これは非常にまずい事態です
・・・これは非常にまずいですね。
先日からご報告させていただいていましたが、今私は英語教育関係の学校に通っております。
TOEICや英検、日本ではちょっと珍しいTOEFL(日本ではなぜかTOEICがもてはやされていますが、世界基準ではTOEFLらしいです。私も最近知ったのですが・・・)などの対策、初等英語教育のカリキュラム作成や実習などが主な学習内容なのですが、たまに座学もやります。
少し前に『英語が小学校で教科化される』というお話をさせていただきましたが、これは非常にまずいです。
もちろん、英語教育の抜本的な見直し(受験英語から使える英語の習得を目指す)については大賛成なのですが、問題は『誰がやるの??』ということです。
前回のブログでは『高校教師を全員英検準一級にする』というまったく現実味のない話をいたしましたが、今回取り上げるのは小学校の教師です。果たして先生方にはどんな課題が課せられるのでしょうか??
その前にまず、こちらの資料をご覧ください。
こちらは現在の小学校の先生方の残業の実態です。
一応しっかりとした根拠があった方がいいと思い、文部科学省が発表したものを持ってきましたが、実態はこれよりひどいと思ってよいでしょう。
前職では教師を辞めて転職してきた塾長なども見ましたが、テスト期間中などは『Excelなどでの資料作りで深夜2時まで残業』、なんてこともあったらしいです。
また、部活動などの遠征で(これは高校教師ですが)100日連続で出勤、なんてこともあったようです。
これを踏まえてです。
新たに小学校の先生方にはこれが課せられます。
これは愛知県が公表している『クラスルームイングリッシュ』という英語表現集です。
ちょっと見づらいですが、下の画像のページ数を見ると『P19』とあります。これが20ページに及ぶのですが・・・。
これから小学校の先生方は、
・最低限このレベルのクラスルームイングリッシュを全て覚えること
・生徒が不安にならないよう、応用表現も覚え常に笑顔で対応すること
・英語の授業は全て英語で行うこと
・小学校低学年は、歌やチャンツ(リズム学習)を取り入れ、高学年からは文型を交えた文法学習に切り替えること
・・・が義務付けられるとのことでした。
これ、誰がやるんでしょうかね・・・。
先生たちだって人間です。ほとんどの先生は子どもたちの夢を叶えるという高い志を持って、日々指導にあたられていると思いますが、限度があります。
先生がもし少しでも不満を感じたならば、教育の水準はどんどん下がってしまうでしょう。
私は個人的に『英検一級取りたい!』『英語ペラペラになりたい!』『生徒にもっとクオリティの高い英語の授業をしたい!』と思っているので何の苦もありませんが、小中学校・高校の先生方は置かれている状況が違います。
さらに言えば、小学校の先生には『特に英語が好きでもない』方もいますし、『むしろ苦手で嫌い』という方もいらっしゃいます。
だから今後は民間の英語の塾の需要がどんどん伸びる、とのことでした。
さて、仮に小中学校の実際の現場で、満足のいく教育が得られなかったとして・・・みなさんは学校の先生を責められるでしょうか?
何度も言いますが、この制度そのものは私は大賛成です。
単に受験で英語が必要だから、というだけでなく、先行きが明るいとはいえない現在の日本の現状を考えると、将来的に活躍の場を広げるために英語をマスターすることは大切なことだと思います。
しかし問題は、『誰がそれをやるのか?』です。
大切なお子さんの未来のことですので、気付いたら打つ手がなかった、ということにならないようにしたいですね。