課題も出さない、厳しくない高校に行ってしまうとどうなるのか?

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教室長ブログ

・・・と本題に入る前に、とある刈高生から学校の夏期講習について質問をいただきました!


まだ答えを頂戴していないとのことで、正直そういう質問は戦々恐々であります。


でも面白いですよね!


普段我々指導者は、『最初から答えがあって、何度も復習したものを偉そうに指導させていただいているだけ』に過ぎませんので、たまにはこういうありがたい質問が必要なんです。



それではこちらが刈谷高校3年生夏期講習の課題ですね!



 The United States Congress declared the 1990s the Decade of the brain, but some suggest that the twenty-first century will be the century of the brain, when the last great frontier in biology―an understanding of the most complex biological system, the human brain―★1will be conquered. Already the considerable advances made in brain science over the 50-100 years are being called upon to explain many things about human behavior. Universities are asking what various disciplines and fields can learn from brain science ★2vice versa. Fields as diverse as philosophy, music, English, linguistics and anthropology are represented, as well as the expected fields of biology, psychology, and computer science.


え~とですね、まずはこの英文を和訳せよと。


そして※の”vice versa”は具体的に何なのか説明せよ、とのことでした。


いや、これまぁまぁ難しい。



とりあえず和訳は以下のような感じで試訳してみました。

山口試訳)アメリカ議会は1990年はまさに脳の10年だと断言したが、なかには21世紀は脳の世紀であるという者もいた。その10年はまさに生物学における最新最大の開拓すべき分野、具体的に言えば生物学的に最も複雑な人間の脳というものをいかにして理解するかが★解明される10年と言えるからだ。過去50年から100年に渡り、脳科学は既にかなりの前進をみたが、同時に、人間の行動にまつわるかなり多くの事象についても説明することが今現在も求められている。各大学は様々な分野や領域において、脳科学から知ることができるものが一体何なのか、逆に様々な分野や領域から、脳科学が何を知ることができるのかを求めている。哲学、音楽、英語、言語学や人類学と同じくらい多様な分野が代表的であるとされているが、生物学や心理学、コンピューター科学などの予想されている分野もここに含まれている。

declare O C : 『OがCだと断言する』※LEAPには載っていない用法


★2vice versa : 『SとOを入れ替える』※普通の高等英語では学ばない用語

例)I want to meet him vice versa. 『私は彼に会いたいと思っているし、彼も私に会いたいと思っている。』

問題(2)の場合、『様々な分野や領域から、脳科学が知ることのできるもの』などが答え




・・・とまあこのように、高等英語では学ばない内容も一部含まれてはいましたが、当塾ではもちろん対策済み。


当然うちの塾生なら大丈夫だったはずです(※もし忘れていたのなら、必ず復習すること!)





★1また、『conquer A 』は『Aを征服する』という他動詞ですが、主語が『未開拓の分野』なのですから、『未開拓の分野が征服される』という和訳は明らかにおかしい、ここでは脳科学、未開拓の分野を比ゆ的に捉えて『conquer 』という動詞を選んだのだと考えて、『解明される』『解き明かされる』などの訳を選ぶ必要があります。



また、公立中学校で徹底して叩き込まれる『will = だろう』という訳は絶対に書かないこと!


助動詞の”will”の基本の意味は、『必ずそうなる』であり、『だろう』という意味になるのは”would”または”will probably be ~”の場合のみです。


そもそも、こういった科学的な分野の話で、曖昧な『だろう』という表現は出てこないはず、と思いながら読みたいところです。




と、いうわけで、素晴らしい質問をいただきましたね。


いや、もう全然WELCOMEですたい!






【課題を全然出さない高校に行くとどうなるのか?】

昨日、とある西高生男子(2年生)と話していて、『周りのお友達は勉強しているの?』と聞いたところ、このように返ってきました。



『いや、もう全然です!誰も何もやってないです!』


だろうな~とは思いました。


というのも、今年の西高の夏休みの課題、ほんのちょろっと必修課題が出て、『あとは自分たちの自由に、好きなようにやりなさい』、とのこと。


岡高や刈高ではとんでもない量の課題が出ているのに、です(※3年生は除く)。



自分たちの自由に、好きなようにやりなさい。



これで本気で勉強に取り組める高校生が、果たして何人いるのか?


ちなみに自分が高校生だったら絶対にやりませんね。




そんな話を奥さんとしていたら、こんなことを言っていました。



世の中には本来頑張る高校生と、そうじゃない高校生がいる。


そんな高校生たちがゆるい高校に進学すると・・・。


①元々頑張る高校生が、そういった環境でも自主的に頑張る(10%くらい)

②元々頑張る高校生だったのに、そういった環境のせいで頑張らなくなる(50%くらい)

③元々頑張らなかった生徒が、そういった環境でも頑張れるようになる(5%くらい)

④元々頑張らなかった生徒が、一層頑張らなくなる(35%)


つまりほとんど②か④。


頑張っていた生徒も頑張らなかった生徒も『頑張らなくなる』のだそうです。



もちろん、全員じゃありません。



うちの先生はほとんど西高OBOGですので。

でも、彼らや彼女たちは、①、つまり上位の10%だったんです。



③の可能性はほとんど0といっていいでしょう。



(現在の)西高生の大半は、②か④に分類されます。





【とはいえ、これは仕方のないことでもあります】

公立高校の教師は公務員ですので。


彼らが頑張ろうが頑張るまいが、給料は変わりません。


これで頑張る方がおかしいのであって、もちろん山口が西高や東高の先生だったなら、同じように頑張りません。





それでも刈高や岡高の先生方が指導に熱心であったり、きちんと大変な課題を準備しているのは、『自分は刈高や岡高の教師なんだ』という誇りや矜持もあるのかもしれませんね。





私が全力で指導し、塾生のために必要な課題を用意し、時には嫌われ者になってでも厳しいお声がけをするのは、下世話な話ですがお月謝をいただいているからです。


ただなら絶対にやりません。



それはさておき、再三念を押させていただきますが、公立王国の愛知県では、ほとんどの高校生は本格的な受験を経験していません。


だからこそ、『最低でも4,200時間以上の学習が必要とされる大学受験』では、高校1年生の4月から、指導者がその厳しさをきちんと子どもたちに伝えていかなければならないのです。



このリスクに備えるのはお母様やお父様の仕事です。


高校に預けていても適切な課題は出ないのですから、これはもう高校以外に頼るしかありません。



もう一度念を押させていただきますが、今年の西尾高校の夏休みの課題は、『自由にやってよい』です。


1年間で最も学習量の確保が期待できる夏休みに、『自由にやってよい』、これでどれだけの西高生が、大学受験に必要な学習量を積み上げられるのでしょうか?




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