とある大学の青本に書いてあった数学の所感(★ぜひ、一番最後の≪数学的作文の練習≫だけでもよいので読んでいただきたいです)
そんなわけで、昨日篠原先生が嬉々として取り組んでいた過去問ですが、『書評にはどんなことがかいてあるのだろう?』とちょっとだけ目を通させていただきました。
※なお、超難関大を目指している高校生のみなさんは、赤本ではなく青本を用意してください。
とある国立大学が、『赤本レベルの解答は不可とする(※大学が求める基準に達していない、という意味です)』と声明を出していますので。
そんなわけで、その大学の青本に書いてあった、数学に対する書評をちょっとだけ紹介させていただきます。
数学門外漢の山口でも理解できますので、高校生のみなさんはもちろん、お母様やお父様にもご一読いただきたいです。
![](https://fix-tanninsei.com/wdprfx/wp-content/uploads/2025/02/a4d48c848c8ae6567e892496e40ceb95.jpg)
◆入試対策◆
このような入試問題に対処するにはどうすればよいだろうか。
上で述べたように、解きやすい問題が必ず2題程度ある。
これらが完答できるようになることが第一である。
易しい問題は採点基準が厳しいので、きちんと論理的に解答を書くことを心がけて欲しい。
場合分け、不等式の扱い、必要条件・十分条件など注意すべき点は多くあり、これらが完答できればほぼ大丈夫といっても良いくらいである。
そのためには、受験テクニックは必要ないし、すばやい計算力も要領のよい頭の回転も不要である。
問われているのは、正確な計算力、地道な論証力である。
日頃の数学の勉強では多くの問題を演習するだろう。
普通は、まず定型問題についてその解法を覚える・身に付けるという勉強をする。
定型問題を考え込んでいては時間がなくなるので、こういった勉強は必要である。
しかし、もう一歩踏み込んで考えて欲しい。
あらゆる定型的な、公式的な考え方には、必ず理由と限界がある。
なぜそのような考え方が有効なのか考えてほしい。
このようなことがらを地道に追及する姿勢、簡単なこともおろそかにしない真摯な態度が求められている(⇐これ、めちゃくちゃ重要です。基礎的なことですが、みなさん凡事徹底できていますか?)
また、定型的な考えはある範囲の問題には有効だが、それから外れて適用するとどうしようもなくなる。
そのときにどうするのか、ここから本当の思考が始まるのである。
そこで大切なのは、ひとつの問題にひとつの解法を結びつける単眼的な思考ではなく、違う角度から問題を見直すことのできる柔軟性である。
≪教科書の確認≫
馬鹿にするなという声が聞こえそうであるが、例えば次のことにすらすらと答えられるだろうか?
「三角関数の定義をのべ、加法定理を導く」
「指数の拡張」
「内積の定義をのべ、その演算規則を導く」
「接線が重解条件でとらえられる理由」
「微分係数の定義をのべ、sinxの微分係数を求める」
「eの定義をのべ、それが面積と結びつく理由」
「楕円の定義をのべ、楕円の標準形を導く」
教科書にあいまいに書かれていることを、高校数学を見直す視点からはっきりととらえなおすことが必要である。
≪計算力をつける≫
日頃の問題演習で計算をおろそかにしないこと。
やればできるというが、実はやっても間違うのが計算である。
計算間違いで”人生が大きく変わるかもしれない”。
(・・・最後にさらっとすごいことを言ってますね)
≪方法に対する意識をもつ≫
問題は漠然と解いてはならない。
問題演習のときに、「この問題にはこのような複数の解法が考えられ、こういう理由でこの解法を選ぶ」というように考えてほしい。
数学ができる人は、これを自然と無意識にやっている。
苦手なひとでもそれを意識化することである程度できるようになる。
〇〇大は誘導をつけない出題をしている。
解法のための道具は自分で考えよ、ということである。
このような問題は解き始めが大切であり、ここで方法に対する意識がないと、とんでもない方向につき進んでしまう可能性がある。
★★★≪数学的作文の練習≫⇐これだけでも読んでほしいです!
数学の答案はmathematical composition だと理解してほしい。
論理的な作文であり、論理に意識的になることが求められている
結論Qに進まなければならないのに、QであるためにはRであれば良い(R⇒Q)からとしてRを目標にしてしまっては、答えの一部しか出ない可能性がある(もちろんR⇔Qなら問題ないが)。
○○大では計算用紙も答案として提出するため、何でも書けばよいと考えているのか、思いつきをエッセイのように書き並べた、論理的にでたらめな答案を平気で書いている人がいる。
これは勘違いも甚だしいのであって、論理的に正しく書けていないような答案はいくら書いても零点である。
採点者はプロの数学者であり、論理には非常に厳格である。
論証を伴わない思いつきは数学ではない。
【数学戦闘力ゼロの山口の所感】
『とにかく大変だな・・・』、以上です!
しかし最後の『数学的作文力』については我が意を得たりといったところでしょうか?
私は普段から、『公立高校入試がオールマークになったことで、愛知県の中高生の学力は劇的に下がる』を連呼しています。
残念ながら、なんぼオールマークに特化した学習を積み上げても、書く練習を怠った高校生は、国公立の記述にまったく対応できません。
これは岡崎高校や刈谷高校のような超トップ進学校においても同じです。
私は公立高校入試で102点を取った岡高生が、”She don’t speak English.”と書いた例を知っています。
答えはもちろん、”She doesn’t speak English.”です。
(※彼の名誉のためにお伝えしておきますが、今彼の英語の偏差値は70を超えています)。
恐ろしいことに、オールマークのテストでは、三単現のSやスペルミス、時制のミスも起こりません。
いわずもがな、『書く必要がない試験』だからです。
おそらくは、進学校の上位陣はそれほど変わりません。
成績上位を維持している高校生たちは、いち早く目標を定めており、自分が受ける大学でどのような問題が出題されるかを知っているからです。
とにかく高校生のみなさん、高校2年生のみなさんに残されているのは『340日』、1年生のみなさんでさえ『2年弱』の時間しか残されていないということを自覚してください。
みなさんがこれから受けるのは、マークを塗りつぶせば『4分の1で得点がもらえる公立高校入試』ではないのですから。