西尾高校・西尾東高校・刈谷高校の模試の結果で比較する各高校の現状
先日の記述模試の結果、風雲急を告げるとはまさにこのことだと思います。
『おそらくは100年を超える西尾高校の歴史上、はじめて偏差値が50を切ってしまった』
ということです。
私は常に、当塾に通っている塾生の高校や中学校の状況はヒアリングで確認していましたが、ここ数年の間で、
『西尾高校の偏差値は100%下がる』
と言い続けてきました。
英語に限った話ではありますが、
・とにかく授業が遅い
・課題は少ないし指導も緩い
・記述対策はやっていないに等しい(※もっとも、これに関しては集団授業での記述対策が難しいという背景もありますが)
・『cutting edge』という教材(難関大専用のテキストです)を使用しなくなった
他にも色々とあるのですが、もうこれだけでも『英語の成績が下がる材料』としては十分です。
下がることはあっても上がることはない。
それを『主体性と自主性に任せる』という、まあ一見すると聞こえはいいのですが、率直に言えば『放置しているだけ』なのだと思います。
ハゲスタグラムの方でも書かせていただきましたが、厄介なのは
『西尾高校に入学した時点では偏差値は63だったのに、2年という長い時間をかけて偏差値が47くらいまで下がってしまったということ』
さらに言えば、
『相変わらず大学入学共通テスト、つまりマークの偏差値は割と高い』
ということです。
ここで分かるのは、『今の西高生はとにかく記述力がない』ということです。
しかしこの記述力、残念ながら集団授業や映像授業ではほとんど力がつきません。
なぜなら集団の教師や映像授業の講師が、生徒一人ひとりの記述解答を目にすることはないからです。
生徒が実際に書いた解答用紙を見てもいないのに、いったいどうやってその解答の指導・添削をするのでしょうか?
話が逸れました。
本題に戻しまして、改めて各高校の模試の結果から、西尾高校・西尾東高校・刈谷高校の3校が2年という時間をかけて学力がどのように推移するのか、紹介させていただきます。
ここで見るべきポイントは、
『全国の偏差値と高校の偏差値にどのような差が現れているのか?』
というところです。
個人の偏差値はあまり関係ありません。
【校内偏差値の方が低く出るケース(刈谷高校)】
見た通りそのままなのですが彼の場合、
『全国の偏差値は72.7』、それに対して
『刈谷高校内での偏差値は61.4』
なんと『11.3ポイントも校内偏差の方が下がる』という結果が出ています。
つまりこれは、『全国の水準よりも、刈谷高校の水準の方がはるかに高いため、学力が高い生徒だけで競うことになる校内偏差値の方が低く出てしまう』という現象が起きているのです。
次は西尾高校の模試の結果です。
一番下の項目、『総合理系』の欄に目を向けますと
『全国での偏差値は56.3』、一方で西尾高校内での偏差値は
『57.8』、つまり
『西高内での偏差値の方が1.5ポイント高く出ている』という現象が起きています。
刈谷高校とは逆ですね。
これは
『全国全体よりも、西尾高校の学年全体の方が学力が低いため、学年偏差値の方が高く出てしまった』
ということになります。
そして厳しいことに、西尾東高校の場合はさらにその差が顕著に現れています。
なんと
『全国を基準とした場合の偏差値は64.2』一方で
『東高内を基準とした場合の偏差値は80.8』
これは相当に厳しい結果です(※もちろん、彼自身の偏差値はものすごく高いのですが)
言ってみれば、
『東高の学力があまりにも低く、全国の水準の方がはるかに高いため、全国偏差の方が16.6も低く出てしまっている』ということです。
おそらくは厳しい話、今の東高の3年生の偏差値は40~45くらいの間です。
もちろん、西尾高校にしても西尾東高校にしても、『特進クラスなどの上位陣は孤軍奮闘している』ため、毎年それなりの合格実績が出ています。
問題なのは、『上位10%を除く、残りの90%の西高生や東高生たち』です。
私は常々申し上げておりますが、高校に合格した時点での高校生の学力にはそれほどの差はありません。
・刈谷高校・・・偏差値68
・西尾高校・・・偏差値64
・西尾東高校・・・偏差値54
偏差値上の差はほとんどないと言っていいでしょう。
何よりもほとんどすべての高校生が、『公立高校入試のマーク対策しかやっていない』のですから、学力の差などつきようがないのです。
しかし2年という歳月をかけて、片や刈高生や岡高生はしっかりと学力を維持し、西高生や東高生は大幅に偏差値を下げてしまうのです。
それは山口の主観などで言っているわけではなく、すべてこの数字が物語っています。
昨日のブログでも紹介させていただきましたが、うちは大丈夫です。
みっちりとマンツーマン指導で記述対策を徹底していくので、逆に西尾高校で下位の成績であったとしても、必ず1年後や2年後には逆転現象が起きます。
1年生の頃は『学年203位』でも・・・
2年後にはこうなります。
ここで私が念を押させていただきたいのは、
『成績が上がるのも下がるのも相当な時間がかかる』
ということです。
特に上がる方となれば、少なくとも年単位の時間がかかります。
うちの塾生が1年、2年という時間をかけて、地道に積み上げてきた学力を、たったの半年や1年で同じだけのものを得られるかというと、それは無理な話なのです。
今回西尾高校でこのような厳しい結果が出てしまったということは、かわいそうではありますが、7割前後の西高生の偏差値が50を切っているはずです。
残念ながら『大学入学共通テストまであと半年ほど』、『国公立二次までは残り7ヵ月ほど』の日数しか残されておりません。
今から大学入学共通テストをやりながら、なおかつ記述対策をやって、志望校対策までフォローするのは相当厳しいです(※能力のもんだいではありません、時間と環境の問題です)。
【うちでは中学生でもこういった記述対策をやっています】
これは当塾の塾生が中学2年生の頃に書いた和訳文です。
すごくないですか?
もちろん端々に、中学生らしい未熟さはあるものの、中学2年生がこの和訳文を書いているのです。
ちなみに英文はこちらですね。
(2) You can take a machine to pieces and gain a fair idea of how it works from the constituent parts and their arrangement relative to each other.
(3) Children who find their parents afraid of bathing in a river can infer that the river is dangerous without having to test it out for themselves.
(4) We can identify behavior in animals similar to the human behavior that enables us to assert that humans possess concepts.
余談ですが、つい先日ご紹介させていただきました、現在中学校の英語のテストで4回連続満点を取っている中学生です(今は3年生ですね)。
ただ彼の場合、他の塾生と同様に、英語や数学に関しては学校の進度はあまり気にせず、進められる限り進めています。
英語については今、難関国公立記述対策まで入っております。
ただこの話についてはまたの機会にさせていただくとして、うちではとにかく
『中高生のみなさんに実際に書いてもらうこと、そしてそこに講師全員が真摯に向き合うこと』
を徹底しております。
公立高校入試や大学入学共通テストのマーク対策は、言うまでもなくやります。
だから当塾の中高生は、マークのテストでも後れを取ることはありません。
しかし彼らや彼女たちが真価を発揮してくれるのは、大学入学テストの本番、つまり記述をメインとする試験です。
何度でも申し上げます。
今の公立高校入試の仕組み、そして授業や課題が緩い高校の授業では、真の学力、つまり記述力が身につくことはありません。
バットを振らない限り、ボールが打てるようにならないのと同じです。
やってもいないことが突然できるようになったりはしないのです。
そしてこれもしつこいようですが、
『文章を読み、自分の言葉で文章を書く』
というのはものすごい膨大な時間と鍛錬が必要になります。
私は当塾の塾生全員、そして講師一同と指導方針に絶対の自信を持ってはいますが、それでも
『半年か1年そこらで結果を出してほしい』
と言われたら、それに応じる自信はまったく持っていません。
当塾の卒塾生達が素晴らしい結果を出してくれたのは、ひたむきに当塾を信じてくれたから、そして少なくとも、年単位の努力を積み上げてくれたからなのだと確信しております。
そして保護者様にとっては非常に耳の痛い話だとは思いますが、
『西尾高校に預けておけば大丈夫!』
という神話は崩れ去ったと考える時が来たのかもしれません。
私はかれこれ15年以上、それこそ西尾高校のどの先生よりも長く西尾高校や西尾東高校の生徒達を見てきましたが、これほどの事態は今までになかったのです。
当然、お父様やお母様の中には西尾高校のOB・OGの方もたくさんいらっしゃると思います。
そして『自分たちが現役の頃の西高はすごかった』、そういう遺憾千万の思いもあるかとは存じます。
もちろん、ほんの数年前までは愛知県トップクラスの進学校だったのです。
しかし時代の流れなのか、あるいは教師陣の変動があったからなのか・・・公立高校オールマーク化、教師全体の質の低下、そこには様々な要因があったのでしょうが、とにもかくにも
『つい先日の記述模試において、西尾高校3年生の偏差値は50を切ってしまった』
この事実は間違いありませんし、目を背けられるほど些末な問題でもありません。
これが一過性のものであったり、この結果を受けて、教師も含めて学校全体が変わってってくれるのであれば問題ありません。
しかしながら私個人は、『一度失ったものを取り戻すには、3倍の時間と労力が必要になる』と考えています。
西尾高校が捲土重来を期すのであれば、これは並大抵の努力では難しいということを私見ながら添えさせていただき、本ブログを終わらせていただきます。