現実を見ることの大切さと難しさ
例えば大阪桐蔭高校の野球部員。
彼らは全員リトルリーグやシニアリーグでは『エースで4番』、中には完全1対1のマンツーマンコーチをつけて指導を受けているプレイヤーもいます。
大阪桐蔭高校の部員数は確か50名ほど。
全国からそんなものすごい野球選手が集まって、全員寮に入って『年間休日3日』『スマホは持ち込み厳禁』『飲んでいいのは水とお茶のみ(お菓子も禁止)』・・・挙げるとキリがないのですが、このような環境で野球に打ち込みます。
もちろん、部員のほとんどがプロ野球選手を目指しています。
大阪桐蔭高校に限らずですが、そんな高校は日本中にたくさんあります(もちろん、ここ愛知県にも名電や東邦高校などがありますね)。
じゃあこのものすごい才能を持った彼らが全員プロ野球選手になれるのかというと、もちろんそんなことはありません。
年に一度のドラフト会議で指名されるのは、1球団でわずか10名(※支配者登録含む)。
さらに言えば、ドラフト会議で指名の対象になるのは高校生だけではなく、大学生や社会人も含まれます。
例えば日本に高校球児が10万人いたとして、毎年プロ野球選手になれるのは甘めに見積もっても60人程度。
確率にして『0.06%』です。
そしてさらに言えば、その中で本当にプロ野球選手として成功できるのはさらに一握りです。
【こんな山口にも人生のターニングポイントがありました】
全然そうは見えない!と言われますが、私山口、若い頃はバンドやってました。
それも割とガチンコでしたし、それなりに音楽で収入も得られていました。
そんな中で、『メジャーデビューするのか?』『はたまた夢を諦めて、仕事を頑張るのか?』という二択を迫られるときが来ました。
まあ山口はチキンですので、(仮にメジャーデビューできたとしても、一生それで食べていくのは不可能だろうな・・・)と思い、あっさりとバンドの夢は諦めました。
最後の最後、1枚だけレコーディングに参加させていただき、ありがたいことにそのCDはそれなりに世の中に流通しました(もし希望者がいましたら、そのCDお貸しします)。
その後袂を分かったバンドはとんとん拍子に売れ、最終的にはZEPP名古屋などでもライブをするようになります。
フェスにもガンガン呼ばれて、幕張メッセなどでもライブやったみたいですね。
なんて聞くとさぞかし、『好きなことをやって、たくさんお金が稼げて羨ましい!』と思うかもしれません。
しかし現実には・・・。
もう解散してしまったので内部事情を漏らしてしまいますが、『年収50万円くらい』だったそうです。
年収50万円ですよ?
大学生のアルバイトでももっと稼げます。
さらに、知人というほどのものではありませんが、毎月のようにZEPPクラスでライブをやって、年に数回アリーナツアーをやっているバンドマンがいるのですが、そんな彼らですら『年収500万円』だそうです。
年収500万円というとそれなりにいい金額にも見えますが、これがいつまで続くかもわからない。
さらに老後の備えのことも考えると、かなり厳しいと言わざるを得ないでしょう。
だからと言って、そんな夢に向かって頑張っているバンドマンを否定したいわけではありません。
ただ現実には、彼らクラスですらほんの一握り。
その本の一握りになれたとしても、肝心のお金が稼げないのです。
論より証拠、ワールドクラスのバンドマンたちがこう言っています。
『ヨーロッパで5週間ツアーをしたんだけど、利益はゼロだった。これが現実さ。』
さらに山口が一番崇拝しているバンド、一昨年グラミー賞まで取ったDREAM THEATERのメンバーもこう言っています。
ちなみにこの人たちは、1980年代から大活躍しておりまして、若い頃に莫大な貯金を作ったから、今も好きなことをやれています。
昔はですね、『1枚3000円もするCD』が、平気で『100万枚、200万枚』売れてたんですね。
だからちょっと売れちゃったミュージシャンでも『一生食べていけるくらいの収入』が得られていたわけです。
でもですね、今CDなんて売れないですよね?
というか中高生のみなさんなんて、多分1枚もCD買ったことないんじゃないですかね?
そう、今はもう時代が変わっちゃって、『誰も音楽にお金をかけない時代』になってしまったのです。
すごく残念な話ではありますが・・・。
そうなると・・・。
・ものすごく歌や楽器を頑張る
・同じくらいものすごいバンドメンバーに巡り合う
・ものすごい曲をバンバン作る
・ライブをガンガンやりながら自分たちでグッズを作って売り込む
・・・なんてことは当たり前にみんなやっていまして、その中のごく一部だけが『メジャーデビュー』できるわけです。
先に言っておくとこの時点で、『東大に合格するよりも難しい』と思います。
東大は毎年4,000人合格しますからね。
そしてこれだけ厳しい条件をクリアして、さらにアリーナクラスのツアーができるバンドに成長したとしても『年収500万円いくかいかないか』です。
山口は夢を追いかけることを否定しているわけではありません。
『自分はどんなに貧しくても、その日暮らしでも好きなことをやって毎日過ごしたい!』というのであれば、それは個人の自由です。
ただただ『現実は非常に厳しい』ということを知ってほしいのです。
ちなみにですが、山口は本…当に心から、『あの時バンドをやめてよかった』と心から思っています。
そうじゃなければ今の幸せはありませんでした。
そして皮肉にも、今の方が好きなだけ自由に楽しく音楽に取り組めています。
【大学受験でも『現実は厳しい』ということを知ってほしい】
昨日のブログでも書かせていただきましたが、『西尾高校の2年生200名が名古屋大学を第一志望にしている』んですね。
もちろん、(ただ何となく地元愛知の国立大学だし…)と思っている西高生もいるでしょうし、担任の先生に『とりあえず名古屋大学って書いとけ!』と言われた西高生もいるとは思います。
いずれにしても、ただただ現実として、『西尾高校から名古屋大学に合格するのは20名、甘く見積もっても30名』ということです。
これだけは変わらない。
なお、東高の場合だと現時点では0名です(10年前までは、毎年10名弱合格してました)。
だからと言って、『無謀な挑戦はやめなさい』と言いたいわけではありません。
ただしっかりと現実を見て、『本当に名古屋大学に合格したいのであれば、それに見合った努力をしなければならない』ということをお伝えしたいのです。
いや、何を当たり前のことを・・・と思われるかもしれませんが、『学年200名の第一志望が名古屋大学』というのは『現実が見えていない』としか言いようがありません。
途方もないプロ野球選手やミュージシャンなどと違い、大学受験の場合は夢を叶えられる可能性が非常に高いです。
超がつく難関と言われている『旧七帝大+一工』でも毎年2万人以上が合格します。
そこに金岡千広や大阪公立大学、名工大や名市大、早慶上智やMARCH、関関同立を加えると・・・多分ですが『毎年10万人以上合格』しているはずです。
おそらくですが、少子高齢化も相まって今の受験生の数は『60万人程度』(※なお、山口の時代は倍の120万人、本当に大学受験は地獄でした)。
『6人に1人は有名難関大学に合格できる』、と考えると、これはもう頑張る価値はありありですよね。
現実が見えていない受験生というのは、『やるべきこともやっていない・・・というよりも理解できていないのに、目標だけは高く掲げてしまっている』んです。
これの何がまずいかというと、本当に何が必要なのか、気づいたころには手遅れであることが多い、ということです。
そして何となく・・・高校2年生のこの時期になってから、(さすがに名古屋大学は厳しいから、一つランクを落として、名古屋工業大学(名古屋市立大学)あたりにしておこう)とか、本人的には下方修正しているつもりなのかもしれませんが、『名古屋工業大学も名古屋市立大学も難関大』なんですよね。
当り前のことですが、受験生全員に平等に、『難関大に合格する可能性』はあります。
この世に生まれてきた瞬間は全員100%です。
それがどんどん時間が過ぎていくにつれて、少しずつ少しずつ減衰していって、大学入学共通テスト当日に0%になってしまいます。
特にその下降ぶりが激しいのは、『高校に入学した瞬間』だと個人的には思います。
毎年毎年中高生のみなさんに指導させていただく機会をいただいていて、例外なく感じることは『みなさん非常に優秀である』ということです。
日がな一日、『英語だけを勉強していればいい山口』とは違い、みなさんは数学も理科も、社会も国語もこなしているのですから、その時点で私などとは比べ物にならないほどの能力を持っています。
そして若いみなさんは、本当に真綿が水を吸収するかのように、私の拙い指導を100%以上で理解してくれます。
それでも毎年毎年、当塾の『第一志望合格率(※大学受験)』が100%にならないのは、この『現実の厳しさ』を理解してもらうことが難しいことにあります。
今年も当塾の高校3年生が難関大に挑戦することになりますが、『おそらく第一志望に合格できるであろう』受験生のうちの一人は、毎日毎日一日も欠かさず教室に来ています。
一日も欠かさず、です。
もちろん当塾には、西尾市外の遠方から通っていて、物理的な理由から毎日通うことが難しい塾生もいますので、彼らや彼女たちは省きます。
本当に難関大に合格・・・というよりは、『自分が本当に叶えたい夢を叶える』ためには、みなさんが思っている以上の努力が必要になります。
一刻も早くそのことに気付いてほしいです。
これもしつこいようですが、本当に大切なのは高校3年生ではありません。
もうその時には、受験の大勢は決しています。
みんなが頑張る高校3年生の時期にどれだけ頑張っても、すでにA判定を出している連中との差が埋まるわけがありません。
一番重要なのは『高校1年生』、しかしその高校1年生も間もなく終わろうとしています。
願わくば『中学生』の頃から、しっかりと目標を持って準備をしてほしいです。
・・・なんて言うと、『そんなに小さい頃から勉強ばかりさせなくても・・・』というご意見もあるかもしれませんが、『目標のために早い段階から準備をする』って普通のことです。
それに当塾のブログで何度も何度も登場してくれている刈高生男子。
彼は中学校1年生の頃から当塾に通ってくれていますが、当時から勉強だけではなく、バリバリサッカーに打ち込んでいます。
もちろん、今もリアルタイムで。
勉強を頑張って得をすることはあっても、損することなんて一切ありませんよ!