子どもは悪くない ~続き~(中学生の保護者様へ)
さて、昨日の続きとなります。
『日本語と英語はそもそも構造と語順が違うのに、日本語で、日本語の語順やきれいな日本語訳ができることを目標とした指導をしている』『ただし、その指導方針は文科省が定めたものであり、実際に現場で指導される先生方にはどうすることもできない』という2点をメインにお話させていただきました。
その固定観念を壊さないことには、公立の中学校に通っている子どもたちは、みな正しくない学習法で英語を学び、高校受験は何とか切り抜けたけれども、大学受験、またはコミュニケーションを目的とした英語にはまったく対応できないのです。
とはいっても・・・それに限って言えば何も難しい話ではありません。
『英語と日本語では、大切にしているものが違うから語順が違うんだよ?』と、お父様やお母様が声をかけてあげるだけでも全然違います。
例えば今、手元に中学生の塾生から借りた英語の問題集のコピーがあるのですが、不定詞の単元でこう説明してあります。
【<to+動詞の原形は>、『・・・すべき』『・・・するための』という意味にもなり、その前の名詞や代名詞を修飾する形容詞の働きをする(形容詞的用法)somethingなどのーthingで終わる代名詞を、形容詞と不定詞が修飾するときは、-thingのあとに<形容詞+to+動詞の原形>が続く】
・・・と書いてはいますが、正直これだけ読まされてもまったくピンときません。
山口が英語のテストで0点を取るようになったのがまさにこの時期ですが(英語どころか他の教科もですが・・・)、今思い返してもこのあたりが重要なターニングポイントでした。
話を戻します。
この解説に続いて問題がこう続きます。
【次の語句を並べてかえて、日本文にあう英文を書きなさい。
(3)ジャーナリストには毎日するべきことがたくさんあります。
Jounalists [have / do / things / to / many / every day] .】
不定詞という単元を理解できていないということを前提として、先ほどの解説のあとでこれを見せられて解答できるでしょうか??
すでに受験をくぐりぬけてきた私たち大人を基準にしてはいけません。
主語や動詞、目的語をやっと理解できるようになった中学2年生のことを考えてほしいのです。
不定詞というのは厄介なことに、一つの文章に動詞が二つ出てくる単元で、中学2年生が初めて遭遇する重要な内容なのです。
理解が覚束なければ日本語の語順のままに、【Jounalists every day have to do many things . 】なんてでたらめな解答をしても全くおかしくない。
それなのにきちんとした説明も受けずに(それも大した説明ではありません)『なんでこんな簡単な問題を間違えるんだ!』・・・なんて言われちゃった日には、そりゃあできるものもできなくなってしまいます。
だから子どもは一切悪くありません。
悪いのは、まずい教え方をしてしまっている指導する側にあります。
だからお父さんお母さん方は、テキストや問題集の日本語をちょちょっと細工してあげてください。
先ほどの日本語なら、【ジャーナリストには毎日するべきことがたくさんあります。】を
【ジャーナリストは<主語> あります<動詞> (何が?)たくさんのことが<目的語 ※物と指導してもOK> (どんな風な??) するべきのことが 毎日 】
あとはこの語順通りに英文を並べかえるだけです。
【Jounalists have many things to do every day .】
(1)日本語は主語と動詞が必ず最初に来ること(もうこれは絶対と言い切っていいです。子どもは『絶対』とか『100%』という言葉で安心ができます)。
(2)例外で語順が変わることはあるけれども、それは本当にまれ(具体的には『倒置』や『省略』などでそれが起こりますが、それは枝葉の枝葉であって、正直この先ずっと知らなくても構いません。今は英語の幹の部分をしっかりとマスターすることが大切です)
(3)『昨日』や『明日』、『毎日』といった時間に関わる言葉は、英語はほぼ最後に来る。
この3点を根気よく繰り返して伝えて、日本語の文章はすべて【S V O +前置詞がついたかたまり】の語順に書き直してあげてください。
子どもにとっては、お父さんやお母さんも一緒に自分の勉強に関わってくれるので、学習に対するモチベーションも上がります。
ただし、これには一つ大きな障害があります。
中学生くらいの年頃の子どもにとって、学校の先生は絶対的な存在であるということ。
以前にもお話しましたが、山口は中学2年生の頃、担任のM田先生に『おまえがいるとみんなにバカがうつるから学校に来なくていいぞ。』などという、世が世なら懲戒免職ものの暴言を浴びせられても(・・・自分がバカだからダメなんだ。)と本気で思いこみましたからね。
子どもにとっては、学校の先生や警察官というものは、絶対に間違っていない存在なんです。
学校の先生や警察官でも不祥事を起こすことがあると知ったのは、それよりもずっとずっと後のことです。
まあ~・・・本当にショックでしたが、先生が悪いとも思わず、ただひたすら自分が間違っていると信じ込んで、だけれどもどうしようもなくて、成績は一気に急下降してしまいました。
子どもというのは例外なく、素行が悪い中高生も含めて本当に純粋なんです。
だから闇雲に、『学校の先生が間違っている!』なんて言っても逆効果です。
『日本という国は一番英語の学習に時間を割いているけど、英語力はアジア圏(東南アジアを含む)で最低だ。』とか、『受験英語と実用英語は違うんだ。』なんてエビデンスを並べる必要はありません。
ただただ懇切丁寧に、『日本語で書かれた文章を英語の語順に修正してあげる』『一緒に声に出して、英文を暗唱する』そんなことを繰り返すだけで大丈夫です。
もちろん、その先にある高等英語を学ぶためには、もっともっと難しいことを学習しなければなりませんが、この基本的なことが分かっていなければ、応用もへったくれもないのです。
それどころか、『今まで学んだものは一回忘れてしまおうか。』というところからスタートしなければならないので、本当に『百害あって一利なし』なんです。
もちろん、信じるか信じないかの選択は、学ぶ側に委ねられます。
しかしながらもしも英語学習の指導に悩まれていて、先々に大学受験を考えられているのであれば、ぜひお気軽に無料体験の授業を受けていただけたらと願います。
英語は正しく学べば100%成績が上がる教科です!
なぜならただの言語ですから。
ただし、まったく言語構造が異なる日本語にどっぷりつかってしまった純日本人が英語を学ぶなら、『英語のシャワーを浴びて・・・』『何度も繰り返して慣れて・・・』などという、曖昧な学習法ではいくら学習しても意味がありません。
英語に限らず、どの学問にも学び方はたくさんありますが、ぜひ正しい学習法に出会ってほしいと切に願います。