偏差値35からたったの1年で偏差値を20上げた安南生の女の子達のお話
さて、先日は『大学受験を考えているなら、高校選びは慎重に』という話をしました。
じゃあ今高校生のみなさんの中で、あまり合格実績が強くない高校に通っている諸君がいたとして、『うちの高校は○○大学の実績を持ってないから、自分はもうだめなんだ・・・。』なんて悲観する必要があるのかといえば、そうではありません。
もちろん、高校の合格実績は強いに越したことはありません。
しかし、最後の最後、自分の夢や目標を叶えるのは、結局のところ自分自身の頑張りなのだという実例を今回紹介したいと思います。
今回の卒塾生は、山口が前職を辞めるきっかけになった一つでもありまして、今でも思い出さない日はないくらい印象に残っている生徒達です(もう2人とも大学生なので学生ですね)。
う~ん懐かしい・・・。
こちらは彼女たちが合格を決めて報告に来てくれたときに撮った写真です。
ちなみに彼女達、実は山口が以前に勤めていた、某アルプスをテーマにしたアニメの学習塾にいたときの生徒でして、2人の成績は当時の中学校でビリの方でした。
当時は2人とも遊びたい盛りの中学生で、勉強は大嫌いだったことをはっきりと覚えています。
でも、嫌いだからといってサボる子達ではありませんでしたね。
ただしいかんせん塾に来るタイミングが遅すぎて、正直公立高校の受験は間に合わないかもしれない・・・そんな差し迫った状況でした。
当時はこの子達も、お母さんたちでさえも『まさか大学に行く』なんて思っておらず、とりあえず何とかして公立高校に行かせたいといった感じでした。
しかし現実は残酷で、西尾市内の公立高校は全てどうしても厳しく、当時定員割れしていた安城南高校を受験することになったのでした。
結果は合格。
合格発表があった春先に、『この先も塾を続けるかい??』と確認したところ、『将来は美容師かショップ定員になるから、大学はとりあえずいいや~。』と言って去っていきました。
この直後に山口も当時の塾を去ることになるのですが、その理由はいろいろありますし、長くなりますので今回は割愛させていただきます。
そして自分は都築先生が起ち上げた今の塾に籍を移すことになるのですが、その2年後に、どこで聞きつけたのか当塾を突然訪問してきたんですね(笑)。
『山口さーん、やっぱり急に大学に行きたくなって!』
実は彼女が前塾を辞める直前に、教室のパソコンで青山学院とか明治大学のキャンパスを、一緒にGoogleマップで見たことがありまして・・・。
『大学はめちゃくちゃ楽しいぞー!』という話が頭の片隅に残っていたのだそうです。
とはいえ・・・、安城南高校に進んだあとはまったくほとんど勉強をしていなかったらしく、高校3年生の春時点での偏差値がなんと『35』。
これは厳しい・・・。
偏差値35というのは、全国の中でもほぼドベの方なんですね。
でも本人はそもそも偏差値のことを知らない。
『えー、偏差値があと20足りないんならあとちょっとじゃないですか!』みたいなノリでした。
偏差値って・・・点数じゃないぞ!?
そこで彼女たちにこう伝えました。
『とりあえず、これから受験が終わるまでは1日10時間勉強して。それでも受かる保証はできないけど、ただ分かっているのは、それやらなきゃ受からないよ。』とだけ。
かくして彼女達の受験勉強がスタートしました。
細かいカリキュラムは割愛しますが、分かりやすい目標だと『英単語2,000と熟語1,000語、ネクステージは10周、授業時間外でも分からないところは随時質問に来ること。』
シンプルところだとこんな感じです。
まあ僕たちが受験生に要求する、いつものやつですね。
こればっかりは、東大を目指す子だろうが、地方の私立大学を目指す子だろうが関係ありません。
デフォルトです。
ただしこれまでまったく勉強していなかった子達には、あまりにもきつい学習量だったのです。
でも結論から言うと、2人ともやり切りましたね。
もう毎日塾。
中間期末が終わった日も、安城や西尾のお祭りの日も・・・文化祭や体育祭の準備のときも、それこそセンター試験や滑り止めの入試の日も、欠かさず毎日来てくれました。
正直、そこらの西高生や東高生よりも必死に勉強してました。
そんな彼女がある日、半分泣きそうになりながらこう相談してきました。
『山口さん・・・毎日10時間勉強するように言われましたけど、どうやってもできません・・・。』と。
どうやら彼女、朝は5時に起きて朝ご飯を食べるまでに勉強、駅を降りて安城南高校まで歩く間も勉強、周りの友達に冷やかされながらも、放課の時間も全て勉強、学校が終わってからは塾へ直行、そこから教室がしまる22時まで勉強、家に帰ってから寝るまでの間にまた勉強・・・。
これだけやっても1日8時間くらいしか勉強できなかったらしく、このままだと間に合わないと思ったらしいんですね。
ただ山口、今も昔も変わらず、受験生には『(学校がある日に)毎日10時間勉強しなさい』と言いはしますが、物理的にできないことは理解しています。
それくらいの気合でやれば、受験に不必要なよそ事をやる暇なんてないし、受験に必要な学習量もしっかりと担保できるだろうと思っているだけです(ただし、天下の東進ハイスクールは、平日5時間、土日には12時間勉強しましょうと言っていることを付け足しておきます)。
本当に見上げた根性だなと思いましたが、このままだと本当に潰れちゃうので、めったにこんなことは言わない山口が、『君たち勉強しすぎだからちょっと休みなさい。体を壊したら受験もへったくれもないよ。』と伝えました。
ほとんどの受験生は『1日10時間勉強しようね!』なんて言っても、まずやろうとすらしませんからね。
まあもちろん、僕らはやるまで声をかけ続けますが・・・。
さてかくして、彼女たちは第一志望にこそ合格はできませんでしたが、2人とも地元愛知の偏差値50を超える大学に合格していきました。
1人の子は授業料免除も勝ち取っていましたね。
安城南高校は最近めきめき力をつけてきてはいますが、それでもみなさんの中では進学校という認識はないのではないかと思います。
でもね、そんなの頑張る本人次第。
そりゃあ受験のことを考えるのであれば、強い合格実績を持った進学校に行った方がいいに決まっています。
ただし、たとえ進学校に進んだところで、本人が勉強しなきゃ何にもなりません。
彼女達はいわゆる進学校ではない高校に進み、よくわからないまま何となく高校生活を2年過ごしましたが、その足りない過ぎいてしまった2年をたったの1年で取り戻し、受験生達に肩を並べるためには、とてつもない努力を積み上げなければならないことを理解していたんですね。
そりゃあそうです。
進学校の子達が地道に2年積み上げてきて、ラストの1年は全てを受験勉強に注いでくるわけですから、1日5時間や6時間程度の勉強で追いつくわけがない。
だってその程度の勉強は、普通の受験生ならみんなやりますから。
みなと同じ プラスαの努力を積み上げて、はじめて肩を並べられるかどうかなんです。
でもそこまで頑張れば、そりゃあ結果は出ます。
言っておきますが、彼女が入塾してきた高校3年生の春、最初にやった英語の授業は『be動詞と一般動詞の違い』でした。
そんな彼女が8か月後には、『この文章なんですけど、関係副詞のwhenがitとthatに挟まれているんで強調構文だとは思うんですが・・・』なんて質問をするくらいに成長したのです。
でももうこれは彼女達の並々ならぬ努力の賜物ですよね。
毎日毎日書きに書きに書きすぎて、たったの数か月で20本以上のボールペンが空になったと言っていました。
もうそれは塾や学校の手柄ではありません。
ただただシンプルに、彼女たちが色んなものを犠牲にして頑張ったからなんです。
彼女達とはまた違いますが、東大でA判定を出している高校2年生の塾生だって、順風満帆ではなかったのです。
たったの2年ほど前、中学3年生の1年間は、学年で130番くらいの成績が続き、それこそ睡眠時間を削るくらいに勉強して学年1位、東大A判定の成績を勝ち取るに至っているのです。
彼女達や彼らが何かをつかみ取ったのが自分たちの努力であるのであれば、できない理由もほとんどは自分たち自身の責任です。
学校のせいでもご両親のせいでも・・・もちろん友達のせいでもありません。
もし自分が今くすぶっていたり、出ている結果に満足できないのであれば、まずは自分に原因がないか考えてみてください。
高校はしっかりと選んだ方がいい、これは揺るぎない真実ですが、大概のことは自分自身の努力次第で何とかなる、これも真理です。
さて、今回登場してくれた安城南高校卒の女の子2人ですが、合格の報告に来てくれたときに花束を持って来てくれました。
この花はドライフラワーにして今も教室の玄関口を飾っていますし、一部は山口が愛用している参考書の栞として使わせていただいています。
さて、今年の受験生諸君も、同じくらい頑張ってください。
相対的に見て、正直まだまだ足りないです。
『○○大学に行きたい!』『××大学には行きたくない・・・』なんて言うのであれば、それに見合った努力をしてくださいね。
それでは今日も一日頑張りましょう!