『英語の授業が楽しい!』と言っていただけることが何よりも嬉しいですね!

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教室長ブログ

大学受験で最も時間がかかり、おそらくは最も受験生に苦痛を与えるのが英語だと思います。


誤解を恐れずに言わせていただくならば、『苦痛に感じるならば、英語は勉強しなくてもいい』、と思っています。




仮に山口が、『今から物理と数学を、大学受験レベルで勉強しなさい』と言われても、できないですし、そもそもやりたくないですね(苦笑



ただ、みなさんと山口のケースが違うのは、『みなさんには受験が控えていて、少なからず英語は必要になる』ということです。




【シンプルに英語ができるようになると楽しいですよ!】

もちろん英語が読めるようになる、書けるようになる楽しさとは、スマホやゲームなどの一過性の楽しさとは全く異なります。



そしてもちろん、『楽して英語ができるようになりますよ!』ということもお約束できません。



大前提として、

・可能な限り、目にすることになる英単語や熟語は余すところなくすべて覚える

・英文法は80%、90%ではなく、難解な文法用語も含めて100%で理解する


・・・なんて言うと『またいつものやつじゃないか!』と思われるかもしれませんが、異言語を学ぶ上で『英単語を覚えて言葉のルールを覚える』、そんなことは当たり前のことです。



そしてさらに言えば、

『英単語をたくさん覚えても、日常会話では使わない』

『英文法を理解しても、英語が話せるようになるわけじゃない』

という意見もありますが、その通りだと思います。



実際のところ、難解な英単語、難解な英文を理解したところで、みなさんの英語コミュニケーション能力は大して上がりません。



山口はそれなりに英語を聞き、話す自信はありますが、奥さんの方が圧倒的に英語コミュニケーション能力が高いので、海外へ行くと奥様におんぶに抱っこです。



正直飲食店でのやり取りすらおっかなびっくりです(苦笑


(それでもなぜか、山口の方がやたらと外国人から話しかけられるのですが・・・)



話を戻しまして。




そもそも旧七帝大や国立大学、医学部や早慶上智のような難関大は、みなさんに『英語コミュニケーション能力』など露ほども求めておりません。




本当に4技能を要求するなら、『うちを受験するなら、英検1級がTOEIC、IELTSの公開テストスコアを基準点まで上げてください』と言っているはずです。



その方がテスト的にも楽ですしね。



それでもあえてあれだけの難文を用意し、およそ英語とは何の関係もないような『英文和訳』を要求しているのですから、みなさんの『聞く力』『話す力』なんて最初っから要求していないんです。



難関大がみなさんに求めているのは、


・英語で書かれた難解な文を論理的に理解する能力

・理解した内容をきちんと正しい日本語でまとめ、書き上げる能力

・自分の答案を客観的に分析できる能力



それだけです。


例えば当塾で、高校1・2年生に挑戦してもらう次のような英文があります。

【25】 ‘If all mankind minus one, ’cried Mill, ‘were of one opinion, and only one person were of the contrary opinion, mankind would be no more justified in silencing that one person, than he, if he had the power, would be justified in silencing mankind.’ Not that the solitary eccentric is always or probably, often in the right; but if he is in the wrong the upholders of the current opinion lose, if they silence him, what is very valuable, namely the clearer perception and livelier impression of truth produced by its collision with error; while if the solitary thinker is in the right, by silencing him mankind has lost the opportunity of enjoying the inestimable benefit of exchanging error for a nearer approach to truth. Men and woman learn by discussion and argument. If argument is silenced, not only may error flourish unrestrained, but truth itself is held in a feebler and less vital manner. (一橋大学)

・minus A ≒ without A : 『Aを引いた』   ・Mill (1806-73) : 『イギリスの哲学者』  
・be justified in A : 『Aを正当化する』  ・eccentric : 『変人』 ・S flourish : 『Sが蔓延る』   

・feeble : 『弱々しい』  

(復習)京大【108】  ★cry A to do : 『~するよう声を大にして言う』 cry for A : 『Aを必要とする』 cry A up : 『Aをほめちぎる』





先日も紹介させていただきました、『ジョン・スチュアート・ミル』という150年前のイギリスの哲学者が書いた英文です。


これを訳す必要はないのですが、この英文の参考和訳がこちらになります。



 『一人を除いた全人類が同じ意見を持ち、反対の意見を持った者が一人しかいないとしても、この一人の人物の口を封じることが正当化されないのは、この人物が全人類を沈黙させるだけの権力を持っているとしても、そんなことをしてはならないのと同様のことであろう』とミルは声を大にして主張した。(だからと言って)孤立した風変わりな人間というものは、いつも正しいとか、あるいは、おそらく正しい場合が多いだろうということではない。もしその人間が間違っていたとしても、その口を封じるならば、現在一般に受け入れられている考えを支持する人々はきわめて価値あるものを失うことになる、すなわし、真理を誤謬と突き合わせることによって、真理をより明確に認識し、真理をより生き生きと心に刻みつけるといったことができなくなるのである。他方、この孤立した思想家が正しい場合には、彼を沈黙させることで、誤謬を捨て真理により近いものを手に入れるという、この上もなく貴重な恩恵を享受する機会を失ってしまう。我々は議論し討論することによって学びとっていくのである。議論が封じられれば、誤謬というものが無制限にはびこることがあるばかりでなく、真理そのものも、より弱々しく、色あせてしか、信じられないことにもなるのだ。




下手な現代文の文章より難しいと思います。


しかしこれを英語で理解できたときの感動や楽しさは、筆舌に尽くしがたいことをお約束します。



山口の授業を受けている塾生は、例外なくこの英文に挑戦することになりますが、全員がしっかりと理解してくれます。




そして当然その頃には、英語の偏差値は65や70を超えていくことになります。






当塾の塾生が『英語が楽しい!』と言ってくれるのは、上っ面の『英語もどき』ができるようになるからではありません。



一生懸命英単語を暗記し、英文法も理解する。


それは当然やるべきこととして、その先にある偉大な先人が残してくれた難文を理解できるようになるから楽しいと思ってくれるのです。



そして冒頭でも申し上げましたが、いわゆる『難関とされている大学』ほどこういった専門的で難解な英文を用意しており、その対策をやってこなかった受験生は門前払いなのです。



さらに言えば、これも口を酸っぱくしてお伝えしておりますが、『100%に近い精度で英文を理解し、正しい日本語で記述解答する能力』も必要になります。



言うまでもありませんが、そのためには膨大な読書量が必要になります。



現代文の点数なんて取れても取れなくてもどっちでもいいです(もちろん取れるに越したことはありませんが・・・)



仮に現代文がニガテだったとしても、みなさんは膨大な量の日本語の文章を読み、理解し、そして分からなかった表現は何とかして調べ、自分が必要だと思った表現や語彙は、自分の中にきちんと貯めておく必要があります。



そして残念ながら、スマホがこれほどにまで蔓延し、公立高校入試がオールマークになってしまった今、中高生のみなさんが置かれている環境は絶望的であるといっていいでしょう。



みなさんが中学生、高校1年生の頃はそれを実感することは難しいです。



何となく高得点、高偏差値が取れてしまうケースもあるでしょう。




本当に絶望するのは、高校3年生になり、本格的に記述模試が増え始め、志望校の過去問を解いた時です。




おそらく手も足も出ないでしょうし、覚束ないなりに君が書き上げた答案を、添削指導してくれる指導者は周りにいないでしょう。



だからせめて。


『英語も日本語もしっかりと語彙を増やす』

『活字の本を、きちんと毎日読む習慣をつける』


これだけでもいいので継続してほしいと切に願います。






難関とされている大学が、(英語に限らず)なぜこれほどの難題を用意し、日本語による記述の解答を要求しているのか?


もちろん、そういう学生に来てほしいからです。




都築先生の言葉ですが、みなさんが大学を選ぶわけではありません。



『大学がみなさんを選んでいる』のです。





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