単語を覚えただけでは英語は読めるようにはならず、むしろそこからが学習の本番です
あれだけ普段から『とにかく単語単語単語!』と言っているのに、なんて身も蓋もないと思われるかもしれませんが、残念ながら本当の話です。
そもそも日本語を覚えようとしている外国人が、『日本語を話せるようになりたいんで、単語を覚えてます』なんて言われても、『そんなの当たり前じゃん』と思いませんか?
でも当然ですが、単語を覚えただけでは英語の文章は読めませんし、ましてや文章を作ったり、聞いたことを理解することもできません。
論より証拠、次の文章を読んでみてください。
タイトルは『そこに虎がいるよ』といった感じでしょうか??
タイトルの通り、おそらく英語圏の中学生が読む小説です。
1行目から5行目だけ抜粋してみますが、ここには特に難しい英単語は使われていないにも関わらず、英語が相当得意だという高校生でも、(1行目を除いて)ほとんど読めないのではないかと思われます。
【Charles needed to go to the bathroom very badly.】
特に問題なく、『チャールズはまったく最悪なことに、トイレに行く必要があった。』
【There was no longer any use in trying to fool himself that he could wait for recess.】
この文章には全く難しい単語は使われていませんが、ほとんど読解できなかったのではないでしょうか?
“no longer”や”any”などが加わっていて読みづらかったかもしれませんが、これは高校1年生でみなさんが学ぶ”It is no use crying over spilt milk.”(こぼれた牛乳を嘆いても無駄である)と同じです。
また、動詞の”fool”は、直後に”oneself”を伴うと、『自身に言い聞かせる』という訳になります。
したがって訳は、『彼は(休憩まで我慢できる!)と自分自身に言い聞かせようとしたが、それはまったく持って無駄な努力であった。』(一部勝手に意訳しました)、みたいな感じになります。
次の文章です。
【His bladder was screaming at him , and Miss Bird had caught him squirming .】
“bladder”は見たことがないかもしれませんが、『膀胱』という意味です。
“squirm”は『もだえる』という意味。
ただしそれが分かったとしても、”,and”以下は読解しづらかったのではないでしょうか?
ちなみにこの”caught”は動詞”catch”の過去形ですが、いわゆる『つかむ、捕まえる』みたいな意味ではありません。
よく見るとこの文章、”Miss bird(S) had caught(V) him(O) squirming(C).”となっており、中学3年生のときに学ぶ”The news made me happy.”と全く同じ構造であることが分かります。
ちなみに動詞”catch”はSVOCになると、『気づく』という意味になりますので、ここでの全体の訳は『彼の膀胱は悲鳴を上げていたし、ミスバードはそんな彼がもだえていることに気づいていた。』みたいな訳になるのですが・・・(やはりSVOCを理解することはとても重要なのです)。
一部の単語を除けば、分からない単語など一つもなかったと思います。
しかし読めない。
単語が分かっていても読めないということは必ず起こります(だからといって単語を覚えないのは自分の首を絞めるだけですので、大前提として覚えましょう)。
以前にもお話しましたが、山口の元々の英語の偏差値は30程度で、必死に『ターゲット1900』を丸暗記しましたが、それでも偏差値は40程度にしかなりませんでした。
英単語を覚えても、それをブツブツにつなげるだけではきちんとした読解にはつながりません。
日本語でも『人生・・・関わり・・・存在・・・感情・・・知性の根源・・・ある種の・・・明らかだ』などと言われても、全く理解できないのと同じです。
きちんと『知性の根源が、人生およびそれと自己との関わりに対するある種の感情に存在していることは明らかだ。』と文章の体をなして、初めて読解できるのです。
日本語でできないことを英語でできるわけがありません。
もちろん英語をきちんと読解していくためには、きちんとした段階を踏んでいかなければなりません。
それは数か月といった短いスパンでできるものではなく、最低でも1年、欲を言えば中学1年生のときから正しい学習法で正しく学ぶことが望ましいです。
英語と日本語は、そもそもの文構造がまったく異なりますので、(山口のように)日本語に慣れ親しめば慣れ親しむほど、後に英語とのギャップに苦しんでしまうことを最後に付記しておきます。