ただ単に、現実を知らないだけ

山口の乱筆乱文を長くお読みいただいているみなさんはご存知がもしれませんが、私大の野球好きです。

どれくらい好きかと言えば、このようなご時世ではなかった3年前までは、毎年毎年甲子園球場に足を運ぶほどの熱狂ぶりです。

そんな山口の最も印象に残っている試合の一つが、2005年の夏の甲子園、8月9日の第2試合『清峰高校(長崎)VS愛工大名電高校(愛知)』の試合です。

愛工大名電はそのほんの4か月ほど前に、春の選抜で優勝しており、大方の予想は圧倒的に愛工大名電の勝利、かくいう山口も(まぁ勝てはしなくても、何とか5-0くらいで終われば…。というより、清峰高校なんてあったっけ??)と思いつつ球場に向かっていました。

後に分かったのですが、清峰高校は前身が北松農業高校という公立高校で、過疎化が進む地域の町おこしのため、名前を変えたとのことでした。

まあ無責任な高校野球ファンからすれば、長崎出身だけど今は愛知に住んでるし、どっちが勝ってもいいや、くらいのノリだったことを今でも覚えております。

結果は何と、延長戦の激闘の末に清峰高校の勝利、その後もその前の年に準優勝していた済美高校もくだすなどして、初出場ながらベスト16まで勝ち進んだのでした。

では、そんな無名な公立高校が、なぜ強豪私立を相手に互角以上の戦いをできたのでしょうか??

【5年前は野球部員9名未満、甲子園どころか試合ができない状態だった】

野球大好きの山口がここで本気を出してしまうと、おそらくは2万字を超える超大作ができ上ってしまいますので箇条書きで。

①まずは練習する場所がなかったのでグラウンド整備からスタート

②移動のバスもなかったので、地元のバス会社から無料でもらったバスで移動

③全員甲子園に出ることがどれくらい大変か知らなかったので、甲子園の常連校鳴門工業高校の練習に参加

まあ他にもたくさんあるのですが、今日取り上げたいのは③です。

当時の監督、吉田監督はもちろん甲子園を目指すための練習を始めるわけですが(当時はみなに笑われたのだそうです)、とにかく誰もやる気になってくれない。

ものすごいメニューを提案しても、とにかくやる気に温度差があり過ぎて、誰もやる気にならなかったのだそうです。

そこで意を決して、③を行動に起こしたのです。

清峰高校の球児の目の色が変わったのはこの時だそうで、とにかく練習がハードすぎて、みんな泣きながら、吐きながら練習を続けたのだそうです。

そこで、『甲子園に出るということは、こんなに大変なのか』ということを知ったとのこと。

とはいえ。

とはいえです、実際に甲子園に出場するまで5年かかったのです。

当時の新聞やニュースはこぞって、『田舎の無名の公立高校が、たったの5年で快挙を成し遂げる!』みたいにもてはやしましたが、実際には5年もの歳月が必要だったということです。

山口は地元でしたので、清峰高校がどんな場所にあるかは存じ上げておりましたが、まあ何にもないですよ。

ちなみにグラウンドは、他の体育会系部活と共用だったらしく、練習はほとんど内野限定、公立なので時間も限られた時間しか練習できなかったそうで、とにかく短い時間で、それでも倒れて動けなくなるほどの練習を重ねたとのことでした。

なお余談ですが、清峰高校はその後2008年、春の選抜で長崎県初の全国優勝を成し遂げます。

【まったく同じことが勉強にもあてはまる】

さて、同じことが勉強にもあてはまります。

例えばろくすっぽ練習もしてない野球部員が、『おれ、本気で甲子園目指してるんだよね。』なんて言ってきたらどう思います?

そしてその子は自分の高校が野球強豪校ではないこと、監督さんの練習が適切ではないことをぐちぐちぐちぐち文句を言っているのです。

何を寝ぼけたことを…と思うでしょう。

きっとみなさんは、現実も知らない野球部員が口で大きいことを言っているだけで、決して本気ではないのだろうなと思うでしょう。

受験だって同じです。

正しいやり方で、正しく練習を積み上げれば、誰にでもできたはずのことが、何も分からないままに貴重な高校時代を過ごして、何の力もつけられないままに受験本番を迎えなければならない受験生がたくさんいるのです。

ろくに勉強もせずに、偏差値が55を下回ってしまっているのに、『○○大学に行きたい!』『△△大学には行きたくないんです…。』なんてのは、大して練習もせず(というより、正確には練習の質と量の大切さも知らずに)、『甲子園に行きたいんです!』と言っている野球部員と同じで、寝言は寝て言いなさいと言いたいところですが、実際には寝言以下です。

だから現実を知ってほしいのです。

もしもみなさんが怠惰な高校生活を送っているという自覚があって、それでも少しでもいい大学に行きたいと思っているのであれば、これはもう鳴門工業の練習を知らなければならないのです。

愛知県で、無名の公立高校が甲子園に出場する可能性は、極めて低いことは誰にでも分かります。

ゼロではありませんが、限りなくゼロに近い確率でしょう。

でももしかしたら、良い指導者が現れて、野球部員がその監督を信じ、愚直なままに努力を積み重ねたならば、それは夢でも何でもなく、現実的な話になると思います。

誰も田舎の県立高校清峰高校が、たったの数年で甲子園に出場し、優勝するなんてことは夢にも思わなかったでしょう。

でも重ねて申し上げますが、それにしたって数年はかかっているのです。

みなさんの勉強も同じで、たったの数か月でみなさんの偏差値が爆発的に上がって、あっという間に第一志望合格!なんてことは起きません。

当塾で偏差値が70を超えている塾生、卒塾生は、一部の例外を除けばみな数年以上の時間をかけて、そこに達したのです。

高校1年生、2年生のみなさん、もしかしたらみなさんはすでに崖っぷちに立っているのかもしれません。

君が気づいていないだけで。

少なくとも、夏に受けた模試の偏差値が55を下回っているならば、君の学力は平均を下回っているということになりますし、それは単純に学習量が足りないか?または学習法がまちがっているかのどちらかということになります。

そのまま受験生になれば、まず難関大合格の道は閉ざされるものと考えておいてください。

君がやっていることは、正しい練習法も知らず、また練習もやらずに『おれ、甲子園目指しているんだよね!』と大声で叫んでいる高校球児と同じです。

そんな文字通り、『夢物語』が叶うことはありえません。