。
個票を見てみると、その他の教科はほとんど1桁台の点数で、取り分け英語に関しては『彼が一番大嫌いな教科』という理由で0点だったのでした。
さて、先にお話しておきますが、これで『山口の指導を受けて、英語や国語の点数も上がって西尾高校に合格!』なんてなったら、いかにも進学塾らしい素敵なエピソードになるのですが、現実はそんなに甘くはありません。
結論から言えば、英語は0点ではなくなりましたが、いい時で30点台にを取れるようになったくらいでしたし、もちろん西尾高校に合格することもできませんでした。
ただし、今は彼の第一志望の大学であった、東海大学に通っています。
もちろん、英語力もかなりついています。
お母様の話ですと、実は彼は少しだけ障がいを抱えていて(はた目には全く分からないのですが)、自分の興味があることには100%集中できるけれども、興味が持てない物に対しては、少しもやる気が出ないのだとのことでした。
う~ん・・・同じ0点と言っても、山口とは質が違いますね。
言い方を変えれば、彼は興味さえ示せば、誰にも負けないくらいの結果が出せるということですからね。
理数系科目に関して言えば、彼は常時90点以上をキープしているわけですから、お父様やお母様が『西尾高校に合格してほしい!』と思ったとしても、強ち的外れな願望ではなかったのです。
ただし・・・山口は英語に強い先生ではなく、理数系が得意なI先生を付けました。
もちろん、I先生は英語の指導もできます。
理数系科目が得意で、英語も教えられる先生といった感じですね。
理由ははっきりしていて、『英語が嫌いだ!』と言っている中学生に、無理やり英語をやらせても、大体ろくな結果にはなりません。
それともう一つ、彼の口からはっきりと目標を聞いていたからです。
何でも彼は海洋学に興味があって、将来的には東海大学に進んで海洋生物の研究をしたいという目標をはっきりと持っていたのでした。
そこで最初の方は、『大学受験には必ず英語が必要でね、K君の目標を叶えようとするなら、嫌かもしんないけど夢のために英語を勉強しなくちゃいけないんだよ。』みたいな声掛けももちろんたくさんしましたが、まったくどこ吹く風で、何の効果もありませんでした。
そこで逆に、今90点台の理系科目を100点にしてしまって、英語はまあ何とか上がってくれればいいかなくらいの計画で指導を進めました。
お父様とお母様には申し訳なかったのですが、中学校3年生の9月からで、内申点が20前後、英語で0点を取っているような状態から、たったの半年で西尾高校に合格するというのは現実的ではなかったのです。
いい加減に聞こえるかもしれません。
ただし実はK君としっかりと話して、大学受験までの計画はしっかりと立てていたのでした。
西尾高校ではなく、海に近い環境で勉強ができて、東海大学に推薦枠を持っている『三谷水産高校』を志望校に絞りました。
西尾市内のみなさんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、名前の通り水産系に力を入れている、蒲郡にある高校です。
お父様やお母様はかなり不本意そうではありましたが、きっと東海大学に合格できると確信していました。
それは彼が何よりも、海洋学に興味を持っていたからです。
情熱もすごかったですしね。
授業が終わったあとはよく、吉良周辺の海で何が釣れるのかについて話したものです。
英語の話はほとんどしませんでした。
その代わり、『大学に進んだら英語で論文書いたりするかもしれないから、今はいいけど3年後には英語勉強しやーよ。』と何度も伝えました。
かくして無事三谷水産高校に合格、3年間しっかりと勉強をして、第一志望の東海大学に合格していったのでした。
先日ばったり西尾駅であって、東海大学のキャンパスライフを存分に楽しんでいることを、直接聞くことができました。
さて、ここまで話しておいて今さら言うのはずるいのですが、これは当塾の合格実績ではありません。
前塾でお仕事をしていたころのお話です。
いや・・・ちょっと言うのを忘れていただけでして・・・。
でもここで大切なのは、本当にきちんとした目標があって頑張っているのなら、嫌いなものはやらなくてもいいと思うんです。
もちろん、そりゃあニガテなんてない方がいいですし、英語や国語が専門の山口からすれば、関わる全ての中高生には、英語に興味を持ってほしいと願っています。
でも、嫌いなものを頭ごなしに押し付けられても、大体うまくいきません。
『英語は大学受験に絶対に必要だから』とか、『英語の良し悪しが大学受験の成否と人生を決める』なんて話を中学生にしたところで、大体伝わりません。
大人は別ですよ?
社会経験を積んだ大人なら、何が自分にとって得で、何が損なのかを判断できますから、多少の苦痛を我慢しても、嫌なことを頑張ることができます。
でも子どもは分からないから、それが理解できる子とできない子にどうしたって分かれてしまいます。
だけど大丈夫。
遅かれ早かれみんな成長して、いつかはその判断ができるようになります。
もちろんそれが早いに越したことはないのですが、どうしてもそれが中学生くらいでは理解できないことの方が多いのです。
でもそれはできることがないというわけではありません。
やり方や道筋なんていくらでもあるんです。
彼の場合は残念ながら英語には興味がありませんでしたが、理数系科目には誰にも負けないくらいの情熱と思考力を持っていましたし、何よりも『東海大学に合格して海洋学を勉強する』という素晴らしい目標がありました。
あとは彼の現状の成績で、東海大学に進学できる高校を探すだけです。
もちろんくどいようですが、『今はいいけどいつか必ず英語は必要になるからな!』という話は、彼の耳にタコができるくらい伝え続けました。
・・・とまあ、およそ進学塾の講師らしからぬお話でした。
そんな彼ですが今、す・・・っごく楽しいらしいです。
海洋学の研究で海外の海にもいくらしく、あんなに大嫌いだった英語も今はとても楽しいと言っていましたね。
ただ、『中学校の時、もっと勉強しとけばよかったです。』とも言ってましたが、まあそれはご愛敬。
最後に断っておきますが、それは『嫌ならサボってもいい。』なんて意味ではありません。
彼は英語はニガテでしたが、その分理数系科目は誰にも負けないくらい頑張りましたし、事実数学と理科は常に学年で1番でした。
100点なんで当たり前なんですが・・・。
あれも嫌だ、これもやりたくない、だけど第一志望の高校や大学に合格したい、なんてムシのいい話はないのです。
当然ですが、やりたいことも我慢して、一生懸命頑張る受験生から順に合格を勝ち取っていくわけで、相対評価が絶対である日本の受験では、合格最低点に1点でも足りなかった瞬間に、受験は失敗に終わってしまいます。
君の『合格点には届きませんでしたが、ぼくはこれだけ頑張ったんです!』なんて話は誰も聞いてくれません。
そんなわけで中3生、高3生のみなさん、受験まであと残りわずかです。
みなさんの現状の成績と第一志望を照らし合わせて、最後の最後まで頑張ってくださいね。