万人にはお勧めできない山口式英語速読術(※正直読んでもあまりためにはならないと思います。とはいうものの、保護者様を含めぜひ最後までお読みいただきたいです)

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教室長ブログ

今からする話は正直、『受験英語だと結構な確率で減点される内容』ですので、読み進めるのは自己責任でお願いします。


しかしながら、うちの塾生は英語に非常に強いことを考えると、強ち間違いだらけとも言えないとは思っています。



さて中高生のみなさん、次の英文はどう訳しますか?

①I’m going to America to learn English.

(※ちなみに受験英語的には、”I’m going to go to America …と書くべきなのですが、ネイティブは間違いなくそうは言いませんので悪しからず)。


多分100人いたら99人は『私は英語を学ぶために、アメリカへ行く予定です』と答えると思います。


もちろん間違いじゃありません。


では次。




②I have a friend who lives in America.



これもほとんどの中高生は、『私にはアメリカに住んでいる友達がいます。』と答えると思います。


もちろん間違いではありません。



しかしです。


この二つの訳、どちらも後ろから訳していますよね?


これは大昔にもお話したことがあるのですが、『返り読み』と言って、本来英語の語順で理解するべきものを、無理やり日本語の語順に置き換えた悪しき学習法です。



漢文も同じですね。

ちなみに漢文で使用する『レ点』や『返り点』などの記号は日本人が編み出したもので、本場の漢文は全て白文。


中国語も英語と同じで、基本的には『主語⇒動詞⇒その他の情報』という構造になってます。



この返り読みですが、公立中学校の3年間に及ぶ英語指導で徹底的に叩き込まれます。


ただ、公立高校入試程度の英文の難易度・長さなら、この返り読みでも全く問題無いんですね。



それが本当に厄介な話でして・・・。



ですので山口は、全員ではありませんが一部の塾生にはこのように指導しております。



①I’m going to America to learn English.

『私はアメリカへ行って、それから英語を学ぶ予定です。』

(※これは中学校のテストなどで書くと、100%減点されますので書かないように!)



②の文章も

②I have a friend who lives in America.

『私には友人がいて、彼はアメリカに住んでいます。』



慣れたら絶対にこっちの方が早くないですか?


論より証拠、②の文章をちょっとだけいじって、同じく関係代名詞”who”を使った長い文章を適当に作って見ます。


②’ I owe what I am to the man, who at first I thought was dicksplash.


これを従来通り後ろから訳してしまうと・・・


『今の私があるのは、当初私がいけ好かないやつだと思っていた男のおかげである。』


まあ通じなくはないですが、何だか冗長な感じがしますね。

もちろん、山口はそんなことを考えてこの文章を作っていません。


自分は脳内でこんな風に考えていました。


『今の私があるのはその男のおかげなのだが、当初は彼のことをいけ好かないやつだと思っていた。』



いや、こっちの方が情報を速く処理できるだけじゃなく、日本語としても自然だと思いませんか?




続いて①の”to”を使用した文章も少し長くしてみます。


①’ Life will from now on assume a steady, repetitive rhythm, to the extent that they will often find it hard to locate a specific event in time, so similar will the years appear in their outward form.(『The course of Love』より抜粋)


ちなみに序盤に出てくる”to the extent that”がその部分に該当するのですが、これは直後に文章が続いて

『SV~するほどに・・・である』

という訳が与えられることが多いのですが・・・。


見ての通り”to the extent that”の後の方が圧倒的に長いんですね。


これを後ろから訳すと・・・


△『生活は今後、特定の出来事がいつのことだったかはっきりしないことも多くなり、外見的には似通った日々が続くほどの変化のない繰り返しのリズムを刻むことになるだろう。』


日本の悪しき返り読みにしたがって訳すと、もう日本語としても破綻したわけのわからない日本語ができてしまいます。


この文章も”to”が持つ性質そのままに、きちんと左から右に訳していくだけです。


〇『生活は今後、変化のない繰り返しのいリズムを刻むことになり、”その結果として⇒”特定の出来事がいつのことだったかはっきりしないことも多くなるだろう。それほど、外見的には似通った日々が続いていくのだ。』




①と①’の文章は全く同じです。


不定詞と前置詞の違いはあれども、”to”が持つ性質は、場所的にも時間的にも『これから進んでいくイメージ』。


だから後ろから訳すなんてのは本来英語が持っている理に反する行為であって、私たち日本人が、日本語の都合に合わせて勝手に作り出した、悪しき学習法なのです。



この返り読みをt、中学生のみなさんは3年間かけてみっちり叩き込まれます。


当塾の塾生が英語に強いのは、こうした悪しき学習法に囚われず、『本来あるべきはずの英語指導』を徹底しているからです。



これは保護者様にもご共有いただきたいのですが、

『中学校の頃は英語が得意教科だったはずなのに、高校に入ってから一気にニガテ教科になってしまった・・・』



この話は耳にタコができるほど聞いてきたでしょうし、もしかしたら今現実に当事者かもしれません。



しかし誤解を恐れずに言わせていただくならば、このケースは中学校時代にも英語が得意だったわけではありません。


むしろ間違った英語指導を受けて、間違った英語のテストで高得点を取っていただけに過ぎません。



間違ったものを吸収すればするほど、その改善には時間がかかってしまうし、何しろ学習者の精神的負担はものすごく大きいです。



なぜなら彼らや彼女は、『自分は中学校の時は英語が得意だったんだ!』と心得違いをしていて、それだけに新しいものを受け入れるには大変な時間と労力が必要になります。



それが明らかになるのは高校1年生の7月の模試です。


しつこいようですが、この模試で偏差値が60を切るようであれば、英語力は平均以下ということになります。


しかしながらその模試の結果が出るのもおそらくは8月の末、この時にはすでに高校に入学してから4か月もの時間が過ぎているということを心の隅に置いていただけたらと存じます。



★さて、なぜ減点になるリスクがある話をしたのかというと、難関とされる国公立大学が要求しているのは、『英語の問題であっても、英文法を理解しきった上で、正しい日本語で文章が書けているかどうか?』という力だからです。


英単語や英文法を覚えようとすらしない受験生、また、英語だけが得意な帰国子女は門前払いなのです。


ですので、(難関大を受験する)高校生のみなさんは、当然英語は100%で理解して、さらには普段からたくさんの本を読み、少しでも多くの日本語表現を備蓄しておかなければなりません。



山口が指導している高校生は、必ず次の文章に取り組むことになります。


To find that one’s loving grandmother has turned into this terrifying beast is to add to the situation that basic insecurity which springs from a sudden loss of trust in a person upon whom one relies.



末節枝葉の解説は割愛させていただくとして、こちらの文中に


“the situation”と”that basic insecurity”という単語が出てきます。


模範解答では、

the situation⇒『その状況』

that basic insecurity⇒『あの基本的な不安感』


と書いてありますが、山口は塾生にそれ以上の解答を求めています。


『その状況』だとか『あの基本的な不安感』では、筆者がどのような思いでこの文章を書いたのか、まるで伝わらないからです。


ちなみにこの文章、『add A to B』の新情報、旧情報の倒置が起きており、どうでもいい情報(ここでは”the situation”)が先に出てくる形となっております。


この一事を鑑みても、ここはそのような抽象的な表現を選んではいけません。



もちろん、この話の前提として『赤ずきんちゃんのおばあちゃんが、オオカミに食べられてしまうのはどのように恐ろしいのか?』というテーマが存在します。


それを踏まえて、


『もしも赤ずきんちゃんが愛しているおばあさんが、このような恐ろしい獣に入れ替わってしまうところを発見してしまうことになれば、それは姿が入れ替わってしまったという表面的に恐ろしい状況に、自分が信頼していたはずの人間の信頼を突然失うことから生じる、まさにあの、すべての人間が本能的に持ちうる不安感をさらに加えてしまうことになるのだ。』


the situation はここでは『姿が入れ替わってしまったという表面的に恐ろしい状況』

that basic insecurity は『まさにあの、すべての人間が本能的に持ちうる不安感』


と山口は訳出ししました。


冠詞ひとつをとっても、”the”と”that”を使い分けているのですから、ここははっきりと違いを出さなければなりません。


この筆者が言いたいことは、『おばあちゃんがオオカミに入れ替わってしまっている表面上の恐ろしさ』に『信頼が恐怖の対象に変わる内的な不安』(⇐こちらの方が重要)が加わるということであるのは明らかです。



ただ与えられた英文を和訳をする、それだけならある程度の受験生はできてしまうでしょう。


みなさんに求められているのは、そんな『暗記だけでどうとでもなる能力』ではありません。


英語の文章も、もちろん日本語の文章もできるだけたくさん読んで、机上の学習だけを頑張ってきた受験生に差をつける必要があります。



そのためには、途轍もない膨大な時間が必要になるのです。


山口が『毎日一日も欠かさずに勉強をしなさい』と言っているのは意地悪からではありません。


ただただ、勉強というものは基本的に時間がかかるものなのです。


高校3年生からちょっと頑張った程度の努力で行ける大学は限られています。


一応最後に、この英文の模範解答を紹介させていただき、本ブログを終了させていただきます。


『自分を愛してくれているおばあさんがこのような恐ろしい獣に変わっていると気がつくことで、頼りにしている人間を突然信頼できなくなることから生じる根本的な不安が、この状況に加わることになるのだ。』


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