勉強ができることの幸せ
【どれくらい勉強すればいいのか?】
定期的にこの質問をいただくのですが、結論から言えば『そんなものは分からない。』としか言えません。
枕詞のように、『中学1、2年生は平日2時間休日はその倍、中学3年生は平日3~4時間、休日は同じくその倍』『高校1、2年生は平日2~3時間、休日4~6時間、3年生は平日4時間、休日は文系10時間、理系は12時間』なんて言ってはいますが、それはもう一般論の話であって、必ずしも君に当てはまるかどうかはわかりません。
まず、中受も体験して、中高一貫私立に通いながら、最も効率よく、地道に勉強を積み上げてきた高校3年生の1時間と、なんとなく公立高校に進んで、なんとなく『文武両道!』と思いつつ、肝心の勉強をおろそかにしてきた高校3年生の1時間が等価値のわけがありません。
その同じたった1時間でも大変な差がついています。
ましてや高校3年生に残された日数は「たったの151日」、高校2年生にしても『516日』しか残されていないのです。
『どれくらい勉強すればよいのか?』などと寝ぼけた疑問を持っている余裕はありません。
君の今の模試の判定が『C判定未満』『第一志望との偏差値が5以上離れている』のであれば相当危険ゾーンですので、これはもうなりふり構わず勉強してください。
睡眠は大切なのでしっかりと『7時間』は確保してほしいのですが…、それでも極端な話、『E判定しか出ていない』『第一志望との偏差値が10以上離れている』のであれば、そんな悠長なことは言っていられません。
厳しいことを言わせていただくならば、勉強をサボってきた受験生や、普段スマホばかり触っている中高生に限って、『睡眠時間が…睡眠時間が…』と悩んでいるのですが、それはもう自分が蒔いた種なので、自分で何とかするしかありません。
ちなみにですが、山口が尊敬している吉野敬介(東進ハイスクール・古文担当)先生は、本当か嘘かは分かりませんが、受験までの4か月間の間、『一日平均20時間勉強』していたのだそうです。
ただ吉野先生の場合、二十歳まで暴走族でまったく勉強していなかったため、それくらいやっても実は足りないくらいだったと思います。
一部吉野先生のご著書から抜粋させていただきます。
『平均して、一日20時間勉強をした。一日20時間勉強をすると決めたわけではない。やることをやっていると、結果的に寝る時間がなくなる。そんな感じだ。
寝る前に起きてから一日でやる分量を決める。日本史なら適当にここまでと決めて、教科書の隅を折る。問題集も同じ。古文の単語は、100個ずつ覚える。こんな適当なやり方で、その日の計画を立てて、それが終わるまでやる。”終わらなければ絶対に寝ない”。この繰り返しで、おれは4か月勉強した。結果的に眠る時間がなくなるのは当たり前だ。人が3時間でこなせる分量を、はじめのころのオレは、15時間も20時間もかかったのだからしかたがない。
眠い。これは当たり前。身体がおかしくなる。そんなの知ったことじゃない。とにかくオレはやるしかなかった。そうしなければ受からないからだ。気が付いたら二晩徹夜したことも何度もある。70時間ぶっ続けで勉強したことになる。
眠い時はユンケルを飲む。それでも眠いときは、インスタントコーヒーをカップにたっぷりぶち込んで、そこにユンケルを混ぜてかき回し、一気に飲む。それでもダメなときは、手の甲に針を刺して、睡魔と戦った。オレにとって最大の敵は睡魔だった。』
え~と…これを真似しなさいと言っているわけではないですよ!
むしろ逆です!
こうならないように、中学生の頃から危機感を持って学習してほしいと願っております。
それでも残念ながらそれに気が付くこともなく、高校生になってしまい、貴重な1年間、2年間を無為に過ごしてしまったのであれば、それはもうそれを取り返すためにとんでもない努力が必要となるのは当然のことです。
(※ただし、吉野先生の発言や経歴には眉唾なところも多いので、信じるか信じないかはみなさん次第です。ただそれはさておき、吉野先生が書かれた古文の参考書はものすごく分かりやすいのは事実です。文系の受験生にはお勧めですよ!)
【勉強は最高の贅沢】
ただ、それでもそこまで頑張れないのであれば、それはもうご自由にとしか言いようがありません。
やる気なんてものは外からの働きかけで醸成されることは絶対にあり得ませんので。
まあ何かのきっかけくらいになることはあるでしょうが、『絶対に○○大学に行きたいんだ!』という気持ちと行動は、本人の内からしか作られませんので。
また、『勉強ができる環境が与えられている』というのは最高の贅沢です。
つまり、よほどの事情がない限り、日本国内の中高生はほとんどが幸せなのです。
今朝方教室に来る前、テレビでこんなニュースを見ました。
『タリバンが首都カブールを制圧』
あの9.11をきっかけに、泥沼化しているアフガニスタンの内戦問題ですが、これについて言及するととんでもない長さになってしまいますし、何よりも政治的思想についてこういった場で発言するのは不適切なので、ここでは割愛させていただきます。
ここで重要なのは、みなさんはとんでもなく恵まれた環境にいるということを知ってほしいのです。
こちらは混乱するアフガニスタンの様子。
こちらは亡命しようとアメリカの飛行機にしがみつく難民の様子。
なおこの後飛行機は離陸し、7名がお亡くなりになったのだそうです。
使い古された陳腐な表現ではありますが、『勉強したくてもできない人が世界中にいる』のです。
それでもみなさんの今置かれている状況を、『自分はこんなに勉強しなければいけないなんて…、なんて不幸なんだ。』と思うのであればしなくてもいいと思うんです。
ただ、その今頑張らなかった結果が、2年後3年後・・・、あるいは10年後20年後、もっと言えば残りの人生に大きな影響が出るというだけの話ですので。
もう一度申し上げますが、『勉強を頑張ることができる』みなさんは、とっても幸せなのです。
ご家族がいて好きなように部活動もできて、おそらくはほとんど全員スマホも買い与えられていて、毎日の衣食住に何の不安もなくて…、たかだか勉強くらい頑張らんかい!
そういえば山口の卒論、『ODAとNGOが第三諸国に与える経済的影響と20年後の世界』だったな~…。
気が向いたらもう一度勉強してみようかと思っています。
本日も最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございました。