He surprised us. ※難関大必須の名詞構文について
偏差値が65を超えるような国公立大学の英文和訳問題では必須ですね。
塾生のみなさんには、
『英語は名詞中心、日本語は文中心だから、そもそも直訳してしまうと大変なことになる』
と口を酸っぱくしてお伝えしております。
今日お話しする内容は、『京都大学や大阪大学、一橋大学』などでこれでもかと出題される、
『難易を表す形容詞の名詞化と関係副詞が複合した名詞構文』です。
もうめちゃくちゃ出ます。
今年の京大プレでも出題されておりました。
まずは超絶簡単な文章から始めます。
①He surprised us.
もちろん答えは『彼は私たちを驚かせた。』です。
これは主語が人なので、直訳でOKです。
②The ease surprised us.
『簡単さが私たちを驚かせた。』
これが無生物主語なのですが、まあなんか不自然ではあるものの、これくらいなら問題ありません。
ところが、ここに関係副詞と完全文がひっついてくると、ちょっと様子がおかしくなってきます。
(※ここでは関係副詞の文法的な解説は割愛しますが、接続詞のように文章が続くとだけ理解してもらえればOKです)
③The ease with which he solved the problems surprised us.
直訳すると、『彼がその問題を解いた簡単さが私たちを驚かせた。』となり、もちろん日本語としては相当不自然です。
というより、こんな名詞直訳の和訳を記述の解答で書いたら100%大減点です。
この英文自体、実はいたってシンプルな『SVO』なのですが、名詞が主語になっているため、日本語に訳すときはそれなりの配慮が必要です。
〇『彼がその問題を簡単に解いたことが私たちを驚かせた。』
〇『彼があまりにも簡単にその問題を解いてしまったので、私たちは驚いた。』
こういった日本語らしく訳し出さなければなりません。
【京都大学レベルだとこんな英文が出てきます】
上の文章は山口が片手間に考えた文章ですので、正直名詞構文だの関係副詞など意識しなくても、まあ何となく分かると思います。
ところがどっこい、京都大学ともなるとこんな英文が出題されます。
This explains, what would otherwise be inexplicable, the surprising ease and passion with which men wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection have adopted or “refuted” it.
これ、長文の中のほんの一文です。
単語自体はそれほど難しくはありませんが、とにかく何を言っているのか、全く分からないと思います。
しかしこの文章も、実をいうと『ただのSVO』、構造的には”He bought this book.”とまったく同じです。
山口の文章と違う点は、主語ではなく目的語が名詞構文になっているという点です。
この長い文章、核のSVOだけ抜き出すとこうなります。
This explains the surprising ease and passion.
本当にこれだけです。
直訳は、『このことが説明しているのは、驚くほどの簡単さと情熱的であることだ。』
問題は目的語になっている『the surprising ease and passion』に、先ほどと同じように関係副詞が接続して完全文が続いているということ。
なお余談ですが、難易度を表す名詞には”with which”しか使われません。
そのものに帯びている性質を表す前置詞は”with”が最適だからです。
それはさておき、その”with which”に続く英文がこれまた厄介なのですが・・・。
これまた超絶厄介な形容詞、 incompetent toについて。
『人 incompetent to do』で後置修飾、『~できない人』という意味になります。
また、京大受験者ならば必ず暗記しなければならない英単語、”refute”がここでも登場。
このrefute、『~を反駁する』という私たちはまず日常生活ではお目にかからない動詞なのですが、意味は『ある物が間違っていることを証明する』という意味です。
したがって、関係副詞”with which”以下の完全文を抜き出して和訳すると・・・。
men wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection have adopted or “refuted” it.
直訳『賛成であれ反対であれ、自然選択に対する証拠を正しく理解できない人たちが、自然選択を受け入れたり、または反駁したりしてきた。』
これに先行詞であるthe surprising ease and passion(驚くほどの簡単さと情熱的であること)がひっつくと・・・。
△(直訳)『賛成であれ反対であれ、自然選択に対する証拠を完全に正しく理解できない人たちが、自然選択を受け入れたり、または反駁したりしてきたことの、おどろ北ほどの簡単さと情熱的であること。』
となり、もう読むのもうんざりするような日本語になってしまいます。
ですので、先ほどの山口レベルの英文と同様に、この名詞は副詞っぽく処理した方が日本語として自然になります。
全文で和訳すると、
This explains, what would otherwise be inexplicable, the surprising ease and passion with which men wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection have adopted or “refuted” it.
『このことが説明するのは、これ以外では説明がつかないであろうが、自然選択を証明する証拠、あるいはそれに反する証拠を正しく理解することがまったくできない人たちが”驚くほど容易に、そして情熱的に”自然選択を受け入れたり、それに『反駁したり』してきたことである。』
・・・。
いや、もう日本語そのものがめちゃくちゃ難しい・・・。
しかしこの関係副詞がらみの名詞構文、今巷で大人気の名市大でも普通に出題されています。
近年ですと、”by which S V ~.” 『そしてそれによってSVである』が英文和訳で出題されました。
受験生のみなさんは、
・英単語やイディオムを暗記する
・英文法を完璧に理解する
などは当然として、自分が受験する大学がどういう問題を出しているのかを知る必要があります。
“refute”などとう英単語は、”LEAP”にも『鉄壁』にも載っておりませんが、京都大学では頻出中の頻出、受験生は絶対に暗記しておかなければなりません。
もし覚えていなかった場合、京都大学からすれば『うちを受験するのに”refute”覚えてこなかったの??』なんて思うかもしれません。
そして言わずもがな、こういう日本語の文章を書くために、みなさんは膨大な量の本を読んで、その表現を自分の中に蓄積していかなければなりません。
読んでもいない、ましてや書いてもいないものを、みなさんがひとりでに書けるようになることなど絶対にあり得ません。
とにかくたくさんの本を読み、素晴らしい文章は日本語英語を問わず、写経のように書いてください。
難関大の記述対策において、それこそが一番遠回りの様で、一番の近道です。
それにはとにかく膨大な時間がかかるということを覚悟してください。