大学受験レベルの英作文をマスターするために

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教室長ブログ

先日、とある高校1年生から進研模試の英作文について質問を頂戴しました。


素晴らしいですね!


で、先にお伝えしておきますが今回のブログ、多分めちゃくちゃ長くなります。



最後の最後に『大学受験レベルの英作文をマスターするために何をすればよいのか?』、についてお話させていただきますので、途中読むのがしんどい方は一気に下までスクロールしていただいても大丈夫です。



そしてこれも念を押しておきますが、私一応英検1級を持ってはいますが、ネイティブスピーカーと比べたらまだまだ全然未熟者です。


今現在も勉強中でして、おそらく30年後も語学が完璧になっていることはあり得ないと思っています。



そんなまだまだ学習の途上にある山口ではありますが、『1~2年あれば山口程度の英作文をかけるようにはなる必勝法』だと思っていただければ幸いです(もちろん、楽にとは言えませんが・・・)




【進研模試の問題と模範解答】



ほーん・・・、まあただ、この模範解答通りに書いてもまったく面白くないので、あえてこの解答は一切見ずに書いてみようかと思います。


英作文なんて一つの日本語から10個くらいの英文が書けてしまいますからね。


それにしてもチラッとみえたけど、”was able to enjoy”か・・・。


自分なら使わないかな?(理由はまた後ほど)






【山口の解答】

『日本では、四季折々に美しい自然を楽しむことができていた。』

①★

『かつて日本では、季節が移り替わるにつれて自然の美しさを楽しむことができた。』

In Japan, we used to enjoy the beauty of nature as the seasons change.


②次は思い切って『日本の美しい自然』を主語にしてみる。★★

『日本では、四季を通した自然の美しさが私たちに喜びをもたらしてくれていた。』

In Japan, the beautiful nature throughout four seasons used to bring joy to us.


③今度はさらに思い切って、日本語そのものを大胆に変えてみる。★★★

『日本には四季を通して美しい自然があり、それが私たちに計り知れない楽しみを与えてくれていた。』

Japan has the beautiful nature throughout four seasons, which used to provide immeasurable joy.


④ここまでいくと減点されるかも・・・。★★★★

『今となっては昔のことだが、四季を通して美しい自然を持っていることが、私たちに楽しみの余地を与えてくれていた。』

Back in the day, having the beautiful nature in all four seasons allowed us the joy of scope.






次は自由英作文Bの試訳解答になります。



(山口試訳①)★★

The number of people interested in parasports has been increasing for three years, though actually those trying them remain stable. Holding events concerning parasports enables many people to get to know what parasports is all about.  (35words)

『パラスポーツに興味を持っている人はここ3年間で増え続けている。とはいえ、実際にそれをやる人については横ばい状態なのだが。パラスポーツに関連するイベントを開くことで、パラスポーツというものの本質を多くの人に知ってもらうことができる。』

(山口試訳②)★★★

It is true that parasports have attracted many people for three years but few people try them. Sharing information as to parasports with SNS such as Instagram, X helps many people to understand its essence.

(35words)

『確かにパラスポーツという競技は、この3年間で多くの人々を惹きつけてきたのだが、実際に挑戦している人となると少ない。SNS、例えばインスタグラムやXなどを使ってパラスポーツに関する情報を共有することで、多くの人々がその本質を理解するのに役立つ。』



(山口試訳③)★★★★

These days, a hint of the fact that more and more people have taken an interest in parasports , but in fact these sports can’t encourage them to take action comes in two graphs. The government should incorporate parasports into classes in school , which will lead to inform more children of what they are.

 (53words)

『2つのグラフから以前とは違い近年、より多くの人たちがパラスポーツに興味を持っていることが伺い知ることができる。政府はパラスポーツを学校の授業に取り入れるべきであり、そうすることで今以上にパラスポーツがどういうものなのかを知ってもらうことにつながる。』




(山口試訳④)★★★★★

It is not because the number of people who are interested in parasports has been increasing for three years that that number of people who are playing them has been commensurately rising. Introducing parasports into such a medium as websites, SNS, TV commercial, newspapers, brings them into notice. (48words)

『ここ3年間でパラスポーツに興味を持っている人が増え続けているからといって、実際に競技している人の数がそれに比例して増え続けているというわけではない。パラスポーツをメディア媒体、例えばウェブサイト、SNS、テレビコマーシャル、新聞などに導入することで、脚光を浴びる一助となる。』


※なお、”that”が重複しておりますが、これはタイプミスではありませんので悪しからず。


③と④はそもそも字数をオーバーしていますし、こんな堅苦しい英語を使う必要はないと思います。

一応こんな書き方もありかも?ということで・・・。




同じようなテーマでも書こうと思えば色んな書き方ができますね。







【模範解答で書かれていた be able to enjoy は果たして自然なのか?】


もちろん文法的には間違いではありません。


しかしながら『オックスフォード英英辞典』には次のように記載されています。


『”was able to enjoy”とは、過去における特定の成功体験に基づいて、楽しい機会を得ることができたことを意味している』

とあります。


またこのような説明もあります。




『was able to do Aは(過去の特定の機会に実際に)Aすることができたことを言う』(英作文基本300選より抜粋)とあります。


そういったわけで、今回の模試の日本語のように『自然の美しさを楽しむことができていた。』にbe able to doが使えるのかというと、ちょっと微妙かな?と思います。



なおこれについてはネイティブに確認したことがありますが、『別に文法的には間違ってないから✖にはならないよ。かなり変だと思うけど。』という答えが返って来ました。




そもそも、『楽しむことが”できる”』というのは私たち日本人の感覚ですよね。


でも次のようなのはナチュラルだと思います。



“I will be absolutely able to enjoy foreign movies without subscripts!”

『洋画を字幕なしでも楽しめるように、絶対になるぞ!』

でもこれですら、『努力を積み上げて、字幕なしでも洋画を観ることができるようになる』という風に能力の部分にフォーカスが当たっているのは明らかですね。









【大学受験レベルの英作文をマスターするために】


(1)短い文章でよいので、たくさんの英文を覚える

(2)その上で、文法的に分からないところや『なぜそうなるのか?』という疑問が湧いたら、必ず質問して解消すること


(3)日ごろから自分の意志で日本語で書かれた本をたくさん読み、日本語そのものの表現の幅を増やす努力をし続けること。




まず前提として、膨大な時間が必要になります。


最低でも1年、できれば3~4年はほしいというのが本音です。



結構勘違いをしている中高生が多いのですが、『日本語を読んで、自分の力で英文を創り出そう』としています。



無理です。


例えばですが、『腹をくくる』という日本語があったとします。


もちろんこれは比喩表現なので、✖『hold my stomach』などとは書きません。


普通に”be ready to do ” “decide to do “という表現を覚えてしまった方が早いです。


さらにもう一例。


先ほどのbe able to enjoyに近いものですが、次の英文は合っているでしょうか?


①Did you enjoy the book?
『本は見つかったの?』


②He decided to go to Nagoya university.
『彼は名古屋大学へ行く決心をした。』


もちろんどちらとも文法的には合っています。


しかし①はネイティブはまず使わないでしょうし、②は日本語訳とは異なるニュアンスになってしまいます。


①についてですが、『本は見つかったの?』は日本語的には正しいのです。

しかし英語における過去形は、『過去の出来事のみに焦点があたっている』ので、今のことには言及されていません。


当然私たち日本人が、『本は見つかったの?』と相手に聞くとき、もちろん焦点は今にあたっているはず。



『(今の時点で)本は見つかったの?』が正しいですよね。


だから英語では過去から今にかけて焦点をあてた現在完了形で言うのが普通です。



①⇒Have you found the book?




②についても似たような感じなのですが、He decided to go to Nagoya university.のように単純過去で表現すると、(じゃあ今は違うんだ。今は名古屋大学以外の大学を目指しているんだね。)と思われてしまいます。


ただの過去形のままだと相手は、(・・・じゃあ今は違うの?)と思わせてしまうんですね。




『英文を丸暗記』とは言いましたが、もちろん何も考えずに丸暗記するのではなく、常に(なぜこうなるんだろう?)という疑問を持ちながら取り組んでほしいです。



言うまでもなく、単語や熟語などは常に覚え続けること。



例えば『go by』という慣用表現をご存知でしょうか?


もしかしたら”Time goes by.”『時が過ぎる。』という自動詞を知っている中高生はいるかもしれません。


ですが”You shouldn’t go by the way people look!”となるとどうでしょうか?


もちろん『あなたは人の見かけで過ぎるべきじゃない!』では意味が通じないですよね?


実はgo by は目的語を取った場合は『Aで判断する』という意味になります。


ですので、『人を見かけで判断しちゃいけないよ!』となります。





当り前の話ですが、英語は異言語ですので、マスターしようとするのであれば信じられないほどの膨大な時間がかかります。



冒頭申し上げました通り、山口自身も学びの途中です。



ですが心配はいりません。


みなさんの場合は『大学受験に足るだけの学習をすればよい』のです。



とはいえもちろんそれは楽な道のりではありません。



最低でも『中学校で1000時間、高校で2000時間ほどの学習』が必要になります。



言うまでもなく、できるだけ早く取り掛かった方がいいです。



仮に学習が不十分なまま、例えば残り2000時間ほどの学習が必要な状態で高校3年生を迎えてしまうと、『英語だけで一日約5.5時間ほどの学習(2,000÷365)』が必要になります。



はっきり言ってしまうと『無理』です。



英語にニガテ意識があるならばなおさらです。



どういうわけだか日本の大学受験では、英語が超重視されています。



文系理系問わず英語は必須教科、なんと大学受験で英語が必要ない大学の学部学科は11学科(私立大学)しかありません。



英語という教科が第一志望合格に及ぼす影響はあまりにも大きすぎるのです。



そして英語は誰にでもマスターできる教科ではありますが、例外なく膨大な時間が必要になる教科でもあります。



1年やそこら一生懸命取り組んだくらいでは焼け石に水です。




まだまだ自分も成長の途上ですし分からないこともたくさんありますが、ぜひぜひ一緒に頑張りましょう!




【最後におまけ】


これも多くの中高生が誤解しているのですが、『willはだろう、という意味ではありません。』


これについては辞書にも堂々と『~だろう』と書いてありますので致し方ないとは思います。



ところが『ロイヤル英文法』を執筆したマーク・ピーターセン先生によると、どうやらwillには『だろう』という意味はないのだそうです。




つまりwill が『だろう』という意味になるには、副詞などの力を借りる必要があるんですね。



だからと言って、『辞書も間違っている』ということを強調したいわけではありません。


日本語もそうであるように、英語もどんどん変化したり、文法や本来の意味から外れることはあるんです。



そんなことを言い出したらキリがないのですが、私たちは限られた時間の中で、可能な限り柔軟に英語に取り組んでいく覚悟が求められていると感じております。





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