(おそらく今年最後の)超弩級の質問
個人的にですが、難易度MAXと思われる質問を頂戴しました。
う~ん・・・これが気になるとは相当深く英文に向き合っている証拠ですね!
だって自分、何にも気にならなかったですもん・・・(反省)
その超弩級の質問とはこちらです。
” It doesn’t change the fact of its being a masterly work.” (※一部山口が勝手に文章を変えております)
意味的には、『それが素晴らしい作品であるという事実は変わらない。』くらいの感じですが、彼の質問というのが、
『文中の代名詞は、なぜ”it”じゃなくて”its”なのか?また、”it”ではダメなのか?』というものでした。
結論から言うと”it”は使えません。
【Would you mind I smoking here? とは言わない】
もちろん相手には伝わるでしょうが、文法的には間違いです。
単元的には『動名詞の意味上の主語』というやつですね。
例えば”Would you mind smoking here?” だと、『(あなたは)ここでタバコを吸ったら気にしますか?』が直訳になります。
ここではもちろんタバコを吸うのは『私』となります。
英文には”I”などは書かれておりませんが、書いていなければ当然タバコを吸うのは『自分』ということになります。
ですが当然、高校生のみなさんはタバコを吸っていないわけです。
ですので例えば、『彼がここでタバコを吸ったら気にしますか?』と英語で伝えたいなら、当然”he”を入れる必要があります。
ですが、”Would you mind he smoking here?” とは言いません(もちろん伝わりはするでしょうが)
“He”という単語は主格ですので、私たちは”He”と聞こえてきたら、当然その後に文章が続くものと思ってしまいます。
そういった混乱を避けるためにも、文中の動名詞の主語に関しては、所有格か目的格を用いる、というルールがあります。
〇Would you mind “his” smoking here?”
〇Would you mind “him” smoking here?”
というわけで、『動名詞の意味上の主語では、主語や主格は使えない!』というルールがあります(※飽くまでも受験英語では、です。普通に伝わりはするので、話す時はガンガン間違えてください)
さて、そうなると『私の父がここでタバコを吸ったら気にしますか?』の場合はどうでしょう?
Would you mind my father smoking here?
・・・なんか一見よさそうですよね。
しかしながらさっきお伝えしましたとおり、『動名詞の意味上の主語では、主語や主格は使えない!』のですから、この my father は所有格か目的格にしなければなりません。
というわけで正しい文章は、×my father ⇒ 〇my father’s
〇Would you mind “my father’s” smoking here?
となります。
・・・って言ってますけど、もちろん普通に『my father』でも伝わりますのでご心配なく。
もう一度質問を頂戴した文章に戻りますと、
” It doesn’t change the fact of its being a masterly work.”
ここではbe動詞が動名詞、”being”になっています。
前置詞”of”の後ですから、当然文章は続けられません。
×the fact of it is a masterly work
ですので、分詞構文みたいな感じで、『S being C』の形を取っているんですね。
この辺は”with O (being ) Cにも似ていますね。
He could pass the entrance exam with him being lazy.
『彼は怠惰なくせに試験には合格した。』
と、いうわけで!
冒頭の彼の質問ですが、当然この文章でも主語や主格は使えません。
” It doesn’t change the fact of its being a masterly work.”
“it”は主格扱いですので、この英文を書いた方は、ちゃんと所有格にして書いたのです。
いや、それにしても鋭い質問ですね。
こんなの長文の中でサラッと出てきたらまず見逃すでしょうし、気にもならないと思います(少なくとも山口はまったく気になりませんでした)。
こういう素晴らしい質問をいただくと鳥肌が立つほど感動しますね!
でももちろんどんな質問でもOKです!
数年前に中学生から、『なんで三単現のSなんてものがあるんですか?』と質問をいただいた時も感動しました。
こういう質問をいただくと、『まあそれはそういうものだから』とお茶を濁す先生もいらっしゃるかもしれませんが、やっぱりこういう素晴らしい質問には全身全霊全力で応えるのが指導者の責務だと思います。
それはさておき、みなさんの質問を(戦々恐々としながら)お待ちしております!
大歓迎ですよ!