受験の厳しさ
とてもうれしいことに今年度も当塾から、一橋大学や名古屋市立大学、刈谷高校や岡崎高校などの超がつく難関校合格者が出ました。
偏に塾生のみなさんの努力と、ご子息・ご息女の可能性を信じ続けてくれた保護者様の熱意の賜物だと思います。
その一方で、今年度も大学受験においては、第一志望合格率100%を達成することはできませんでした。
これにつきましてはただただ、私山口の力不足です。
塾生全員に第一志望の大学に合格する可能性はありましたが、残念ながら私のよくない予言、つまり1年ほど前に幣ブログでお伝えしていた『今年度の3年生は一番優秀だけれども、一番努力をしていないから、みなさんの第一志望の合格率は50%くらい。』、というものです。
学年320位から名古屋市立大学に合格した西高生貴哉君(※今は当塾の講師ですので、貴哉先生ですね)、一橋大学に合格した刈高生晄基君は、ただただ大学受験の厳しさを知っていて、その厳しさを上回る努力を積み上げてくれた受験生でした。
私は自分で塾生に厳しく接しているつもりですが、彼らが自主的に課していた努力の質と量は、私の想定をはるかに超えるものでした。
【糧塾という動画に思うこと】
針の筵みたいでかわいそうな気もしますが、あれだけ再生回数が多い動画に自ら出ているのですから、自分自身が衆目に晒されることもある程度覚悟の上でしょう。
ですので、あえて厳しいことを言わせていただきます。
とある『糧塾』というYouTubeチャンネルの動画内において、3名の受験生が東京大学に挑戦しました。
結論から申し上げますと結果は『全敗』。
全員不合格でした。
ただ終わってからいうのもなんですが、正直(東大合格は相当厳しいだろうな)と予想しておりました。
ひとつには『大事な受験を控えて、YouTubeの動画内でわちゃわちゃしてて大丈夫なの?その時間、東大二次対策にあてるべきじゃないの?』、という至極当たり前の意見もありますが、それ以上に、出演者中の一人が通っている高校、『西尾高校』では、もう長いこと東大合格者を出していないという、ただただその現実的な数字の問題で難しいと思っていました。
違ったらすみません、多分西尾高校ってもうかれこれ8年ほど東京大学合格者を出していないんですよね。
こと英語に関してですが、西尾高校が対策できているのは、『共通テスト』『地方国立大学』までです。
これは塾生から聞いているので間違いありません。
東大や京大、一橋や医学部の対策はやれていないんです(※飽くまでも英語に限った話ですので悪しからず)。
言わずもがな、『東京一工』の二次試験はけた外れに難しいです。
仮に共通テストで1000点満点をとったとしても、二次対策が不十分なら100%落ちます。
これは何度も申し上げておりますが、偏差値が高い国立大学ほど共通テストを重要視していないため、配点が大きく圧縮されてしまうからです。
例えば今年当塾の塾生が合格した一橋大学法学部、共通テストの配点は250点に圧縮。
つまり、受験生が満点をとったとしても、『250点扱い』なのです。
ですので私たちは晄基君に対しては徹頭徹尾一橋大学の二次対策のみ。
誤解を恐れずに言わせていただくならば、『共通テストそのものは大して意味が無い』というスタンスで指導させていただきました。
さらに言えば、一橋の二次対策がきちんとできているのであれば、共通テストの対策も余裕をもってかねられます。
その逆、つまり共通テスト対策が難関大二次対策を兼ねることはありえませんが。
それはさておき、話を戻します。
今回その糧塾の3名の受験生が全敗したのは、一言で言えば『二次対策が不十分だった』ということです。
今年の東大は足切りのボーダーラインを上げてきましたので、この3名が東大を受験できたというだけで、共通テストは充分な得点を取っていたことが分かります。
(※なお、東大が足切りラインを上げた理由は、『できるだけ受験生の数を減らして、きちんと記述の解答を採点したい』というものでした)
ところが蓋を開けたら、3名とも合格はできなかった。
もちろん、厳しいことを言えば、受験生が不合格になるのは本人の努力不足です。
ですがもうひとつ、もちろん指導者の力不足も多分にあるのです。
この指導者たちは、この3名の記述対策を十分にできていたのか
またさらに言えば、『この記述力なら東大にも合格できる!』と自信を持って背中を押せたのか??
そこは甚だ疑問が残ります(※その辺はぜひ、みなさんが実際の動画で確認された方がいいかもしれません)。


ちょっとかわいそうな気もしますが、自らの意志でYouTubeの動画に出ることを決めたのですから、私のような場末の塾講師につつかれるくらいのことは覚悟の上でしょう。
しかし私なら、しっかりとこの3名の受験生の記述力を見た上で、これは厳しいと判断したならば、志望校のランクを下げさせます。
晄基君の合格体験談でも書かせていただきましたが、彼の共通テストの得点は818点。
正直一橋受験は厳しい・・・というか、極めて厳しい現実ではありましたが『C判定』でした。
さすがの彼も自信喪失で、自己採点当日は教室に来られなかったのですが、自分は絶対に一橋に合格すると確信していましたし、もちろんご本人にもお父様にも『絶対に一橋受験しましょう!』と声をかけさせていただきました。

(※三度目の登場、何度もすみません)
私は彼の努力を知っていましたし、仮に共通テストでこけても、二次でしっかりと挽回できると確信していたからです。
どういうわけか、私は中高生のみなさんや保護者様に、『生徒全員に”大丈夫!”って言ってるんですよね?』と言われるのですが、全然そんなことはありません。
『努力が志望校に見合っていない』と判断したら、『多分厳しいから志望校のランクを落とした方がいい』と伝えています。
そんなわけでいつも通り二転三転して申し訳ございません。
私はただただ、西尾高校はここ数年東大の合格実績が無いということから、ちょっと合格は厳しいだろうなと思っていました。
そしてもしもこの糧塾なる塾の先生方がそのことに気付いていたなら、きちんと東大二次の厳しさを伝えるべきでしたし、記述対策ができていなければ、『志望校のランクをひとつかふたつ落とした方がいい』と伝えるべきだったと思います。
国公立前期で敗れると言うことは、後期試験では4ランク、5ランクは志望校のランクを下げなければいけません。
最終的に、彼や彼女たちがどの大学に進学したのかは分かりませんが(※1名は慶應大学とのことでした)、東京大学に受かる見込みがないのであれば、名古屋大学や大阪大学、東北大学などに志望校を変えるべきだったと思います。
これは結果論などではなく、現実に3の0だったわけですから、この先生方は3名の力をきちんと見極められていなかった、ということになります。
(なんだかまた嫌なこと言ってるな~・・・この〇ゲ)と思われるかもしれませんが、大学受験ってそれくらい厳しいんです。
努力なんてみんなしてるに決まってるじゃないですか。
『僕は・・・そうですね、特に塾に行く必要はありませんでしたので・・・はい。』なんてことをサラッと言ってしまう篠原先生みたいな高校生を除けば、ほとんどは小学校の頃から中学受験の勉強をやってきた受験生ばかりです。
開成高校、灘高校、筑波大学駒場高校やラ・サール、女子御三家や麻布や日比谷・・・小学生の頃から大学受験級、もしかしたらそれ以上の競争を勝ち抜いて、中学校1年生から大学受験対策をやってきたような連中ばかりです。
西尾高校に籍を置きながら、このライバル達と戦うというのであれば、その努力は並大抵で言いわけがない。
彼らや彼女たちの8年分を、公立高校に通いながら、しかも『2年と9か月』で補わなければならない。
そして東京大学に限らずですが、難関大を目指している受験生のみなさん。
全ての情熱をみなさんの第一志望に注ぎ込んでください。
勉強は苦行なんかじゃありません。
みなさんがスポーツなどに一生懸命打ち込むのと同じです。
プロのアスリートが、試合に勝つために膨大な努力と時間と、そしてお金を注ぎ込むのと同じです。
勉強にもそれが必要なのだと心得てください。
ただしこれだけは100%お約束できますが、勉強に費やした時間と努力(そしてお金)は、必ずリターンがあります。
その何百倍にもなって返ってきますので、全身全霊勉強に打ち込んでください。