(こちらを先にお読みください)現代文の成績や読解力、文章力を上げるために
本日刈高3年生の塾生の現代文の指導があったのですが・・・最初に渡していた課題があまりにもよくできていたので、急遽元々予定していなかった名大の現代文をやることになりました。
いや~初見の問題だったのでちょっと焦りました!
現代文そのものは楽しいので苦にはならないのですが、英語などと違いまったくストックがないため、毎回の指導がゼロからのスタートになってしまうことが玉に瑕ですね。
個人的に思うことですが、現代文の読解力はそのまま英語や数学の優劣につながります。
高校受験くらいまでは読解力などなくても結構暗記で乗り切れてしまいますが、高校で学習する内容についてはやはり暗記だけでは厳しいものがあります。
参考までに東北大学の英文和訳問題をご紹介します。
英文和訳問題は、文字通り英語の文章を正しい日本語で書くという問題なのですが、英文はさておき、模範解答の日本語を以下に記します。
『実際にバイオリン協奏曲の場合には、すべてのバイオリン協奏曲がめざしていて、それを基準とすれば協奏曲Aの方が協奏曲Bよりも目標に近づいていると判断することができるような目標を明確にすることは、実際に無意味だということはないにしても、難しいだろう。』
これ・・・国語の問題ではなく、飽くまでも英文を見てこの解答を作らないといけないのですから、少なくともこれだけの文章を日本語で書くだけの能力が必要となります。
国立大学などは二次試験のウェイトが非常に高く、文理問わず一定の記述力が求められますので、現代文がニガテだという受験生は早期に手を打たないと、国語どころか他教科でも大きな足を引っ張られることになります。
【それでは実際にどうやって読解力を身に付けるのか??】
これについては以前もご紹介させていただいたのですが、「読む」をゴールにするのではなく、「書く」をゴールにしてください。
よく『新聞の社説を毎日30分読むとよい』みたいなことが言われますし、もちろんやらないよりはやった方がいいのですが、何も意識せずに文字を網膜に映していくことはスキャニングであって、リーディングではありません。
例えば以下のような文章があったとします。
【非人称の社会的連帯は、ネットワーキングとしての人称的な連帯とは異なり、一定の精度的な境界をもたざるをえず、その境界は、権利(社会保障を享受する権利)と義務(社会保険料の拠出・納税の義務)をもつ成員資格によって画されざるを得ない。いま、この成員資格の問題を考える上で重要なのは、20世紀後半から、社会的連帯の範囲は、多くの国々において、制度上は国民の範囲をすでに超えているという事実である。難民条約の批准を大きな転機として、ようやく日本においても社会権は国籍を持たない市民によっても享受されるようになった。(早稲田大学政治経済学部より一部抜粋)】
頭の痛いことに、こんな文章が延々と何ページにもわたって続いていくのです。
こういった文章ですが、漫然と何度読んでも、おそらく理解できません。
現代文の問題で『一度読んだだけでは理解できなかったので、何回も読み直してしまった。』という経験をした高校生は多いのではないでしょうか?
でもよく考えてください。
一度読んで理解できなかったものを5回10回読み返して果たして理解できるようになるのでしょうか?
百歩譲って理解できるとしても、入試本番で何度も読み返す時間などないはずです。
何度も読み返す習慣がついてしまっている高校生諸君は、普段も漫然と文章を読んでいるから何となく理解できずに同じことを繰り返してしまうのです。
誤解を恐れずに言わせていただくなら、『読んでいるふりをしているだけで、本気で読もうとはしていない』のです。
ですので、『読んだ文章をまとめる』練習をしてください。
『読む』だけではなく、『読んだものを書こうとする』ことによって、読解の進度は確実に深まります。
ちなみに参考までに、最近授業で取り扱った名古屋大学や広島大学の山口の要旨要約はこちらです。
書き方のルールとして、
・『だと思う』などの曖昧な表現は避けて、断定的な『である調』で書く
・ほとんどの評論は『導入⇒論証⇒結論』で書かれているので、少なくとも3段落に分けて書く
・本文中の言葉は7~8割、自分の言葉は2~3割使用してまとめる。自分の主観は一切入れてはいけない
この辺を意識するとグッと文章が書きやすくなると思います。
もちろん最初はうまくいかずに時間がかかってしまうと思います。
でもそれでいいじゃないですか。
いきなりうまくできたら塾なんて必要ないですもん。
野球経験一週間の同級生が、『おれ、この夏甲子園に行きたいんだ!』なんて言ったら『野球なめんな!』と思うでしょ?
バイエルがやっとBPM100くらいで弾けるようになったお友達が、『今年ショパンコンクールに出たいんだ!』なんて言ったら『何をご冗談を・・・』と思うでしょ??
バレーを始めたばかりの同級生が、『来年の春高バレーに出たいんだ!』なんて言ったら『いや・・・そんなに春高バレー甘くないんだけど・・・。』と思いますよね???
読解力や文章能力もまったく同じです。
そんな一朝一夕に読めるようになりませんし、文章が書けるようにもなりません。
ちなみに山口の場合ですが・・・以前から幣ブログをお読みのみなさんならご存知の通り、中学3年生の頃の文章は、まぁ~そりゃひどかった・・・。
『小学校3年生の間違いじゃないの??』というくらいひどかったです。