こんなに間違っている中学英語や高等英語
これは何も重箱の隅を突っつきまわして、末節枝葉の文法の穴を指摘するようなものではありません。
そういう些末な話ではなく、『決定的に間違っている』というお話です。
【後ろから訳す日本の英語教育の弊害】
例えば次のような英文があったとしたら、中高生のみなさんはどう訳すでしょうか?
(もしよろしければ保護者様も挑戦してみてください)
I was browsing on my smartphone, when my mother entered my room!
browse on A 『Aを何となく触る、いじる』
enter A 『Aに入る』※他動詞なので前置詞不要!
おそらくは100人いたら99人は、
①『母が私の部屋に入ってきたとき、私はスマホを触っていた。』
と訳すでしょうが、これはまったくもって大間違いです。
この英文をネイティブが見たら、
②『スマホを触っていたら、(普段入るなって言ってんのに)母さんが部屋に入って来たんだよ!』
と思うはずです、それ以外にあり得ない。
え!①も②も同じやん!と思うかもしれませんが、『断じて違います』
①の訳で重きが置かれているのは、『私がスマホを触っていたこと』。
一方、②の訳は『母さんが部屋に入ってきたんだよ!』の方に重きが置かれています。
しかし中学校や高校の授業、果てはあらゆる英文法の参考書で、『when SV~の時、~である』と教わります。
これが全くの間違いであることは、次の文章で明らかになります。
Morrison was waiting for someone who was hung up in the air traffic jam over Kennedy International when he saw a familiar face at the end of the bar and walked down.
“Jimmy? Jimmy McCann?”
この英文を『when SV~』から先に訳すと、次のようなとんでもない訳が生まれてしまいます。
×『モリスンはバーの外れに見覚えのある顔を見つけて歩み寄った時、ケネディ国際空港の上空で、空の渋滞に引っかかってしまった知り合いを待っていた。”ジミー?ジミーマッキャンじゃないか?』
もうすでに日本語として大きく破綻しておりますが、何よりもこの訳で重きが置かれているのは、
『渋滞に引っかかってしまった知り合いを待っていた』
さらにここに”ジミー?ジミーマッキャンじゃないか?”とはつながらないですよね。
この英文は『when SVから訳す』などという誤った文法で対応してはいけません。
きちんとそのまま、左から右に向かって訳すだけです。
Morrison was waiting for someone who was hung up in the air traffic jam over Kennedy International when he saw a familiar face at the end of the bar and walked down.
“Jimmy? Jimmy McCann?”
『ケネディ国際空港の上空で、空の交通渋滞にひっかかってしまった知り合いを待っていたとき、モリスンはバーの外れに見覚えのある顔を見つけて歩み寄った。”ジミー?ジミーマッキャンじゃないのか?』
これは翻訳だからとかどうとかそういう問題ではなく、ただただ『日本の受験英語が決定的に間違っているのです。』
私たちは中学校や高校の授業で、なぜだか徹底して『後ろから訳す』を叩きこまれます。
これの恐ろしい所は、『オールマークで難易度が非常に低い、公立高校入試程度なら何とかなってしまう』という点です。
このやり方で何とかなってしまった(不幸にも高得点を取ってしまった)新高校生は、本当の英語の学び方を受け入れることはできません。
(いや、でも僕はこのやり方で、公立高校入試で満点取れたんだ)
そう思ってしまっても仕方ありません。
しかし誤った学習法で高得点を取れても、百害あって一利なしです。
もう一度念を押しますが、
I was browsing my smartphone, when my mother entered my room!
は、きちんとそのまま左から右に訳すんです。
『スマホを触っていたら、母さんが部屋に入ってきた!』
この訳以外ありえません。
【世の中はこういった間違いで溢れています】
もちろん、『じゃあ山口は英語も日本語も完璧なのか!?』と問われると、まったくそんなことはありません。
山口の人生もいよいよ終盤。
これからどれほどの時間と労力を注ぎ込んでも、英語はもちろん日本語すら完璧になることはないでしょう。
しかし、たかだか大学受験程度ならば、私たち指導者は完璧を目指さなければなりません。
そもそも私たち指導者は楽なもので、『英語なら英語、数学なら数学だけを勉強』していればいいんです。
はっきり言って、5教科一生懸命勉強している中学生よりも、負担ははるかに軽いはずなんです。
だったら自分の専門とする分野には、日々全力を注いで極めようという努力をしなければならない。
2ヵ月ほど前でしょうか?とある塾生から『高校の先生がbusyは動詞って言ってました』と聞かされて愕然としました。
busyは形容詞ですね。
一応私はbusyを動詞使いしている英文をチラホラ見かけたことはありますが、この塾生から聞いた感じからして、そういう意味ではないことは一目瞭然でした。
中高生のみなさん、そして保護者様。
世の中にはそういう中学校教師や高校教師がいるんです。
しかしながら社会経験を積んでいない中高生、そして直接授業を受けることができない保護者様には、それを知る術はありません。
そういう教師たちに中学校で3年、高校で2年以上授業を受け続けてしまったら・・・果たして大学受験に必要な知識や学力を身につけることができるのでしょうか?
そしてそれは『知りませんでした』では済まされません。
かわいそうに、間違ったものを数年単位で叩きこまれた高校生は、たったの1年や2年でそれを修正し、新しいものを学び直すほどの精神的余裕も、時間的余裕もありません。
当塾の塾生たちが英語に強いのは、『早い段階から当塾に通っていただき、最初から正しい英語を学んでもらっているから』です。
もちろんそれは英語だけではなく、その他の教科についても同じことが言えますが。
いずれにしても、私は毎年毎年多くの中高生に会う機会をいただき、こう思うのです。
(もっと早く来てくれていれば・・・この子は山口などよりもはるかに才能があったのに。)
中高生のみなさんはほとんど例外なく、英語ひとつをとっても山口などよりもはるかに才気溢れています。
山口のような凡人が唯一みなさんに勝っているとすれば、それは積み上げた時間と経験だけです。
私にできるのは、『20年30年積み上げてきたものを、たったの数年に圧縮して伝えること』、ただそれだけです。
しかし私は、そこらの中学校や高校の教師には絶対に負けない学習意欲を持っています。
私たちの指導が中学校や高校の教師と同じ質ならば、安くはないお月謝を頂戴してお子様を預かることは許されないからです。
今回紹介した『接続詞whenの訳』は飽くまでも一例です。
私は多くの塾生から学校で受けている授業の内容を教えてもらっていますが、こと英語に関して言えば、教師の怠慢、教師の勉強不足を感じる瞬間が多々あるということを付しておきます。