『百害あって一利なし』の誤った英語の知識
中学校2年生の頃に英語のテストで0点を二度とりながらも、何とか進学校に進むことができ、その後再び偏差値が30台まで下がった山口の体験談をお話させていただきます(ちなみに最後の最後には、英語の偏差値は何とか75まで上がってくれました)。
普段から耳にタコがでくるくらい連呼している『英語の返り読みによる弊害』は今回置いておいて、山口を高校1年生から2年生の終わりまで、約2年間苦しめ続けた”would”についてお話させていただきます。
今でも覚えています。
中学校2年生の頃に『”could”は”can”の過去形!』、中学3年生の頃には『”would”は”will”の過去形!!』と教わったことを・・・(今まさに各中学校の英語の授業でそう教わっていると思います)。
中学生、いや、何なら高校生も含めてですが、同じように認識をしていたら、高校に入ってから山口と同じ道をたどる可能性大です。
特に”would”!!! (もう本当に悪夢でした…。)
“will”が『未来を表す助動詞』なのに、『未来の過去形』ってなんやねん!!!・・・と本気で悩みました。
当時は今のようにネットも発達しておりませんでしたので、正しい知識について調べようもなく、本当に丸2年間苦しみましたし、完全にお手上げ状態でした。
はっきりと言いますが、”could”は”can”の過去形でもありませんし、”would”は”will”の過去形でもありません(たまにそういう用法もありますが)。
“should”にいたっては過去どころかむしろ現在か未来の話しかしていません。
“You should study hard .”(君は一生懸命勉強すべきだ。)なんて、どこからどう見ても『これからの話』ですもんね(ちなみにこれを過去形にするなら、”You should have studied hard.”となります。助動詞の過去形は、ちゃんと別の形で存在しているのです)。
そもそも、中学校で学ぶ”Could you tell me the way to Nishio station?”はもちろん『西尾駅までの道を教えていただけますか?』と訳しますし、間違っても『西尾駅までの道を教えていただくことはできたのですか?』とは訳しません。
もちろん、先ほど”will”は”would”の過去形ではない、と断言しましたが、以下のような表現ももちろんあります。
“Little did I dream (that) I would be able to pass the exam for Tokyo University.”(私が東大に合格するなんて、夢にも思わなかった。)
いわゆる、『過去の時点からの未来予想(※高校生の単元です。)』というものですが、これは”would”という助動詞の本質を考えればごく少数と言えます。
まず”would”という助動詞は・・・、とここで”would”の話をしだすと、ものすごく長くなりますのでこの辺で(※マンツーマン指導なら10分でご理解いただける内容です)。
とにかく、中学校の指導で”could””would””should””might”は助動詞の過去形と学んでしまうと、公立高校受験は乗り切れても大学受験対策でとんでもないしっぺ返しを食らってしまいます。
大学受験(特に難関大)の文章で”could”は頻発しますが、はっきりと断言します、『~できた』と訳すことはほとんどありません。
でも恐ろしくないですか?
中学校の授業ではまず間違いなく”could”は『~できた』と学びますし、高校受験はそれで乗り切れてしまうのです。
特に中学生は素直に何でも吸収してしまうので、高校生になって”could”は仮定法を疑い婉曲で訳す、なんて説明をされても(・・・???)となってしまうのです。
文章なので伝わりにくいかと思いますが、これはマンツーマン指導ならば中学生でも必ず理解できる内容です。
しかしながら、公立中学校の授業のように、一部の成績上位者(10%)、真ん中くらいの層(70%)、授業についていけない層、または素行が悪い生徒(20%)の集団に、一斉に集団授業で指導をするとなると、全員が理解できるような指導をせざるを得ないのです。
それにみんながみんな、進学校を目指しているわけではありませんし、全員が大学に進むわけでもありません。
だから公立中学校の先生の指導が悪いわけではありませんし、山口が同じ立場でもそう指導します。
しかし、将来的に大学を受験する可能性がある中学生が、そのままではまずいのです。
中学校の3年間そういった指導を受けて、そのまま高校生になった生徒は、なかなか返り読みのクセが抜けきりませんし、不定詞を目にすると『~すること』と無条件に訳してしまい、”could”は『~できた』と訳してしまうのです。
彼らはむしろ一生懸命に中学校の授業を理解してきた努力の人たちで、間違った知識を身に付けてしまったのは彼らのせいではありません。
しかし間違って覚えた知識は『百害あって一利なし』なのです。
勉強に限った話ではありませんが、間違って身に付けたクセを取り除くのは容易ではありません。
中学校で誤った知識を身に付けてしまうと、大学受験対策などの前に、まずその修正から入らないといけないのです。
そして当塾の英語成績上位者は、ほとんどの場合が中学生の頃から早期に大学受験を見据えた指導をさせていただいた塾生達ばかりです。
【最後に・・・】
何度も繰り返して念を押させていただきますが、中学校の先生方の指導については何も落ち度はありません。
むしろ日々、全ての目の前の生徒たちに、平等に同じように理解してもらえるようご尽力されています。
たまに塾が終わって、深夜0時に中学校を通ったりすると、職員室の電気がついていたりするのを見かけます。
毎日毎日授業をされて、毎回テストを作成し、終わったら全員分の採点をし、場合によっては部活の顧問を引き受けて・・・、とてもじゃないですが山口にはできません。
言い方を選ばずに言わせていただければ、私たちはやる気のある中高生だけを引き受けて指導させていただいているので、中学校の先生方と比べるとかなり楽をさせていただいているのです。
私達はやる気がなかったり、学習態度が悪い中高生は入塾をお断りさせていただいていますが、公立中学校の先生はそういうわけにはいきませんので・・・。
そんな先生方が苦心して、全員に理解してもらえるように行きついた指導が、現在の公立中学校の指導カリキュラムです。
先生方だって『返り読みの弊害』や、”could”は”can”の過去形ではないことくらいご周知されています。
それを前提でブログを書かせていただいていますので、その点をご了承の上でご拝読いただけたらと存じます。