宝物
これは自分がこの仕事を辞める瞬間まで、ずっと持っているだろうなという宝物があります。
それは卒塾生達の合格通知書や合格体験記、現塾生の成績表などなど・・・。
その中でも、ちょっと他とは違うものが1点あります。
それがこちら。
とある卒塾生の『補欠通知書』です。
こちらの卒塾生、当塾の開校当初から当塾を選んでくれた高校生の男の子です。
都築先生ともう1人の社会人講師の三人四脚体制で頑張って、最終的には早稲田大学に合格しました。
何というか・・・これはもちろん現塾生・卒塾生全員に言えるのですが、大手学習塾がひしめく西尾市内で、当塾を選ぶというのはかなり勇気がいると思うのです。
特に開校当初、当塾は塾生が4人しかいなかったので、毎日教室がガラガラでして・・・。
なんというか、その当時のことは殊更感慨深いといいますか、特別な思いがあったりします。
今でもはっきりと覚えていますが、そんな彼の合格通知を聞いたのは、とある外語学院のお手伝いをしていたお昼過ぎに、お父さんからかかってきた電話でした。
出先だったにも関わらず、思わず大きな声が出てしまいました。
その彼は、元々成績もかなりよかったのですが、公立高校であったため早慶上智用のカリキュラムを組んで学習していく必要があり、当塾を選んでいただいたのでした。
地頭もよく、地道な努力もできる生徒で、早慶上智などは厳しい判定が出ていたものの、カリキュラムは早慶にフォーカスしていたので、計画通りに進められていました。
そんな彼でも・・・早稲田大学に合格する力があっても、上智大学から届いた通知は『補欠通知書』だったのです。
自分は今でも彼の早稲田大学の合格通知書と、この上智大学の『補欠通知書』をセットにして、デスクの引き出しに入れています。
そして時々これを見て、気を引き締め直すのです。
山口が普段、『1日10時間勉強!』だの、『限界まで頑張ろう!』だの口酸っぱく言っているのは、これが理由なのです。
どんなに準備万端でも・・・どんなに優秀でも・・・どんなに血のにじむような努力を積み重ねても、たったの『1点』が足りないだけで、容赦なく不合格になるのです。
日本の受験制度では、残念ながら君の『僕はこんなに中学・高校生活頑張ったんです!』は残念ながらまったく見てくれません。
AO入試や指定校推薦、甲子園に出たチームのレギュラーとかは別でしょうが、そうじゃない限り、合格最低点よりも『1点多く』取る必要があるのです。
幸いにも彼は最終的に早稲田大学に合格しましたし、帰省して教室に挨拶に来てくれた時もとっても充実して楽しんでいる様子でした。
でもですね・・・これは彼がどんなに辛い時でも、諦めずに努力を続けたからなのです。
そしてみなさんにも肝に銘じてほしいのです。
本当にたったの1点が足りなくて不合格になることはあるのです。
これは山口が現役時代、関西学院という大学を受験した時のことです。
前日の夜にホテルで読んだ参考書に出ていた『市井(※ちなみにもちろん『いちい』じゃないですよ!)』と『煩瑣』という漢字が、丸ごと出題されたのでした。
これは直前の直前まで勉強したからこそ起こった奇跡だと思ってます。
(今さらジタバタしたって変わんないでしょ・・・)なんて決めつけて早々に寝ていたら、ここで2点落としてしまっていたでしょう。
しつこいですが、受験では本当に1点が明暗を分けるのです。
考えても見てください。
センター試験の満点が900点。
最低点は分かりませんが、確率で考えてもおそらく200点くらいは取れるものとします。
この差は700点ですが、実際のところ満点を取る生徒も最低点を取る生徒も数としては全然少ないわけですから、もう少しこの差は狭いはずです。
まあ甘めに見て、分母を700点だとしましょう。
平成30年度のセンター試験受験者数が『582,671人』ですので、これを先ほどの『700点』で割ると・・・。
約832人。
なんとたったの1点で、『832人』も順位が変わるのです。
実際のところ、平均点辺りに一番受験者数がひしめき合っていますので、550点前後くらいでは『1点で数千人』順位が変動するはずです。
どうでしょうか?
たったの1点がこんなに重いのです。
その1点は、もしかしたらあの時遊ぶのを我慢していたら・・・、あの時スマートフォンを我慢していたら・・・、あの時少しでも頑張っていたら取れた1点なのかもしれません。
受験に誘惑はつきものですが、その誘惑に勝って、明日からではなく『今日から』頑張った者だけが、この貴重な1点を勝ち取れるのです。
そして受験生諸君にとって、今この瞬間が一番大切なその時なのです。
どうか自分に厳しく、『たったの1点』にこだわって勉強してくださいね!
あ・・・先ほどの漢字ですが、『市井(しせい)』『煩瑣(はんさ)』と読みます。
知ってましたよね!?
本日も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。