リスニング力を上げるために
当塾は中学受験には対応しておりませんが、『難関私立高校受験』には対応しております。
今は当塾に難関私立高校を希望する塾生はいませんが、去年と3年前には慶應高校受験生がいましたので、こんな問題集を使って授業をやっていました。
もちろんこれだけではありませんが、中学生が解くには途方もない難問ぞろいです。
もう高校の内容をお伝えした方が効率がよかったので、結局高等数学と高等英語をガンガン進めていきました。
もし興味がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください(内容はまったくお気軽なものではありませんが…)。
【リスニング力を上げるためには何をすればいいのか?】
さて、山口は受験の事だけを考えるならば、リスニングは必要ない・・・というか、必要ではあるのですが、それでも一番最後に手をつけるべきものだと思っています。
以前にも少しお伝えしましたが、4技能の中で最も難易度が高いのがリスニングですので。
リスニング>>>>>>>>>>>>>>>> スピーキング > ライティング > リーディング
これくらいの圧倒的な差があります。
つまりリスニングを一生懸命頑張っても、あまり達成感も得られませんし、本気で何とかしようとするのであれば、これはもう腹をくくって、一日最低でも2時間は英語の学習に割く必要があります。
それでも受験生のみなさんは、『いやいや、でも公立高校入試でも共通テストでもリスニングはあるじゃん!』と思っているはずです。
では可能な限り伝わりやすいよう心掛けて説明させていただきます。
①中学校の教科書に載っている短めの例文は片っ端から覚える
②文法は並行して学習しながら、100%の理解を目指す
③まずは音読、その後音源を流しながらマンブリング(つぶやき)とシャドーイングを繰り返す(ネイティブになり切って)
④公立高校入試なら公立高校入試、英検なら英検、共通テストなら共通テスト、受験する内容に合わせた音源を片っ端から聞く
大変ですね・・・。
山口は『リスニングはコスパが悪い』とは言いましたが、めちゃくちゃやる気があったり、まだ小学生や中学生ですと言うならぜひぜひ頑張ってほしいです。
まずは①が必要な理由から。
よく『ネイティブスピーカーは小さい頃から英語のシャワーを浴びて英語をマスターしていく』から、ひたすら聞き流していればいいという意見がありますが、それは『英語だけ』を聞いて、話して、書いてきた場合です。
英語とは全く異なる日本語にどっぷりつかってきた私たちが、むやみやたらに英語のシャワーを浴びたところで、リスニング力はあがりません。
耳は多少よくなるかもしれませんが・・・。
じゃあ何の土台もなしに、モンゴル語やロシア語、アラビア語のシャワーを浴びまくって、彼らが話している内容が理解できるようになるのでしょうか?
無理です。
そんなわけで、まずは基本となる文章をいくつもいくつもストックしていく必要があります。
例えば、
“What are you doing ?” とか”How are you?”なんかは、そりゃあ聞けば何を言っているかは分かります。
“Can you speak Japanese?”も、聞けばすぐに分かります。
ではちょっと難しくなって、
①”Could you tell me how to get to Nishio station?”だとどうでしょうか??
おそらく中学2年生、3年生や高校生ならば『分かる分かる!』という人もたくさんいると思います。
ところが、
②”Could you tell me how to get it right?” だとどうでしょうか?
①の文章とは”how to~”以下が変わっただけです。
もちろんこれを耳で聞いて、(あれ?”how to “は○○の仕方ってことは分かるけど、”get”得る、”it”それ、”right”正しい?)
なんてあたふたしているうちに、もうあっという間に次のフレーズが読み上げられています。
これはもう細かい文章は度外視して、”how to get it right”=『改善の仕方』”と覚えてしまうしかありません。
つまり、上のフレーズが耳に入ってくると同時に、『改善の仕方を教えてもらえませんか?』と理解しなければなりません。
そのためには、”Could you tell me how to get to Nishio station?”を丸暗記したように、②の文も丸暗記する必要があります。
もちろん、これが耳に入ってくるときは『ハウトゥーゲリッライッ』とリンキングして聞こえてくるので、少なくともみなさんは自分で、『how to get it right=ハウトゥーゲリッライッ=改善の仕方』を脳内で意識しながら音読の練習をしなければなりません。
人間の耳は、自分で発せない音は聞き取れないようにできているのです。
これがもしも、”Could you tell me how to improve?”だったらもっと簡単なはずです。
“improve”=『改善する』という意味なので。
実は単語は覚えてしまえばすぐにその訳がイメージできるのですが、実際の英会話ではそんなに難単語ばかりが出てくるわけではありません。
他にも例えば、『あなたは計画的に目標を達成する必要があります。』という英語を日本語にしようとするならば、”plan” “achive” “goal”などの単語が頭に浮かぶかもしれませんが、もしかしたらネイティブさんは次のように言うかもしれません。
“You want to know what steps you need to take to get where you want to go.”
こんな短い文章でも、(あれ?”You want to know” ”あなたは知りたい”ってどういうこと?)
(whatは先行詞がない関係代名詞で、他動詞”take”の目的語が欠けていて…)
(whereは関係副詞だから完全文で、自動詞goの前置詞がないからOKで…)
なんてことを考えていたら、あっという間にすべての文章が読み上げられているでしょう。
『want to ~には勧誘・依頼もある』
『what steps you need to takeを一塊で単語だと思う。意味は「あなたがしなければならないのはどんな段階なのか?」』
『where you want to goも一塊で、「あなたが到達したいゴール」』
これも聞こえてきた瞬間にこれがイメージで頭に浮かばなければなりません。
会話ですので。
理想を言えば、日本語に置き換えることなく、英語でイメージできるのがベストです。
どうでしょうか?
リスニングがいかに大変なのか?また、あまりお勧めしないのかが伝わりましたでしょうか??
ただ、もちろん『やらないよりはやった方がいい』です。
しかしながら、これを高校2年生の冬以降にやるのはさすがに無理があるんです。
もうそこまでサボってしまったんなら、他で得点を稼いだ方が絶対にコスパがいいです。
これはもう『いつから取り掛かりだしたのか?』という問題であって、能力の問題ではありません。
少し話はそれますが、そのためにも志望校は早めに決めた方がいいです。
リスニングのウェイトが大きいのか小さいのかは、非常に大きな問題ですので。
例えばの話、同じ国立大学でも、名古屋大学のリスニング配点比率は『3:1』と少なめであるのに対して、名古屋工業大学は『1:1』です。
よく名大落ちで名工選択、なんて話を聞くかもしれませんが、実際には名工に志望校を変えたところ、リスニングウェイトは逆に厳しくなった…なんてこともあるのです。
理系なのに何でそんなに英語の比重が大きいのか?と疑問に思うかもしれませんが、大学で学ぶ内容は最低限の英語力が求められますし、実際に名大の院生なんかは、自分の研究した内容を全て英語で質疑応答しなければならないらしく、どちらかといえば『大学に入るため』というよりは、『大学に入ってから』のことを想定して英語を重視していると思われます。
話を元に戻しまして。
ここまで冗長に書いておいて今更なのですが、結論です!
『リスニングはとにかく難しい!』
『リスニングはとにかく時間もかかる!』
『リスニングはニーズに合わせて(受験なのか?英検3級なのか?準1級なのか?TEAPなのか?など)対策を取る必要がある!』
『リスニングの重要度は大学によって大きく変わる!』
ということです。
しかしながら最後の最後に念を押させていただくならば、個人的には『リスニングは頑張ってほしい』と思っています。
『受験に必要ないから頑張らない』というのは、学習の姿勢としてはあまりいいものではありません。
大学に進んでから、または社会に出てからは、(これは本当に必要なのだろうか…??)と思うことに何度も遭遇すると思いますが、そういうものに頑張れるか否かで、みなさんの将来が分岐していくことになります。
というわけで、これから授業に入りますので、ちょっとまとまりがない終わり方になりますが、本日はこの辺で!
PS.よく『いつからスタートすれば間に合うでしょうか?』というご質問をいただきますが、これはもう『早いに越したことはないです。』としかお答えできません。
もちろん志望校にもよるのですが、少なくとも難関大がターゲットになるのであれば、高校1年生から、中堅どころの大学でも高校2年生の夏がリミットだと考えています。
それでも結局のところ、中学生から始めようが高校1年生から始めようが…、それこそ高校3年生の冬から始めようが、『学習しなければならない総量は変わらない』のです。
高校3年生からスタートしたから学習量が少なくなるというわけではありません。
むしろラストの1年未満で、6年分を勉強しなければならないのですから、当然早くスタートしていた受験生から比べたら圧倒的に不利です。
どう考えても早くスタートした方がいいに決まっています。
そういったわけで、『いつから始めた方がいいのか?』という質問に対しては、『今日からです。』とお応えすることになります。